412−2.次期米国政権の政策



徐々に、次期ブッシュ政権の政策が明らかになっている。(Fより)
ラムズフェルド次期国防長官は、事前の予測通り、NMDの推進を
行うことを表明している。ブッシュ大統領は、公約の減税を実施す
ると明言している。NMDの増強に英国の保守党は賛成した。日本
もTMDを共同開発することになっている。台湾もその共同開発に
参加することになっている。

経営トップとの会議を3・4日にテキサスのオースチンで開催され
たが、ブッシュ氏は同日の会議終了後の会見で「短期的な経済の先
行きには懸念を持っているが、長期的には楽観的だ」と述べ、景気
対策として減税が必要であることを強調したという。
 そこには「政権のバトンタッチを受ける際に、できるだけ景気認
識が悪い方がプラス」(ブッシュ氏側近)という計算が働いている。
将来、景気後退に突入した場合に、責任をクリントン政権に押し付
けることが可能との読みがある。

それに、就任早々に中東和平の問題が、ブッシュ政権に降りかかっ
てくる。パウエル新国務長官の初仕事としては、少し大き目である
が、成功すると株が上がるため、今から勉強していると思うが、楽
しみですね。パウエル氏の実力はいかに。
それと、北朝鮮との交渉であるが、多額の援助をクリントン大統領
は約束しようとしていた。この交渉は、共和党では認められないよ
うに思う。このため、再度交渉のやり直しになるでしょうから、
北朝鮮は、ミサイル・カードが有効にならないことになる。

1月20日まで、後残り3日である。さあ、新政権の出発だ。

そして、中国はインドとの友好関係構築を急ぎ始めている。李鵬氏
のインドでの声明は、米国に対抗するため、印中友好関係を構築し
ようというものであった。事前の予測通りである。中国の次の手も
面白いですね。
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米朝ミサイル合意は「数カ月で実現」 米大統領が見通し  
 クリントン米大統領は11日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
のミサイル問題をめぐる米朝合意は「次期政権の最初の数カ月で実
現できるだろう」と述べた。ロイター通信との会見で語ったもので
、大統領は「準備は整っており、ブッシュ次期政権は好機と見るだ
ろう。次期政権の最初の業績になる」と楽観的な見通しを示した。
 クリントン政権は、北朝鮮が中長距離ミサイルの輸出、開発など
をやめる見返りに、人工衛星や多額の人道支援を提供する交渉を進
めていた。開発凍結の検証方法などをめぐって米朝間には依然、溝
があったとされている。クリントン大統領の発言には、ほぼ合意に
達していたと自身の実績を強調する狙いがあるとみられる。

 一方で、ロス国務次官補(東アジア・太平洋担当)は12日の
記者会見で、ミサイル交渉に「前進はあったが、十分な合意には行
き着かなかった」ことが大統領の訪朝断念の背景だったことを認め
た。ブッシュ次期政権には引き続き、交渉の詰めが残されているこ
とを示したものだ。

 クリントン大統領は最後まで、米大統領としての史上初の訪朝に
意欲を示していたが、先月末に「十分な時間がない」との理由で断
念したことを発表した。ロイター通信との会見で大統領は次期政権
に、合意の実現のために交渉継続を呼びかけた。(1/1311:52朝日) 
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英保守党首のNMD推進発言に批判集中  
 英保守党のヘイグ党首が12日、「英国は欧州の先陣を切って、
米国の本土ミサイル防衛(NMD)を支援すべきだ」と演説した。
英ブレア政権は他の欧州諸国やロシアへの配慮から、米国と緊密な
同盟関係を結びながらもNMDには慎重な態度をとってきた。ヘイ
グ氏の発言には「米国のブッシュ新政権にすり寄って、党勢を立て
直したい」との党略が透けて見えるだけに、与党労働党だけでなく
英軍関係者からも「外交的な思慮に欠けた軽率発言」と逆に集中砲
火を浴びている。
 ヘイグ党首は「NMDを米国単独の計画にさせず、英国をはじめ
欧州諸国も関与することが、欧州の安全保障のために大切だ」とし
て、NMD計画への積極支援を呼びかけた。

 ブレア政権は「米国から正式な協力要請があるまで結論は出さな
い」と慎重な言い回しに終始してきた。良好な関係にあるロシアが
NMDに強く反発しているほか、独仏など欧州主要国が懸念を表明。
英国軍にも実効性を疑問視する声がある。

 米大統領選で共和党が打ち出した「思いやりのある保守主義」を
、保守党も追随した。クリントン大統領との親密な関係を売り物に
したブレア首相にならって、ブッシュ新政権にすり寄りたい気持ち
が表れた発言とみられている。(1/1312:30asahi) 
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NMD、国防予算増に意欲 ラムズフェルド次期国防長官  
 米国のラムズフェルド次期国防長官は11日、人事承認のための
上院軍事委員会公聴会で、「米本土と、海外駐留の米軍、同盟国を
ミサイル攻撃から守るために、最先端技術を駆使した効果的なミサ
イル防衛網をつくらなければならない」と述べ、米本土ミサイル防
衛(NMD)、戦域ミサイル防衛(TMD)の開発と配備に意欲を
示した。同氏は「ミサイル、テロ、宇宙兵器、サイバー(電脳)攻
撃などの21世紀の新たな脅威」に対応するため、「国防政策を包
括的に洗い直す」方針を強調し、国防予算の大幅増を実現する考え
も表明した。
 クリントン大統領はNMDの配備決定を先送りしたが、ブッシュ
次期政権は本格的な配備を公約に掲げている。また、海外駐留米軍
や同盟国を近隣のミサイル攻撃から防衛するTMDは、日米の共同
技術研究が始まっている。この日の議会証言は、TMD開発にも力
を入れる方針を示したものだ。

 ラムズフェルド氏は、「核の大規模報復に基づく冷戦時代の古い
核抑止戦略だけでは、新たな脅威に対抗できない」と述べた。その
うえで、「断固とした政策変更」を通じて、核戦力とミサイル防衛
を組み合わせた「信頼できる抑止力」を再構築しなければならない
、と語った。また、NMD導入の障害となっている1972年の弾
道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約について、「古代にさかのぼ
るほど古い条約だ」と切って捨てたことは、条約堅持を唱えるロシ
アの反発を招きそうだ。

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)については「世界のミサイル
の主要な供給元だ。彼らは、ミサイル能力を持つことで、近隣諸国
の対応に影響を及ぼすことができると考えている」と指摘した。

 中国に対しては「米国に脅威を及ぼすサイバー戦争などについて
の軍事ドクトリンもある。中国はアジアでの影響力を増やそうとし
、米国はこの地域に米軍を駐留させている。(その意味で)競争相
手だ」と述べた。ただ、「米中は貿易のパートナーでもあり、(競
争関係のみにとどまらない)多くの側面を持つ関係だ」と強調し、
「自己欺まん的な関与政策はできないし、戦略的なパートナーでも
ないが、賢明で思慮深い方法で米中の歴史を書かねばならない」と
の考えを示した。
(1/1212:40asahi) 
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2001/01/12−14:20JIJI
 経済・通商で要所に知日派=米次期政権 
  【ワシントン11日時事】ブッシュ次期米政権で経済・通商政
策のかじ取りを担う人事が、11日出そろった。中でも、司令塔と
なるホワイトハウスの経済担当大統領補佐官にリンゼー元連邦準備
制度理事会(FRB)理事、貿易交渉の最前線に立つ通商代表部
(USTR)代表にはゼーリック元国務次官と、知日派として知ら
れる人物が要所に配置されたのが目立つ。 
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「インドは重要な隣国」 李鵬氏が友好と協力呼びかける  
 中国の李鵬・全国人民代表大会常務委員長は13日、ニューデリ
ーのインド国際センターで講演し、「インドは重要な隣国」と述べ
た。同国に根強い中国への対抗意識に配慮して、「2つの巨大な発
展途上国として、中国とインドは国際的な舞台でさらに積極的に役
割を演ずる義務と能力がある」と、友好と協力を呼びかけた。
 李鵬氏は「我々はインドを脅威とみなさない。我々が他国への脅
威となる意図もない」と強調し、インド核開発の動機とされる中国
脅威論を否定した。また、「国際関係が1国や数カ国に支配される
のは公正でない」と、暗に米国を批判。「我々はともに多極世界を
好む」と連帯を求めた。インドの歴史や、急成長する情報技術
(IT)産業への称賛も惜しまなかった。知識人や政府関係者、
各国外交官ら約300人が聴いた。(1/1402:07朝日) 


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