407−2.原発の賛否について



千葉のken、中学校の教員です。

原発については、naokiさん、徳久さんの意見にほぼ賛成です。
原発の利点は、その他、次の点があるでしょう。

1、ウランを国内に備蓄できる。
ウランの場合は、1年分の使用量を国内に備蓄できる。しかし、
石油を1年分国内に備蓄するのは無理。現在は数ヶ月分か(石油の
場合)。資源を持たない日本の場合は、これはたいへん重要ではな
いでしょうか。
日本の場合は、電力の安定供給を非常に重視している。一昨年、
自衛隊機が墜落して架線を切り、広範囲で停電が起きたが、この時
自衛隊員が2人死亡したにもかかわらずそれをほぼ無視して「停電
だ」と騒いでいた(朝日新聞)。

2、100%安全な電力はない。一番安全な電力を使うべき。
水力、火力、原子力の中でどれが一番安全か、これをよく考えるべ
きでしょう。
水力による環境破壊、火力による大気汚染とタンカーによる重油流
失事故(火力発電の燃料となる)による死者と環境破壊、原発によ
る放射線被ばくによる死者。
この数を明確にすべきです。

3、ドイツは原発廃止できるか。
ドイツは本当に原発廃止をできるのでしょうか。国内の原発を廃止
するのだから、当然フランスからの電力輸入も止めざるを得ない
(フランスは8割方原発による発電)。こうなるとかなり深刻な電
力不足となるはず。ヨーロッパでは、電力の輸入がけっこう当たり
前。自分のところの原発を廃止して、他国の原発で発電した電力を
輸入するのはおかしい。

4、自然エネルギーが原発に取って代われるのか
原発による発電は、「基底発電」といい、一日中一定の発電をして
いる。原発は100%のパワーで発電するのが安全だし、燃料代が安い。
太陽光発電などの「自然エネルギー」が「基底発電」を受け持てる
とは思えません。太陽光発電は昼間しかできない。現在昼間の発電
を受け持つ「火力」にとって代われるかもしせませんが。

Ken
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コスモスです。しばらく中国についてまとめていたためと、「安全
な原発・・・」についての次の議題が、あまりに国際戦略という命
題からかけ離れそうに思えたので、しばらく原発問題については
静観いたしておりました。
 しかし、naoki様や徳久@ROM様の御意見について、補正
できそうな知識を持っておりますので、どうか参考になさって下さい。

 非常時でのエネルギー政策は、『とりあえずの代用』という重要
度しかありません。電気で戦闘機は空を飛びませんし、産業や国民
生活の安定のためのエネルギー確保についても、電気が占めるエネ
ルギー需要の割合というのは想像されているより少ないのです。
 日本国内の発電設備を集中的に攻撃する段階は、敵側が「これは
長期戦になる」と判断した際に行われるもので、相当時間がたって
からになります。それ以前に破壊、攻撃しなければならない設備、
兵器はたくさんありますから。
 原発への攻撃に、本気でミサイルを数発打ち込む戦略は、実現性
が低いと思われます。格納容器への攻撃よりも、送電線の爆撃破壊
の方が、原発の無力化という目的には容易だからです。原発は僻地
にありますので、破壊後に周囲に地雷を空中散布しておけばよい遅
延になるでしょう。原発の存在理由は発電ではなく電気を消費者に
送る事ですので、それさえ阻止で切れば原発にはノータッチでも別
に構わないわけです。
なんだかフランスのエバンエマール要塞の話に似てますね。

 もしも放射性物質を撒き散らしたいと思うなら、再処理工場を
空爆すれば事足りるわけです。格納容器なんてないですよね?

 そもそも周辺諸国の侵攻は、戦前のような長期に渡るものにはな
りません。これは断言できます。中国のレポートを今作成中ですの
で、この点は後に譲ります。戦争時においてエネルギー問題が浮上
するのは相当長期に渡った場合に限られます。そもそも大量消費国
である日本、御得意さまである日本を、東南アジア諸国が景気悪化
に仕向けるでしょうか?

 事故の発生について、その確立を問題にするのは、原発において
は無意味です。ある事故が壊滅的な結果をもたらす恐れがある場合
、その事故の起こる確率は二義的な意味しか持ちません。
 私達が交通事故に会う確立は原発の事故よりも遥かに多いですね
。しかしその違いは被害にあります。事故の可能性と資料について
は、どうか皆さんでお調べください。交通事故にあった方がマシだ
と思われるのは確実です。

 なんと言いますか、説明すべき事はすでに今までの回で述べてあ
るようですし、今回はこのように手短でも御理解頂けると思います
。近々周辺有事を中国レポートで取り上げますので、楽しみにして
いて下さい。
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こんにちは。naokiです。

コスモスさんの反論の要点は、1.エネルギー安全保障が意味するも
のは小さい、2.原発攻撃の非現実性、3.原発の安全性は確率論から
ではなく被害の特殊性から考えるべきだ、と理解しております。

 まず、3.はある程度、私への反論らしい反論かなと思います。
 2.は、以前の在日の方の投稿の反論になっています。これは私も
良い視点だと思います。しかし、敵も我々と同じ認識を持って攻撃
するのだろうかという疑問は残ります。敵国指導者が、我々の予想
を越えた発想の持ち主だったらどうしましょうか。
 1.では、コスモスさんと私との、リスクに関する捉え方の相違が
表面化したものと思われます。これは2.でも言えることですが、
たとえば下の「そもそも大量消費国である日本、御得意さまである
日本を、東南アジア諸国が景気悪化に仕向けるでしょうか?」
ですが、私なら「彼らはそんなつもりがなくても、政情不安定にな
れば、状況は変わります。諸外国の政情不安定が日本に与える影響
までも勘案しておく必要があります」と反論しますから。

どうやら私のリスク対策観念は強すぎるのかもしれませんね。安全
保障については徹底した性悪説に基づいて発想すべきだ、敵は狂気
じみた状態になってはその行動が全く予想がつかない、という観念
がありますので(でも友好政策ももちろん必要だと思っていますよ)。

そして、本気で脱原発を目指しているのなら、政策決定者の原発採
用の本当の意図、本音を知り、そこに集中して反論を提示すべきで
はありませんか。前回では、私はある程度、この本音に迫ったつも
りです。要点は、1.エネルギーの国産化2.原発の準「核抑止力」
3.原発のビジネス性です。これらへの迫力ある反論を提示すべきだ
と思っているのですが、いかがでしょうか。

コスモスさんの今回の反論では、原発容認の私の態度に全く影響が
ありませんでした。私は原発絶対賛成論者ではありません。状況に
応じて判断すべきだが、現時点では原発を容認すべきだと言いたい
だけです。望ましい代替エネルギーが開発されれば、原発を縮小す
るのは良いことだと私も思っています。今後、反対派が魅力的な反
論、代案を示してくれるのを楽しみにしています。

コスモスさん、中国レポート、楽しみにしています。私も在中日本
人(別に親中派というわけではありません)として、中国には格別
な関心があります。いろいろ議論を深めましょう!


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