385−2.反原発の論理



今日はあんまり考えずに。 まっちょん。
   
 原発> 
 事故がどの程度の確率で起こるのかわかりませんが、起こったと
きの被害が大きすぎるので、他の発電所と並列に考えることができ
ない。 
つまり、なんとなく原発があると落ち着かない。 
海外では軽水炉型の原発を縮小しているようですが、どのような世
論によって行われているんでしょうか? 
日本の原発/電力会社は秘密主義ですか。 
今、自分が使っている電気がなにで作られているかわかりません。
怖いです。 

戦争> 
 西欧では古くから国同士の侵略が日常茶飯事で、奪ったり奪われ
たり、文化思想的にも大きな差異があったわけでなく、国王がまた
代わるのかー、今度はドコの人間じゃ? という観念があるのかも
しれない。 
 もちろん民族的問題はありますが。なんとなく西欧というひとつ
のくくりがあるような。 
 中国は中華思想の国だから、外から攻められることに驚異を感じ
る風土なのかもしれない。なかでどれだけ変わっても、同じ中国人
だけど、外の人間はまったく異世界の人間なのかも。中国がどっか
の国の下になったことって歴史上ほとんどないし。 
 やっぱり地続きかそうでないかの差があるかな? 

と、本日は起き抜けということもあり、珍しく年相応に発言してみ
ました(笑) 
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まっちょん様の疑問にお答えして コスモス   
  コスモスです。 
 まっちょん様の疑問へ、私が知っている範囲で出来る限りお答え
してみたいと思います。 
 海外での軽水炉型の原発計画縮小についてですが、やはり事故の
危険性もさることながら、西欧はエコロジー先進諸国ですので、
エコロジーコミュニティーとしての都市建設計画の観点から反原発
運動が行われている様です。 
 エコロジーコミュニティーとは、利用エネルギーとしての都市へ
の資源流入から、廃棄物としての資源流出を全てコントロールし得
る、自立した半自給自足型の社会を意味します。そこではハイテク
、一般市民が扱えない高度過ぎる技術は敬遠され、故障しても自分
達の手で直せるという範囲の技術、ローテクが活用されています。
 大きく脱線してしまいかねないので、エココミュニティーについ
てはいずれMLで。西欧の反原発は、日本の反原発と違い、「原発
推進活動が停止した後の社会形態まで考慮、計画されている」こと
が大きな違いです。それは新しい社会への希望に根ざした、健全な
活動があるのです。 

 さて、反原発が住民投票で決定した後も、どうやら再び原発推進
の動きが出始めている西欧諸国もあるようです。どうしても言及せ
ねばならないのは、「ではなぜ国家は原発を推進するのか?」とい
う事だと思います。 
 答えは簡単で、核エネルギーを大っぴらに開発するには、原子力
発電の研究を推進するしかないからです。 
 核不拡散条約によって、五大国が核兵器の管理を独占してしまっ
ている今、他の先進諸国がいざというときの核戦略構想に備えるに
は、常に自国の核技術の向上を図る必要があり、原子力発電は格好
の隠れ蓑となるのです。核戦術の衝撃は、今までの通常戦力による
戦術を大きく塗り替えてしまいました。第七艦隊がどの海域にいる
のかはっきり知らなくても、「この辺にいるだろうな」という辺り
に核を炸裂させれば、たとえ直撃しなくとも、核パルスによって通
信が完全マヒしてしまうため、無力化する事が出来ます。敵の潜水
艦についても同様ですし、最も優れた効果は、かわぐちかいじ先生
の漫画、『沈黙の艦隊』にあったように、「持っているように思わ
せるだけで絶大な脅しとなる」ことです。トム=クランシーの『恐
怖の総和』に出てきたテロリスト(小説でも、まさか本当に核を
アメリカで炸裂させるとは!?)のように、テロリストの超小型核
による脅迫は、ブラフ(脅し)であっても社会を激震させる効果が
あります。五大国の核戦略に乗り遅れない様にするためには、永世
中立国のスイスでさえ原子力開発をするしかないのです。 

 私が思うに、核の五大国独占が無ければ、原発がこれほど増える
事も無かったと思います。三十年たっても原子力発電所は、相変わ
らず実験段階に過ぎません。今まで事故が起こっていない型の原子
炉を、おそるおそる作り続けている現状がそれを物語っています。
核兵器をもっと大っぴらに開発させる。そして核の平和利用とされ
る原子力発電も、もっと冷静に開発し、核の恐怖を偽装するアピー
ルも無く、全人類が核技術を真剣に考え、有効利用すべきだったと
私は思うのです。克服できない恐怖は、無関心と危機感の麻痺に繋
がります。核技術とはなんなのかを、大国独占の軍事機密としてで
はなく、そこらの中学校でさえ論理的に扱えるようになっていれば
、十分な研究を重ねた、今よりもっと安全な原発を、実験段階の
原子炉を乱立することなく、開発できたと思うのです。そこで私の
、「安全な原発に未来は無い」という持論がようやく現実味を帯び
るわけですね。 

 「日本の原発/電力会社は秘密主義ですか?」という疑問ですが
、「フランスの方が怖いぐらい秘密主義だ」とお答えしたいと思い
ます。もちろん日本の原発も、コントロールルームや緑が広がる外
庭を見学するツアーがありますが、原子炉付近での防護服を着けた
危険な作業を見学する事は出来ませんよね。3分以上の作業が許さ
れない、人海戦術の清掃、整備作業。 
 フランス政府とグリーンピースの闘争は、これはもう諜報戦から
実際の戦争状態に近いものがあります。ちゃんと処理しているとい
いながら海洋投棄されていた核廃棄物を、グリーンピースの水中カ
メラが撮影を試みた際、そのケーブルを切断しようと当局と攻防が
あったとか。核燃料輸送船を船で追いかける試み、そしてその輸送
経路を割り出す試みなどは、怖いぐらい戦闘的です。フランスの
官僚主義やエリート主義は日本のそれなど比べ物にならないほどだ
そうです。 

 詳しい研究は、他の反原発活動のサイトが充実していると思いま
す。私はまだインターネットに入って一月も経っていないのです。
未だに「原子力資料室」のサイトも覗いた事が無いので、そろそろ
今日辺り行ってみたいと思います。今日のところは以上です。 


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