417−2.北朝鮮の情勢分析



 さあ、米国新政権の登場により、北朝鮮も正念場を迎えている。
中国は、ここ数年、社会主義市場経済を北朝鮮に勧めていた。
しかし、金日正委員長は、聞き入れなかったが、とうとう米国政権
が変わり、米朝正常化が遠のいたため、中国に再度支援をお願いし
ないといけなくなった。このため、中国が勧める上海の現状を見る
ために、訪中したのです。

 北朝鮮の金日正委員長が心配しているのは、体制の維持が出来な
くなることであるから、この面で心配がないということが分かれば
、社会主義市場経済化するのです。
もし、ぐずぐず米国から譲歩をせずに支援を受けようとしても、
もう米国政府はYESとは言わないことになる。米国は北朝鮮政府
の動きを封じるために、韓国と話し合え、日本と話し合えというだ
けになる。そして、米国経済が悪化してかつ、交渉の埒が開かない
と、軍事的対応を検討する方向であり、経済活性化と北朝鮮潰しの
1石2鳥の効果を狙う可能性もあるのです。

このことは、北朝鮮も知っているようです。韓国との交渉が遅れて
いたが、再度北朝鮮サイドから交渉の再開を促し、かつ金日正委員
長のソウル訪問を言い始めている。正月の金委員長の声明も、非常
に革新的なものであった。やっと、韓国企業受け入れと、日本との
国交正常化後の日本企業との付き合い方を研究し始めたようだ。

なぜ、日本企業受け入れを検討していると分かるか??それは、
上海のNEC工場を見学しているので分かる。日本の資金のほとん
どがODA資金となるため、この資金で浦東のような都市整備をし
て、そこに工場を誘致することを考えているはずであろう。
金日正委員長は、韓国の現状も知っている。現代からの観光料金も
減額せざると得ない状況であり、日本からの資金しか期待できない
のです。

中国の江主席も訪朝することが確定したようだ。この動きは、米国
から中国へ再度交渉先を変えたのですから。経済官僚の支援を表明
しているのもいい傾向だと思う。これは、日本からの資金と中国か
らのノウハウで、経済再建をしようとするのであろう。

 この前提は、日本人拉致問題の解決を念頭に置いているというこ
とになるのです。ということは、解決する可能性がある。近代化資
金が必要であるから。
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金剛山観光料、引き下げる見通し」1/15 中央日報
by 李永鐘(イ・ヨンジョン)記者 

朴在圭(パク・ジェギュ)統一部長官は「現代(ヒョンデ)側が資
金難のため、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)側に支払う観光事
業代金を引き下げる必要があるという意を北朝鮮側に伝達し、北朝
鮮側も内部的に検討していると聞いている」とし、「北朝鮮側が現
代の苦しい状況を理解し、現代側の意見をできるだけ受け入れる方
向で検討してくれるだろう」と明らかにした。 
  
朴長官は15日付け毎日経済(メイルギョンジェ)紙とのインタビュ
ーで、「金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と鄭夢憲(チョン
・モンホン)現代建設会長が近いうちに会って解決するだろう」と
し、「交渉はうまくいくと思う」と述べた。 
  
同長官は「今年の南北経済協力は中小企業の参加が増えるだろう」
とし、「投資保障や二重課税防止など4項目の合意書が6月以前に
発効されれば、下半期からは安心して投資できるだろう」と付け加
えた。 
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北朝鮮政策の包括見直し表明 パウエル次期国務長官  
 米国のパウエル次期国務長官は17日、人事承認のための上院外
交委員会公聴会で、ブッシュ次期政権の外交政策について証言した
。とくに、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政策に関して、包括
的に見直す方針を示したうえで、基本姿勢として、(1)ミサイル
の開発と輸出、韓国の脅威となっている戦力配備の問題が根本的に
改善しない限り、人道的な食糧支援以外の見返りは与えない
(2)クリントン政権の関与政策を続けることに問題はないが、性
急な関係正常化には走らない(3)日本や韓国との協議を重視し、
現実的かつ非常に慎重に対応する――と語った。
 昨年10月にオルブライト国務長官が訪朝するなど、和解の機運
が出ていた米朝関係について、パウエル氏は「オルブライト氏から
詳細な引き継ぎを受けた。政策見直しにあたっては、これまでの成
果も活用する」と述べた。さらに、「政治、経済、安全保障の懸念
材料」に取り組むうえで、対話と抑止からなる現政権の関与政策を
続けることに異論はない、との考えを示した。クリントン政権の政
策との継続性に留意する姿勢を示したものだ。

 しかし、「北朝鮮の独裁者(金正日総書記)が、自衛の範囲をは
るかに上回る大規模な通常戦力を配備し、ミサイルや大量破壊兵器
を開発している限りは、米国とアジアの同盟国は警戒を怠るべきで
はない。日韓両国とともに、非常に慎重なやり方で臨む」との原則
を強調した。

 焦点のミサイル問題では「北朝鮮自らの開発だけでなく、他国へ
の開発支援についても、何ら疑問がないほど厳格で検証可能な合意
」の必要性を唱えた。さらに、たとえミサイル問題で北朝鮮側から
満足のいく回答を引き出せたとしても、「韓国との国境に大規模兵
力を敷く独裁体制」が存在していることに変わりはない、と述べ、
「関係改善を急ぐのではなく、1人の人間に率いられた体制に対す
る冷めた現実主義を忘れてはならない」と指摘した。

 また、「北朝鮮の開放化」を促す意向を強調する一方で、急激な
開放化が韓国の意に添わない形で進むことのないよう注意しなけれ
ばならない、とも述べた。(1/1815:53sahi) 
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中国主席、北朝鮮訪問へ 訪中の金総書記の要請を受諾  
 中国当局は20日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日
総書記が15日から20日まで非公式に訪中したと発表した。金総
書記は20日、北京で江沢民国家主席と会談し、中国の改革・開放
路線を改めて高く評価。江主席の北朝鮮訪問を要請し、江主席も
これを受諾した。両首脳は「中朝の友好協力関係の強化」のために
努力することでも一致し、米国のブッシュ新政権発足に合わせた形
で両国の協調姿勢を示した。

 中国外務省と共産党対外連絡部が発表した。金総書記の訪中は昨
年5月以来。15日に特別列車で中国入りし、16日から19日ま
で上海に滞在。朱鎔基首相の同行で経済開発特別区の浦東新区にあ
る日系企業や証券取引所などを視察した。20日に北京に移動し、
江主席らと人民大会堂で会談した。

 20日夜に記者会見した中国外務省の朱邦造報道局長によると、
江主席は会談で、金総書記の昨年に続く訪中を中朝関係にとって
「極めて重要な意味を持つ」と意義づけた。「南北朝鮮双方の一層
の関係改善と自主的平和統一の実現のため、引き続き積極的に寄与
する」と述べるとともに、北朝鮮と米国、日本などとの関係改善や
国交正常化を支持した。

 金総書記は「中国、特に上海などは大きな変化を遂げた。中国共
産党が実施している改革・開放路線が正しいことを示す」とたたえ
た。さらに「都合の良い時期」に江主席が北朝鮮を訪問するよう要
請し、江主席は快く受け入れた。江主席の国家主席としての訪朝は
初めてとなる。ただ、朱局長は「訪朝時期は未定」と述べた。

 訪中日程終了後の発表は北朝鮮側の希望とみられ、中国側はこれ
まで訪中の事実を公式に認めていなかった。前回訪中の直後には
南北首脳会談が実現し、朝鮮半島の緊張緩和に向けた動きが急進展
した。今回の訪中では、北朝鮮が今後の経済運営を中国側と協議し
た可能性がある。
(1/2102:31朝日) 
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<特報・金総書記>朱鎔基中国首相と会談、改革・開放政策を視察
(毎日新聞)
 【ソウル16日大澤文護、澤田克己】韓国の外交消息筋は16日
、中国を訪問中の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キ
ムジョンイル)総書記が同夜、上海で中国の朱鎔基首相と会談した
ことを明らかにした。会談には黄菊・上海市党書記、徐匡廸・上海
市長が同席し、中国の対外開放の先進都市である上海・浦東地区の
現状などについて説明を受けた。昨年5月に続いて訪中した金総書
記が上海に直行し、上海市トップの同市共産党委員会書記を務め上
海の開放路線を推進したきた朱鎔基首相と会談したことで、今回の
主目的が中国の「改革・開放」政策の視察であることが明確になっ
た。  

 金総書記は、上海市幹部から、上海近郊にありIT(情報技術)
産業を中心とする中国の工業団地の成功例として知られる蘇州市の
状況についても紹介を受けており、17日にも現地を訪問するとい
う。 

 金総書記は15日に特別列車便で中国入り、北京を経由して16
日、上海に到着した。中国滞在期間は20日までとみられ、この間
に上海、蘇州のほか、広東省深センなどの経済特区や、対北朝鮮貿
易の拠点である大連に立ち寄るとみられる。上海訪問後に北京に戻
り、江沢民国家主席と会談する。 
[毎日新聞1月17日] ( 2001-01-17-03:01 ) 
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Jan.16.2001中央日報
【社説】北の変化信号に注目しよう
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キム・ジョンイル)
国防委員長が秘密裏に再び中国を訪問しているという事実は、年初
から北朝鮮が見せている変化の具体的な証拠として解釈できる。 

北朝鮮は新年に入り、新しい思考と経済建設を強調してきた。新年
辞では、たとえ「社会主義の赤い旗の進軍」を前面に押し出して体
制の結束を強調したものの、その目標は国家経済力の建設にあるこ
とを明確にした。 

また、今月4日付けの労働(ロドン)新聞は、金委員長の話として
、「21世紀に入った今日、必ず新しい観点と新しい高さから、すべ
ての問題を見て解決しなければならない」とし、『21世紀の新思考
』を唱えた。 

労働新聞の9日付けの正論も「古くて遅れているものは捨て去り、
思想観点と考え方を一新し、すべてのものを新しく思索し新しく実
践」することを促している。とりわけ「最短期間内に強い国家経済
力を整え、21世紀の世界経済強国の隊列に威風堂々と入ろう」と強
調している。  
  
これは、北朝鮮がこれまでの金日成(キム・イルソン)遺訓による
統治時代から抜け出して、金正日(キム・ジョンイル)時代に立ち
入っており、金正日時代の目標は経済強国の建設だという点を明確
にしている。 

金委員長が新思考を宣言した後、初めて訪問した所が中国だという
ことは、北朝鮮が中国式の開放政策に習おうとする意志表示であり
、訪問期間に中国の代表的な開放地域、上海−浦東地域を視察する
という事実は、まさに中国式の開放が新思考の実践だとの点を示唆
している。 

こうした点から、金委員長の新思考が今後の南北関係にいかなる形
で現れるものかが注目される。また、北東アジア情勢にどのような
影響を与えるのかも注目される部分だ。 

南北関係も、中国−台湾の両岸関係のような「1国両制」のモデル
に従うとすれば、今のように「基礎段階の連邦制」を固守する現状
維持の政策を追求することになるだろう。  
  
北朝鮮の経済再建において最も重要なことは国際的な支援であり、
このためには米国のテロ国リストから解除されることが肝要だ。し
たがって北朝鮮の外交目標は、米国との関係改善が中心になるはず
だ。 

こうした観点から見ると、北朝鮮は金委員長のソウル訪問を必ず実
現させるものと思われる。南北和解のプロセスを通じて、米国との
関係改善にも積極的に取り組むだろう。こうした諸要素は、南北関
係の改善や韓半島の平和定着に肯定的な要因として働き得る。 
  
このため政府は北朝鮮の新しい変身を積極的に支援する必要がある。
朝米関係の改善に向けて仲裁役割をしなければならないだろう。ま
た、北朝鮮側に対しては、ミサイルなど消耗的な大量破壊兵器の開
発を中断するよう説得する必要もある。 

特に、金委員長がソウルを訪問した際、南北間に平和協定を締結で
きるようにし、恒久的かつ制度化した平和体制を確保すべきだ。
南北間の平和定着が北朝鮮に対する国際的支援を可能にする最も重
要な要因だという点を納得させなければならない。


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