399−2.省エネルギーの検討



省エネ、省資源を危機的こととして議論しているが、技術サイドの
議論がない。ここでは、技術サイドの面から、この問題を検討しよ
う。(T、Fより)

0.前書き
環境問題とは、人間が神の代わりをして、地球全体のバランスを取
ることである。そして、地球の温暖化防止や地球環境の保全、資源
の枯渇に備えるのが目的ですが、人間が神に変わることは当分でき
ないでしょうから、地球を単純なモデルにし人間でも理解可能にし
て、そのバランスを取る必要があるのであろう。

このバランスの中心はエネルギーだと感じる。エネルギーの中心は
電力であり、そして、石油を使っている内燃機関の代わりをする
燃料電池なのであろう。よって、この2つのテーマを中心にここで
は考えることにする。

日本人は、全体の目標を設定するのは不得手であるが、目標が決ま
ると技術を駆使して、その目標を達成する。そこには、いい監督や
いいプレーヤーが必要であるが、必ず今までは実行してきた。目標
実現に向けて生きに燃える人間たちが出現して、今までは実現させ
てきた。さあ、これからが日本の出番だ。

アナログIC回路設計は、日本の独壇場であるため、この分野でも
日本が中心になる可能性が高い。米国など欧米諸国は、昔のマスキ
ー法と同じように、危機感だけ盛り上げ、その期限までに製品化す
るのは日本ということになる可能性もある。

1.自然エネルギー化
 化石燃料から自然エネルギーへの変換が必要であり、変換結果は
今までと同じ電力がエネルギーの中心になる。これは、電力設備や
電力で動く設備やモーターが社会のインフラになっているためであ
る。自然エネルギーは、分散性が高く、例えば太陽光発電は単位面
積当たりの発電量は小さい。このため、家やビルなどの多くの場所
に設置する必要があり、結果的に分散電源化になる。この分散電源
の促進を政府や社会が行うことになるのでしょう。後は値段が今ま
での電力の値段と引き合うかどうかだ。

・太陽光発電
 太陽光発電は、1KW当たり30円程度になり、発電効率向上が
必要である。現在は青色の光にしか反応しないため15%程度の
効率しかないが、複数の光に反応するマルチ化により40%程度の
発電効率まで向上できることが分かっている。

商用電力と太陽光電力の系統接続関係の設備はまだ高価であり、
またバッテリー等の蓄積設備が高価なため、設備できないなどの問
題がある。それと、既存の家やその他施設に太陽光発電装置の取り
付けは簡単ではない。この簡単化は必要であろう。2050年まで
には、半分以上の家に取り付けたいですね。既存の家に簡単に取り
付けられることが必要になる。

・風力発電
 現時点で商用化可能なのは、風力発電であるが、1KW当たり10
円程度であるが、しかし、自然界には1/f波揺らぎの振動による
高調波対策が必要である。この高調波があると電力メイン系統には
15%以下しか配電できないことになってしまう。高調波除去の技
術確立が必要である。それと、北欧、北海道など風に強い地域しか
適地がないため、日本全体が風力発電にならない。

・波力発電
 実験段階であり、まだまだ技術的な問題がある。これも、やはり
高調波対策が必要であろう。

・水力発電
 大電力発電可能地域があまりないが、一番安い発電である。そして
揚水方式の発電は夜間モータで水を高台に上げ、昼間放水して発電
するため、需要変動に適合した効果的な発電が可能である。

・原子力発電
 世界的に停止の方向にある。しかし、フランスだけは増加の方向で
エネルギーとして、フランスは他にエネルギー源を持っていないため
であるが、自然エネルギーの中ではエネルギー効率が高い方であるた
め、利用しているようだ。定常的な発電に日本は使用している。
しかし、破壊時の影響が破滅的であるので、軍による防衛やテロ等の
防御が必要であり、周りに日本のようにミサイル等を持つ軍事仮想敵
国がある場合は、止めた方がいいでしょう。
原子力の汚染時対応のダメージが大きい。そして、臨界事故まで起こ
す日本の原子力業者を信じることは不可能であろう。やっても、今あ
る原発を維持することであろう。今後の原子力発電所の建設は反対が
多くできないでしょうね。安全と言っていた原子力の作業で、臨界点
に達することが判明し、安全神話は崩壊している。

・燃料電池
 燃料電池は、水素を空気中の酸素と反応させて直接、電気エネルギ
ーを取り出すシステムです。発電効率が40%程度になる。もし、
コジェネのシステムだと80%の効率化が可能になる。また、水素は
エタノールや天然ガスから供給できる。4種類の燃料電池があるが、
リン酸型はすでに実用段階になっている。この延長上に自動車用の
燃料電池がある。

2.エネルギーの節約
・エネルギー効率の向上
 まだ電力の効率改善が大きなエネルギーの節約になる。それは、
力率改善(電圧、電流の位相を一致させる)で発展途上国では充分に
実施されていないようなので重要である。これはODAを利用して、
発展途上国に援助することが必要であろう。
もう1つ、定電力、定電流、無停電化して、電力品質を高めることや
安定電源化すると、応用範囲が広がる。これに、不要電力の売電化を
進め電力のマーケット形成を促進して、昼間の電力使用量の多い時、
売電力の単価を引き上げると、全体的のバランス面でもいいはずであ
る。

・人間の快適さの管理
 人間の快適さは、人によって感じ方が違う。この人間の温度、湿度
などの快適さを管理し、エネルギー消費を制御すれば、節約できる。
この仕組みがデマンド制御であり、エネルギーのピークカットで、
これにより夏の甲子園の時間3時間しか運転しない200億円もする
火力発電所がいらなくなるのだ。

 この例がエネル(イタリア)のシステムで、家庭の冷蔵庫や調理器
などの電力を調整して、電力のピークカットを計画している。
これと同様なシステムを四国電力(OPEN planet)や東京電力(エコネット)
でも行う計画があるよううだ。このようなシステムを広域デマンド制
御というのであるが、家庭内のデマンドを広域監視して、家庭内
LANで電化製品を結び、ピークカットの指令を出し、コントロール
するようだ。LANではなく家電内の電灯線を利用して、通信して、
コントロールする方法もある。

・エスコ・サービス
 エスコ・サービスを知っていますか??省エネ化するサービスで
いろいろな手段を取り、今までと同じことを省エネルギーで実現する。

最後に高調波の説明をして今回は終わる。
*電源高調波とはなにか
  高調波とは基本波の整数倍の周波数をもつものと定義され通常
40〜50次〜数kHzまでのものを高調波、それ以上の高周波の
ものはノイズとして扱います。ノイズと高調波は下表のように原因
や対策などが明らかに異なります。
   項目      ノイズ                   高調波 
周波数帯     高周波(数10kHz以上)    40〜50次(〜数kHz) 
主な発生源   インバータ部             コンバータ部 
伝達経路     電路、空間、             誘導 電路 
影響 距離、  布線経路                 線路インピーダンス 
発生量       電圧変化率
             スイッチング周波数       電流容量 
現象   センサ類の誤検出やラジオ  進相コンデンサや発電機
     の雑音など           の発熱など 
主な対策 配線経路の変更、          リアクトルを設置 
     ノイズフィルタ設置
以上


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