401−1.原子力発電の容認



みなさまこんにちは。naokiです。
かなり以前からこのMLは取っていたのですが、投稿するのは初め
てです。よろしくお願いいたします。

最近、原発問題についての内容を時々お見かけしますが、私も原発
についての個人的考え方を述べさせていただきます。
結論から言いますと、私は原発容認派です。積極推進派でも反対派
でもありません。

この問題はとても広いですから、体系的に自分の考えをまとめるに
はあまりにも時間がかかってしまいます。話があちこちに飛んでし
まいそうですが、お許しください。

原発の、私が考えるメリットを下に挙げます。
1.原発は準国産エネルギーであること。
 この意義はとても大きいと思います。日本は何かと基礎資源を外
国に頼っていますが、安全保障から考えるととても危険です。特に
基礎資源は自給率が高いほど望ましいのです。ここでいう基礎資源
とは、たとえば食料、エネルギー、原材料などです。石油依存率が
約7割の際に起こったのがオイルショックです。エネルギー安全保障
を考えれば、国産エネルギー源を主軸にして、他のエネルギー源を
均等配分(エネルギー源のみならず、輸入先も中東以外にも分散させ
る)してリスクを減らすというのは、ごく自然な発想だと思います。
 今後中国の海上プレゼンスが高まるでしょうから、シーレーンが
脅かされる可能性もあります。国際政治の中では、常に何が起こる
かわからないという危機感から出発した対策が必要だと思います。
いつまでもアメリカにばかり頼っているのは望ましくないでしょう。
 それゆえ、私は高速増殖炉もさらに積極的に開発すべきだと思い
ます。

2.原子力技術の向上が望めること
 この点はあまりおおっぴらに語られることはありません。しかし
国家安全保障を考えれば、この点もきわめて重要だと思います。
 原子力技術は核開発技術に結びつきます。これがいいのです。「
ではおまえは日本核武装論者か」と言われるでしょうが、私は日本
核武装論者ではありません。かといって、空想的核絶対反対論者で
もありません。現状では日本に核兵器は必要ないが、状況が変われ
ばどうなるかわからないというのが私の考えです。状況によって臨
機応変に対応すべきと考えているだけです。
 話はそれましたが、私が言いたいのは、高い原子力技術を持って
いれば、その気になればいつでもすぐに核兵器を開発できる、この
状態がいいのです。これが「核抑止力」に準ずるパワーを持ってい
ると考えるからです。「日本を攻撃したら、どんな反撃を食らうか
わからない。あいつら、核兵器を持たないといっているが、1週間で
核兵器を作っちゃうんじゃないのか」こう思わせることが、準「核
抑止力」を持つのです。
 確かに原発技術で、すぐに核兵器開発ができるのか、という反論
もあるでしょうが、抑止力は必ずしも実体を伴っていなくてもいい
のです。相手に疑いを抱かせるだけでも十分抑止効果はあります。
 以前、在日の方から、北朝鮮は核ミサイルを持つ必要がない。
日本の原発を狙えばいいだけのこと。という話がありました。これ
にも触れておかなければなりません。結論を簡単に言うと、原発の
構造は結構頑丈で、北朝鮮のミサイルぐらいでは吹っ飛ばないとい
うことです。確かに使用不能にはなりますけどね。ど真ん中(炉心)
に命中しても、放射性物質が飛び散る、なんてことはありえません。
米ロの高性能ミサイルならわかりません。どれだけの破壊力で、
炉心が吹っ飛ぶかについては、具体的なデータを持っていないので
はっきりしたことはいえませんが、少なくともテポドンぐらいでは
大丈夫だろうということです。それでも原発対策に限らず、やはり
TMDぐらいは導入すべきでしょう。
 国の安全を考えれば、無視できない話だと思いますが、いかがで
しょうか。

以下、他に思うことを述べます。
1.原発の安全性の問題
 原発の安全性が良く議論の的になります。これほどわかりにくい
話はありません。簡単に言えば、原発関係者は安全だという前提で
話をするし、反対派は事故が起きるものだという前提で話をする、
議論がかみ合っていないんですね。でもこのような議論では、原発
関係者のほうが不利だと思います。
 そもそも、この世の中に絶対安全といえるものが存在するだろう
か? 答えはNOです。火薬工場が爆発して作業員が死亡、なんてニ
ュースは時々見かけます。安全性の面だけで言えば、反原発運動を
するのなら、火薬工場の全廃運動もすべきです。自動車、飛行機、
刃物全て全廃運動をすべきではないですか。そうでないと不公平、
差別です。
 私も原発は絶対安全なんて思っていません。ただ、問題は原発そ
のものにあるのではなく、それを管理する人間、そして体制にある
のです。しっかり管理してさえいれば基本的に問題はありません。
ときどき原発関係者を見ていて思うのですが、原発は高度な技術で
すから、原発関係者は往々にして傲慢になっちゃうんですね。一般
人には理解できない、と。だからどうしても密室政治になってしま
う。そうなると、人間は惰性に流されるから、管理が甘くなってし
まう。もちろん核管理には機密情報というのがありますから、これ
は別として、それ以外のところで、もっと開かれた、民主的な体制
にすべきでしょう。
 結局、原発そのものの安全性の問題というよりも、原子力関係者
が一般市民の不信感を引き起こすことが問題なのです。

2.「原発は二酸化炭素排出抑制に貢献できる」
 原発推進論者はこのように宣伝していますが、実際のところどう
なんでしょうか。反対派も強力な反論を提示していますので、あま
り積極的に宣伝材料に使わないほうがいいのではないでしょうか。

3.原発ビジネス
 人間、やはり金には弱い。特に近年、欧米で原子力の減少傾向に
ある中で、原発ビジネスは非常にやりやすくなっているという面も
あるでしょう。何しろライバルが少なくなるんですからね。

4.武装原子力警察について
 コスモスさんの原子力に関する文章第三回目に触れられていた、
核管理社会がもたらす危険性についてですが、私はこれを「危険」
だとは認識していません。日本にはいまだにスパイ防止法がなく、
海外からのスパイが自由に出入りできる、「スパイ天国」なのです。
武装原子力警察の創設が、スパイ防止法制定に向けての風穴を開け
てくれることにつながるので、むしろ賛成です。
 欧米や中国など、日本以外ではいろんなところで、スパイ対策が
打たれているのですよ(対策だけでなく、自分でもスパイしていま
すからね)。これが厳然とした世界の常識なのです。別に困ること
がなければ世界の常識に合わせる必要はないのですが、でもこれで
日本は多くの国益を失っていると考えられるので、黙っておれません。

最後に
 まとまりのない文章になってしまいましてすみません。原発も、
地域住民の観点だけでなく、冷酷な国際関係の中でどのように見え
るのか、経済的にはどうか、など複眼で見る必要があると思います。
さまざまな観点で見て、メリットデメリットを天秤にかけた上で判
断すべきでしょう。
 原発反対派は、いろいろな問題を吹っかけていこうとしますが、
本当に脱原発を目指すのなら、政策決定者が認識している原発のメ
リットや魅力を超えるような代替案を提示すべきでしょう。原発の
持つ魅力以上の魅力を持ったエネルギー源があるのなら、誰でもす
ぐにでもそちらに飛びつきますから。私もそちらに飛びつきます。

 みなさんのご意見をお待ちしています。
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 徳久@ROMです。会社勤務中や卒業後に、資源・エネルギー・
環境に関連することを書いたり、喋ったりしていましたので、NAOKI
さんのコメントに触発されて、少し発言したくなりました。

 私の講義を聴いた学生さん(慶応大学、千葉大学、東京工業大学、
青山学院大学)がこのメーリングリストをごらんになっていたら、
失礼ながら、NAOKIさんと私の意見はほとんど同じだと感じたことと
思います。
 すなわち、私はNAOKIさんのご意見に全面的に賛成です。
 一つだけ付け加えさせていただきますと、私は個人として、徹底
した省エネ、省電力に努めています。それは、原発反対を唱えなが
ら、電気を多量に消費する生活をするようなことだけはしたくない
ということです。

 国民の一人一人が私と同じ生活をすれば、原発なしで日本の電力
の需給はバランスしますすし、風力等の自然エネルギーを上手く使
えば、今後も石油依存度を落とすことが可能だと思っています。
 私の生活の具体例を幾つか挙げます。
 第一に、冷暖房は使用いたしません。今、パソコンに向かってい
る私は、かなり厚着して、登山用の寝袋に入って手だけ出してキー
ボードを叩いています。足下には小さい電球1個分の電力しか消費
しない、座布団くらいのホットカーペットがありますので、寝袋の
中はポカポカして眠くなることすらあります。
 バス以外の自動車には殆ど乗りません。会社勤務のとき、会社が
私にハイヤーを付けてくれたことがあります。ハイヤーで週末ゴル
フに行くような生活をすれば、支払いは月100万円を超えましょ
うが、私は精々月数万円でした。
それも、自分で乗った分ではなく、お客様の送りなどの分でした。

 このように、日本人が一生の間に消費する電力、石油の中でも、
量的に多いものを節減することで「私は原子力発電に依存しない生
活を心がけている」と言えるようにしていました。もう大学で講義
することもありませんが、この生活は続いています。負け惜しみで
はなく、心豊かな生き方です。

 日本では、年間1万人を超える人が、自動車の事故で亡くなって
います。私が原発の事故で死亡する確率と自動車事故で死亡する確
率は比較になりません。それでも、私は自動車の恩恵を直接・間接に
受けていることを知っていますので、自動車禁止を提唱いたしません。

 同様に、私は(自分はともかく)原子力で発電した電気の恩恵をフ
ルに享受しながら「原発反対」を大声で叫ぶ動きに同調したくあり
ません。理由はNAOKIさんが述べられた通りです。

 長くなりすぎましたので、この辺で。
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(Fのコメント)
naokiさん、徳久さんの意見は面白いですね。
原発の世界の動きは、フランス以外は廃止の方向ですが、フランス
の意見とご両人の意見はだいたい同じなのです。
また、徳久さんの意見での省エネは賛成ですが、太陽光発電などに
より自分の家のエネルギーを全て自分で生む出すことを考えたいと
思いますね。そうすれば、悲壮感がなくなる。

また、中国の東風ミサイルで直撃されなくても、近くで核爆発され
ると、影響範囲は拡大し、ミサイルの効果は大きくなることは知っ
ていますよね。北朝鮮より中国のミサイルが問題です。そして、
台湾問題があり、もし中台戦争になれば、米国は中国抑止の行動に
なる可能性があります。日本も米国との同盟関係にあり、この戦争
に巻き込まれます。この危険性が0でないことが今の世界情勢でし
ょう。

中国の日本へのタンカー阻止行動になる可能性は、中台戦争の時で
しょうから、その時米国もその戦争に参加し、日本も自動的に参加
している状態を想定できます。

平和な時は、あまり原発に問題を感じませんが、戦争を想定すると、
やはり、原発を廃止して自然エネルギーへの転換を早く実施した方
がいいのではないかと思うのです。勿論、今すぐに原発を廃止でき
ませんから、当面は原発を使うしかないが。


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