403−1.文化の形成



アイデンティティーの喪失           まっちょん
   
  あけましておめでとうございます。 

 NO.397−2柳太郎さん−RE:21世紀の展望−1文化的
側面−を読みまして思い浮かんだままに書かせていただこうと思い
ます。特にレスというわけではないので念のため。 

「文化」というものがわからなくなりました。例えば日本の文化を
取りあげ、そこに産まれ育った者が日本人としてのアイデンティテ
ィーを持つと単純に考えた場合、その文化とは歴史のことなのか。
それともスシやスキヤキといった特有の物なのか。宗教や先達の積
み上げてきた思想のことなのか。 
 第二次世界大戦後、もしくは明治維新以降、西洋化を目指し発展
してきたこの国において、21世紀そして未来へ伝わっていく文化
とはいったいどのようなものなのでしょう。自分たちの子孫へ語り
残すべき文化−−日本らしさ−−は、現在の社会や精神世界の、
どの部分なのでしょう。 

 他国ならばフロンティア精神なのかもしれませんし、中華思想か
もしれません。また一神教や哲学なのかもしれません。それらは良
くも悪くも長い時をかけて脈々と受け継がれてきた民族の誇りなの
です。 
 これが日本人だ。と、誇れるものがなんなのか、残念ながら周り
を見渡してもわからなかった。宗教儀式は習慣化して日常実践する
ものではなく、大和魂や武士道が残っている様子もない。かろうじ
て、年表や系図、遺跡遺物の数々や、衣食住のなかに見受けられる
物だけが、日本が続いてきたことを物語っている・・・。 

 ぼくが住んでいるのが「血」の影響が薄い都会、それも歴史の浅
い北海道だからかもしれません。しかし現在の日本人よりも、失わ
れつつあるアイヌたちのほうが、誇りを持って生きているように思
うのです。 
 (ちなみに、アイヌは東北・北海道・樺太の先住民であり、同じ
血縁の民族ではなく同質の文化を持っていた集団であるようです。
まだ詳しく調べているわけではありませんので、間違えていたら申
し訳なく思います。なお、アイヌという語は近年、差別的表現では
ないとされ始めています。) 

 ここからはNO.396−1の得丸さんのコメント−21世紀の
文明と文化を自分たちで作り出すために−とかかってくるところも
あるのですが、現在26歳のぼくは遊びほうける大学生であった時
期もあり、いまだにゲーム世界に片足を突っ込んでいる人間です。
経験や知識も非常に少なく、基盤となる思想もなしに、ただ近い周
囲だけを見て考えることしかできない国際感覚もまったく持たぬ若
輩者なのです。(さらに言うと「ちくわぶ」がなんなのかもわかっ
てません(苦笑)) 
 そんな自分がまだ知らないもののなかに、日本人としてのアイデ
ンティティーを構成する材料が眠っているだけなのかも・・・。
それが日本人だけでなく万民/万物に笑顔を与えるものであれば、
21世紀の日本はより発展していくものと思います。 

 なんだか無茶苦茶な終わりかたですが、新年のご挨拶がわりとい
うことでご容赦願います。 
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文化の形成                     柳太郎
   
 「文化とは何か?」、「日本文化とは何か?」この問いに、「はい、
これです。」と答えることは私にはできませんが、個人が身に付け
ている「文化」を考えるにあたって重要なのは二点であると思いま
す。 

一つは、個人がその育った固有の環境で身に付けたもの。これは、
例を挙げると、北海道で育った人と沖縄で育った人は同じ日本でも
感覚的に違った文化を内包しているのではないかということです。

その土地の自然環境がその土地に特有な文化を形成します。ですか
ら、北海道でしか育ったことのない人と沖縄でしか育ったことのな
い人はこの点において違った文化的要素を持っています。そしても
う一つ大切なのは、家庭環境。家庭のあり方により、個人の在りか
たは大きく決まってくると思います。あくまでも個人的な考えです
が、(人間が年をとってから)自分が生まれ育った土地や、家族(田舎
)、またはそれに近い環境に戻ろうとする意識が働くのは、幼い頃
に育った場所で身につけた文化が、個人の核としていつまでも残っ
ているからではないでしょうか? 

もう一つは、国家(State)の力によるもの。日本でもヨーロッパで
も、地方ごとに違った言葉(方言)を使い、違った文化を育んでいた
し、今でもそうでしょう。これを近代国家の力により、その領域内
で同質化が行われてきました。日本でいえば、明治期に入ってから
「国語」が整備され、教育は全国的に同じシステムが適用されるよ
うになりました。同じ歴史観を持つようになり、同じシンボル(天皇
)を共有するようになりました。同じ法律の基で、同じシステムに
より人々が生活するようになったわけです。これが、ネイション
(Nation)の形成です。北海道から沖縄までの人たちを結び付けてい
るものは、日本民族固有といえるものも多少はあるかもしれません
が、多くは義務教育などによって国家により植え付けられたもので
あるということが分かります。また、食文化のように、技術的な発
展により今まで生魚を食べられなかった人たちにも、今では一年中
供給されるようになったものもあります。逆に、山の幸が全国的に
広まるといったこともあります。

一般的に日本文化といわれるものは、後者に属し、日本独特なもの
とであると思います。地方の文化が全国に広まって日本文化とみな
される場合もあるかもしれませんが、国家の力により、全国に広め
られているもののほうが多いのではないでしょうか?

なお、「文明」や「文化」の衝突ですが、それ自身が衝突すること
はないというのは前回述べたとおりですが、この2語の定義の仕方
と、政治的な力が働くことにより、衝突の原因として取りざたされ
ることはあります。

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