YSです。 日本経済新聞12月17日朝刊「教育を問う」より (5)公共事業もどき・まず集票、理念消える(12/17) 幻に終わった教育改革国民会議(首相の私的諮問機関)の提言があ る。 「5歳でも小学校に入学できるようにする」――7月の分科会報告に はそうある。子どもの個人差にあわせて、6歳一律の入学を変えよ うという試みだ。だが9月の中間報告の記述は「さらに検討」に変 わり、提言は棚上げされた。 幼稚園のうまみ 幼稚園児の減少に直結する、と業界が素早く火消しに回ったのだ 。全日本私立幼稚園連合会などが森喜朗首相らに陳情作戦を展開。 自民党の「幼児教育を考える会」も緊急会合を開き、就学年齢引き 下げへの反対を決議した。国民会議のある委員は「提言が消えたの は、幼稚園経営者と自民党文教族の圧力があったからだ」と証言す る。 なぜ幼稚園団体の政治力が強いのか。小中学校に比べて私立経営 の比重が高く、園児数でみると8割弱を占める。助成金の関係で支 援を得やすく、教育界には珍しい集票マシン的効果を持つからだ。 11月8日午後、国会近くのホテルで開かれた全日本私立幼稚園 PTA連合会の全国大会。 「国や自治体が私学にできるだけ助成する体制をしっかりしなけれ ば日本の教育がダメになる」。連合会の前会長でもある森首相は 私学重視の姿勢を強調した。 国会開会中にもかかわらず、自民党所属の国会議員の約7割にあた る236人が集まった。当選に必要な得票ラインが上がった小選挙区 制の導入で、教育団体の票の重みが増しているのだ。 幼稚園団体と自民党の蜜月(みつげつ)は予算にはっきり出てい る。全日本私立幼稚園連合会によると、国の私立幼稚園に対する財 政措置額は、非自民の細川連立政権が編成した1994年度予算で前年 度比28%もの減額。だが自民党の政権復帰後は増加に転じ、99年度 から2年連続で前年度比2ケタの伸びを記録している。 事業者と政治が選挙を通じて結び付く関係は、公共事業と同じ。 ただ組織力が強い建設業者などに比べると、教育関連業界の集票力 や政治献金のパワーは強くない。学校では原則的に選挙運動はタブ ーだし、国から助成を受けると献金もできない。だから「選挙に弱 い文教族」といわれる。そのなかで幼稚園を含めた私学助成金は数 少ない文教族の「うまみ」になるのだ。 ****************************** 実は私のかみさんも全日本私立幼稚園PTA連合会の全国大会に出 席していまして、そのパンフレットが手元にあります。祝辞には下 記のとうりそうそうたる方々が名を列ねていました。 内閣総理大臣 森喜朗 文部大臣 大島理森 自由民主党幹事長 野中広務 自由民主党総務会長 小里卓利 自由民主党政務調査会長 亀井静香 かみさんが帰ってきて開口一番「選挙演説を聞きに行ったみたい」 と感想を漏らしていました。 結局彼らからすれば教育も集票マシンにしか過ぎないようです。 「男女共同参画社会基本法」も「教育基本法改定」も同じようなも のです。下の井上ひさしさんのコメントが妙に気になりました。 本当に必要なのは「政治家教育改革国民会議」なのかもしれません。 日本ペンクラブが教育改革国民会議の中間報告に批判声明 (asahi.com) http://www.asahi.com/1215/past/pnational15030.html ------------------------------------------------------------ 日本ペンクラブ(梅原猛会長)は15日、森首相の諮問機関であ る教育改革国民会議の中間報告に対して、「思いつきとして出され た提案」などと強く批判する声明を発表した。 声明は、中間報告の教育基本法の改定に関する意見に対して、「 教育基本法と密接不可分な関係にある日本国憲法の改定という政治 戦略の先棒を担ぐ危険とはらんでいる」と指摘。同報告が、国民へ の奉仕の義務化を提言していることについては「自発的意思にもと づいて行われるべきこと」としたうえで、法による義務づけを「将 来の徴兵制への地ならしという疑惑を否定できない」としている。 記者発表で、井上ひさし副会長は「今、最も問題なのは、永田町 と霞が関に教育が必要だということなのに、そういうところが教育 改革を提言するとは本末転倒だ」と述べた。 ============================== 「全員が行う」奉仕活動についての最新ニュース YS 政治・経済(日経12月22日) 教育基本法見直しを提言・教育国民会議最終報告 戦後教育の抜本的な見直しを検討している森喜朗首相の私的諮問 機関「教育改革国民会議」は22日、最終報告をまとめ、首相に提出 した。焦点の教育基本法については「新しい時代にふさわしい基本 法」の必要性を指摘、政府に見直し作業に着手するよう提言した。 社会性を身に付けることを目的として小中高生の全員が奉仕活動を 行うことも明記。適格性のない教師を免職できるようにすることや 、原則18歳の大学入学年齢制限を撤廃することも打ち出した。 文部省は最終報告を踏まえて来年1月召集の通常国会に奉仕活動 充実や問題教師の配置換えなどの教育改革関連法案を提出する方針 。教育基本法の改正については来春をメドに中央教育審議会(中教 審)に諮問する。最終報告は、教育基本法のあり方では「国民的な 議論」を求めた9月の中間報告よりも強い表現で見直しの必要性を 打ち出す一方、「改正論議が国家至上主義的考え方や全体主義的な ものになってはならない」と復古調的な改正論議に歯止めを掛けた。 奉仕活動の実習は、小中学校で2週間、高校で1カ月の奉仕活動を「 全員が行う」と明記した。