419−1.新世紀には拭い去りたい三重の「闇」



                                  鈴鹿国際大学教授 久保憲一

「闇」の力
 私は平成十一年十一月五日付「三重タイムズ」紙上において次の
ような発言をした。「歴史認識の見直し機運高まる」「史観の押し
付けが問題」「先人の功罪を正しく評価」「久保憲一鈴鹿国際大学
教授に聞く」との見出しの下、三重タイムズ北本豊編集長の質問に
答える形でなされたもので、私についての紹介は「日本世論の会三
重県支部長で鈴鹿国際大学の久保憲一教授」とされている。発言内
容は以下の通りである。

 「三重県人権センターを調査されたようですがどのような問題点
がありましたか」との問いに、「想像以上にひどいものでした。
人権センターといってもほとんどが部落問題で占められている。
あとの二割ほどが反日、自虐史ですね。どういう子どもや日本人を
育てようとしているのか疑問に感じるような施設です。このセンタ
ーで真面目に勉強する子どもがいたら、将来が本当に心配になりま
す。このような施設を公費で建設したこと自体疑問ですね。」と答
えた。「一方的な歴史観の押し付けをやめてほしいということです
か」との問いには「日本でありながらまるでアメリカ史観、中国史
観ですね。」と答え、「日本の場合は戦後あまりにも功罪の罪を強
調しすぎたということでしょうか。」との問いには、「ある意味で
は日本人のよさかも知れませんね。素直というか、すぐにゴメンナ
サイということですね。しかしこれは国際政治にはまったく通用し
ません。歴史観がしっかりしないことには政治も語れないし、外交
も語れないです。基本的なスタンスの問題ですから。」と答えた。
「教育の問題にも関わってきますか」との問いに対して、「少なく
とも台湾レベルにはなってほしいですね。『認識台湾』という新し
い歴史教科書が発行されてますが、日本の植民地時代の功罪をはっ
きりと記述しています。内容的にはむしろ日本の植民地政策を評価
している点が多いように思います。日本の歴史家や教科書編纂者は
こういう事実を認めるべきです。西洋の植民地化は愚民政策といっ
て現地の人を無学文盲にして経済搾取する。これに対して日本は同
化政策です。植林や水道、道路、鉄道などのインフラ整備をし、
学校を作ってますね。大変な投資をしてます。いまだに台湾や韓国
、中国の教育制度の基本になっていますね。」と答えた。「久保さ
んらの活動について、右翼的な動きとして警戒する声もあります」
との指摘に対しては、「右とか左ではなく人一倍愛国心をもってい
るということです。日本人は二言目には国際化というが、日本人と
してのアイデンティティを持っているのかと疑問に思います。いま
や日本人は無国籍人ではないかとさえ思います。」と答え、「事実
は事実として冷静に検証し、報道すべきだということですね」との
問いには「例えば南京の大虐殺でも、三十万人という数字はどこか
ら出てきたのかということです。戦争ですからゲリラと民間人を間
違えて殺したケースはあると思います。しかし市民を意図的に虐殺
したという事実はないわけです。こういう問題では政治的な背景を
考えるのが妥当だと思います。」と答えた。そして「日本世論の会
は政治的な活動をするのかという疑問があります」との指摘につい
ては「市民運動ですから政治的な組織を作るようなことはしません
。会といっても個人の単なる集合体です。例えば国歌、国旗につい
ても本来なら慣習法でいいんですね。なんでも法律化するのは自分
の首を絞めることになると思っています。
とにかく先人に対する感謝がないことには、日本の明るい未来はな
いと私は考えています。」と答えた。

 また平成十一年十二月三日付三重タイムズにおいても「日本世論
の会三重県支部の久保憲一支部長らは、『いろんな見解があるもの
についてはバランスをとってほしい。明らかに間違っている資料や
写真、展示内容は撤去してほしい。必要以上に自虐的なものについ
てはセンターとしても考えてほしい』と要望した。」

 今も私はこの発言に誤りはないと確信している。むしろ読者から
「よく言ってくれた」という多くの激励の言葉を寄せられた。もち
ろん三重タイムズ社や私への「正面攻撃(抗議)」も全くなかった。
しかし、その後、鈴鹿国際大学学長を通じて圧力がかかり、私は「
戒告」と共に、教授職を解任され、事務職員に更迭された。まさに
半世紀少し前、シカゴを中心にアメリカ社会の至る所に手先を張り
巡らしたマフィアのごとき「闇の力」によってである。

 私の「戒告」処分理由について、「久保憲一氏は、三重タイムズ
に鈴鹿国際大学教授という職名を冠して、種々の人権を無視した内
容の発言をのせられました。右は、鈴鹿国際大学の建学の精神にも
反するものであり、久保発言は鈴鹿国際大学が人権を無視した教育
を行っているかのようにとられ、学外から多くの非難を受けており
ます。鈴鹿国際大学の他の教授も困惑し、大学の教授会も久保憲一
氏は、鈴鹿国際大学の教授としてふさわしくないので、直ちに辞職
を求める旨決議しています。」とある。つまり、私の発言で、鈴鹿
国際大学が人権を無視した教育を行っているかのように「理解」さ
れ、その結果、学外か多くの非難を受け、鈴鹿国際大学の他の教授
も困惑している。非難を受け、困惑している「結果」に「責任」が
あるから「直ちに辞職を求める旨決議」をしたというのである。
要するに、「学外」から非難を受けたため、私に「辞職」を求める
というものであった。

 しかし「三重タイムズに鈴鹿国際大学教授という職名を冠して、
種々の人権を無視した内容の発言」とは一体何を指すのか。また何
が「人権を無視した内容」で、「鈴鹿国際大学の建学の精神」に反
するというのか。今以て判然としない。

 とはいえ、享栄学園が私に「鈴鹿国際大学教授の職を解き学園本
部事務職員を命じる」という平成十二年一月十七日付辞令を発した
理由は今まで一切不明であったが、最近の審尋において、少しだけ
明らかになった。 つまり、「久保教授の三重県人権センター及び
人権・同和問題に関する発言は、慎重さを欠き配慮の足りないもの
であり、そのことに伴う結果責任は本人自身が果たさなければなら
ない」というものである。そしてこの理由によって「久保憲一教授
の教員としての適格性審査委員会」が、平成十一年十二月十七日、
「久保教授は本学教員としては不適切な人物と判断せざるを得ず、
辞職してもらうのが適当との結論」を下し、平成十一年十二月二十二日
、教授会で承認したという。しかし、その理由の「三重県人権セン
ター及び人権・同和問題に関する発言」とは一体何なのか、やはり
いまだに闇の中である。

三重県立人権センターに巣くう「闇」の部分
 三重県は情報公開の先進県ということらしいが、こと「同和」関
連分野については、それはまったく当て嵌まらないように思われる。
善良な人々を置き去りにした「同和利権」を食い散らす一部の輩が
はびこっているのである。そしてこのご時世の緊縮予算にもかかわ
らず、同和関連予算のみが要求通りにまかり通るという「逆」差別
をし、同和利権の維持・拡張を図ろうとする連中がいることも確か
である。

 また「天皇制が同和差別を生んだ」と強弁し、歴史教育などに介
入。「清め塩は同和差別につながる」と、笑い話にもならないこと
を平気で言う。県民税をつかって設けられた「三重県立」人権セン
ターが国旗掲揚を拒否するとはまさに言語同断である。これなど「
反国家的行為」と言わざるをえない。

 一昨年来、我々は三重県立人権センターの蔵書目録の公開を要望
してきた。それに対して、馬場所長は昨年三月には蔵書整理をした
いと答えていた。しかし平成八年の開館以来もはや五年も経とうと
しているが、蔵書目録は果たして完成したのであろうか。もし未だ
であるとするなら、それは同人権センターの怠慢というより意図と
みざるをえない。

 私の事件後発覚したのだが、三重県立人権センターは旧社会党系
同和団体の裏本部的役割が演じられているという。二階部分は、
同和関連の任意諸団体によって独占され、研修名目で教員が何年間
も長期に出向しているという。またその三階会議室は、これらの
任意団体に無料で自由に貸し出されているという。同和団体は何も
旧社会党系だけではない。自民党系もあれば、共産党系、その他の
団体もあるはずである。一党に偏した同和団体のみが県立人権セン
ターを占有しているというのは問題である。
県民意志に反し、いかにも公平を欠くと言わざるをえない。

 また昨年六月二十日、友人の土屋たかゆき都議会議員を案内し、
田矢修介津市議、北本編集長らと同センターを訪れ、そして展示図
書内容についてセンター職員にいくつかの厳しい質問をした。する
と二日後、案の定、解放同盟の役員と称する人物から、鈴鹿国際大
学事務局を通じて電話が入る。「先生のお教えを乞いたい」と妙に
慇懃な口調である。公開討論ならば、と私は応じたが、その後一向
に音沙汰がない。これも失敬千万な話である。田矢修介議員にも
同様の電話があったという。電話一本で市民を脅迫できると考える
その傲慢。彼らはこうしたヤクザまがいの闇の手口で善良な市民を
常々脅かしているのであろうか。

 二十一世紀の帳が開いた。こうしたアンタッチャブルな領域「闇
の部分」も旧世紀と共に拭い去りたいものである。そして真に公正
・健全な民主主義を三重県に確立したいものである。北川知事の
理解と英断を切に期待したい。

Internet Times より
 http://www.internet-times.co.jp/


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