400−1.吉田松陰について



Re:いそがしい世紀 得丸久文   2000/12/27 06:24 
   
 ヒロさんへ、 

> いつ死んでも良いというのは、ホントに自由ですね、 
> でも、これは日本独自の思想ですね。 
> 

肉体は滅びるけど、意識は、思想は伝わる。 
そこが思想の強さじゃないかな。 
松陰はそれを知っていたから、死ぬのが全然恐くなかった。 

実際に、僕たちは、吉田松陰本人の書いた本を今読んで感動する。 
それだけのものが込められているんだ。 
(「講孟剳記」講談社学術文庫) 

思想家は、今はやりのDNA情報ではなく、精神活動、意識、後天的
な学習活動にすべてをかける。 
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いそがしい世紀 ヒロ   2000/12/27 00:58 
   
 得丸様 

松陰のことですが、 
> 本人はあえてそれを望んでいたそぶりがあります。 

いつ死んでも良いというのは、ホントに自由ですね、 
でも、これは日本独自の思想ですね。 

今の政治やマスコミを見ていると複雑です、 
でもよく考えてみると、政治やマスコミが複雑なのでは 
なく、人間の心が複雑なのかもしれません。 
戦争にしても、望んでいる人はいないでしょう、 
世界中で望む人は、数万、数百、数十人ぐらいかもしれません、 
戦争はある意味では創造かもしれません、 
無いところに創り出します、 
その戦争の痛みを知ることも創造することかもしれませんが 
すべてが早くて、立ち止まれない世紀ですね。 
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松陰 ヒロ   2000/12/28 19:29 
   
 得丸様 

松陰の講孟余話(妙)を図書館見つけ読みました。 
何か三島由紀夫を思い出しました。 
でも松陰には芸術という世界も無く 
生活そのもの行動する美しさ、 
そして無私で純粋な日本の魂みたいなものを思い出します。 
現代に生きていたら・・・・・・(悲惨でしょう)。 
あの時代でも生きにくい・・・・・。 
松陰にしても三島も何かすべてをひきうけるやさしさが 
あるように思います。 
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生きにくいなんて感じる暇はなかった? 得丸久文   
New   
 ヒロさん、 

「講孟余話」を読まれた感想をお送りいただきありがとう。 

これまで「講孟余話(冊記)」を読め、読めと人に言いつづけてきま
したが、実際に読んだ感想を頂いたのははじめてですので、大変うれ
しく思いました。 

本というものは、自分でページをめくり、自分で著者の言葉を追い、
自分で理解する以外に、その知識を吸収する方法はありません。最初
はむずかしく感じる漢文調の文体も、すぐに慣れてスラスラ読めるよ
うになりますから、どうか他の方もお試しください。 

また、講談社学術文庫の近藤啓吾訳注の「講孟剳記」からは、吉田松
陰の生の声が聞こえて来ます。こちらもお試し下さい。 

ヒロさんは、松陰にとって生きにくい時代であったのではないかとコ
メントされていますが、意外と本人はそんなことを感じる暇もなく自
分の人生を生ききったかもしれないなと私は思います。 

ラグビーのゲームで、スクラム、モール、ラック、ライン攻撃などな
ど、潰されても、止められても、とにかくボールを前に運んでいくの
と似ているかもしれない。前に行くことしか考えないから、もっとこ
うすればよかったとかいう後悔や、今自分の置かれた状況が不遇だと
いう不満を、考えている暇がないのです。生きにくいと思う暇がなか
ったというか。 

とくに松陰の場合は、20歳を過ぎた1850年以降、九州平戸、江
戸、水戸、東北などを旅して見聞を深め、各地の志士たちと意見を交
わしていた。1854年に下田でぺリーの率いるアメリカ船への密航
に失敗して以降は1859年に刑死するまで、牢獄あるいは自宅謹慎
の中にいた。そのおかげで、ひたすら勉学と後進の教育に集中し専念
するという大変に密度の濃い、まったく無駄のない時間を過ごすこと
ができた。松陰の主著「講孟剳記」も、松陰が幽囚の身になければ生
まれなかったでしょう。 

つまり松陰の人生は、一見すると激動する時代の波に翻弄されている
かのようにも見えますが、実は彼自身がもっとも力を発揮できるよう
に、その場その場で主体的に自ら人生を選びとっているのです。安政
の大獄における刑死すら、自ら選びとったといえなくはない。 

思想家として後世に問うべきものは、「講孟剳記」がある。悲劇的な
死が松陰自身を神格化し、日本の歴史上不朽の思想家と位置付けたこ
とも、おそらく本人はある程度予測していたのではないかと思います。
よく歴史を勉強したから、そこまで先が読めたのでしょうね。カッコ]
イイですね。 


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