384−2.反原発の論理



 コスモスです。MLには初投稿です。

 50年前に終わった大戦で、戦争責任論が延々と語り継がれてき
ましたが、その最大の理由は、北野武監督がSAPIO!で語られ
たように、「自分の生活にとっては関係の無い事」だからでしょう
。それがどう転ぼうが、賠償するのは日本政府で、自分達の財布は
痛まない(はずはないのですが)。正義を標榜するにはもってこい
のスローガン。
 今私は、現実に進行している『侵略』としての原子力発電に反対
する者です。もちろん発電所に攻撃しかけたり、核燃料運搬トレー
ラーの前に寝転んだりはしません。口だけですね。
 では、私はどうすればいいのでしょう? スローガンとして反原
発を唱えてみても、今現在、原発は順調に稼動していますし、それ
を侵攻している敵軍と考えれば、スローガンも冷静な対応も効果は
薄いといわざるを得ません。
 まず断っておきますが、私は「事故が起こらないという前提」で
議論を進める主義であります。これでなければ「事故は起こる」「
起こらない」の水掛け論で終わってしまいますから。

 一番簡単な対応方法は、「相手は敵じゃない」「何も怖い事はな
いんだ」と自分に言い聞かせる事でしょう。どこかで聞いたような
話ですが。

 戦争は嫌だという気持ちは分かります。侵略は避けねばならない
という気持ちも分かります。相手に侵略を考え直させるという考え
は、私の運動の相手を見ていると、まず不可能だと分かります。
 私と反戦運動家にとって、共通の敵といえるのは、「無知な大衆
」という人々でしょう。彼らの意思(というより無関心)によって
敵の行為が正当化されるのであれば、我々に科された共通の課題は
「いかにして彼らを啓蒙するか」ということであって、その効果の
薄い事は、今までの歴史を見れば一目瞭然です。
 「ではどうすればいいか」という疑問に、私は答えたくありませ
ん。過激になりたくなければ「それでも訴え続けるしかないんだよ
」ということになりますし、それでも敵はどんどん侵略してくるで
しょう。

 反戦運動家が目の前の現実をしかと見据えたとき、そこにあるの
は「戦後に侵略活動をしている他の国々」という現実でしょう。
 では、反戦運動家は何をしているのか? 彼らが外国の侵略に対
してどう対応しているのか? 日本政府に対して50年前の戦争責
任を認めろ、というスローガンを叫ぶだけですね。

 誰しもが答えを求めていると思います。侵略、戦争行為を止める
にはどうすればいいか、人類への愚行をやめさせるにはどうすれば。
ここで生じる決定的な、私とお気楽な反戦運動家との違いは、「真
実を、事実を収集し、学び続ける」ことにあります。

 事実とは恐ろしいものです。人間性から隔絶した世界に、誰しも
が目を背けたくなるでしょう。愛する人が、崩壊した肝臓や胃を吐
き、どす黒い屍のような体になりながらも生きている。愛娘が身の
毛もよだつような奇形児を生み、子供達に汚染されていると分かっ
ている食べ物を与えねばならない(あ、事故の可能性を論じていま
すね。御容赦を)。人類はその惨劇を見据える精神力を身につけね
ばならないでしょう。血が噴き出ないディズニー映画を見ていると
将来は暗いといわざるを得ません。

 どうすれば戦争と原発推進を止められるのか、教えて下さい。
いや、考えて下さい。訴え続けるのはもう分かりました。ちなみに
敵はもう上陸しています。
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Masaです。私も初投稿です。

コスモスさんのご意見興味深く拝見しました。
…で教えて下さい。

>まず断っておきますが、私は「事故が起こらないという前提」で
>議論を進める主義であります。これでなければ「事故は起こる」
>「起こらない」の水掛け論で終わってしまいますから。

と書いていらっしゃいますが、「事故は起きないという前提」であ
っても「原発に反対」という理由は何なのでしょうか?「無知な大
衆」は事故が起きないのなら何が問題なの?と思ってしまうのです
が。。。大衆が無知なことがあるのは認めるところです。
ただコスモスさんの話は何だか禅問答のようで、意味もなく仮装敵
国が設定されているかのような感じになってしまいます。「事故が
起きたらこんなに悲惨なんだ」と言われる方がしっくりくるのです
が。
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反原発は事故が怖いからですか、 得丸久文 

コスモスさん、はじめまして 

あなたの論点を十分に理解しきれておらずごめんなさい。 
簡単な質問をさせてください。 
反原発を唱えておられるのは、原発は事故が必然的に起きると思っ
ているからですか。 

反戦と言われますが、今日本は戦争状態にはないですよね。どこか
他の国で行われている戦争のことを言っておられるのですか。
それとも大東亜戦争(太平洋戦争)のことについて、歴史評価を行
う立場で反戦と言っておられるのですか。 
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 コスモスです。
 得丸久文様、御指摘ありがとうございます。私の意見が分かりづ
らい禅問答になりがちなのは、私の文章力の無さもありますが、当
BBSの読者の皆様は「『国際戦略フォーラム』の全ての論文を
お読みになっておられる」という前提で私が語っているためだと思
われます。逆に言うなら、全てを予備知識として得た上で、それで
も戦時下の日本の反省を求めるのであれば、その哲学に至った経緯
をぜひ教えていただきたいと切に願う次第であります。
 原発と反戦を強引に同じ俎上に上げたのは、「目の前の敵を睨み
つけ」ずに五十年前の己の過ちを反省しても役に立たないと思うか
らです。中国の南沙諸島やチベット、旧ソ連のアフガンやアメリカ
のパナマ侵攻など、それらと大日本帝国の侵略を比較研究するなら
ともかく、反戦運動家は大東亜戦争の歴史評価の論争さえ、事実を
きちんと収集して論じておられるとは言いがたいですよね。反原発
は地方自治に対する侵略です。それゆえに同列に論じる事が出来る
と思ったのです。
 重ねて御礼申し上げます。MLのMasa様、得丸久文様の御質
問のおかげで、ようやく反原発について大きく語る事が出来るよう
になりました。とは申しましても、『事故が起こらないという前提
での反原発論』は、相当な文章量を必要としますので、第一回の
『C号重油の価格暴落とその影響』についてのみ、当BBSを利用
させていただき、次号からはMLにて投稿させていただきたいと思
います。
 原発の事故は起こり得ますし、その点からも私は原発に反対しま
す。しかし『朝生』で推進派と反対派の、「事故は起こる」「起こ
らない」の水掛け論に、ブラウン管に虚しくツッコミを入れた苦い
記憶もあり、私は「たとえ事故が起こらなくても原発は社会に悪影
響を与える」という論法を開発すべきだと決意しました(というよ
り高校時代からその結論には達していましたが)。

 『C号重油の価格暴落とその影響』
 C号重油とは、火力発電所の主要燃料であり、ボイラーの湯沸し
に使う低レベルの石油燃料です。日本海で沈んだロシアのナホトカ
号が積んでいたのがこれですね。
 事故が発生しない、完全な原発が出来たと仮定して、その建設推
進が順調に進むと、当然、C号重油は火力発電所で使われなくなっ
てダブつきます。
 さて、余ったC号重油をどうするのか? 原油の備蓄というのは
目が飛び出るほど予算を食いますし、ガソリンやナフサの精製で次
々と生まれるC号重油のみを備蓄するのは頭の痛い問題です。
 当然、値段は下落します。そこに目をつけた企業は、安価なC号
重油で火力発電所を建設するでしょう。建設会社と合弁し、コージ
ェネ(発電所でタービンを回した後の廃温水を、導水パイプで各家
庭に送り、冷暖房に使用するシステム)を完備した新興住宅地の建
設に乗り出します。初期の設備費用をおおまけにまけても、永続し
た安定顧客が得られますし、重油も低価格ですからすぐ元が取れる
でしょう。送電設備は、住宅地や工場を計画的に近郊に建設すれば
、既存の電力会社の配線を頼みにする必要もありません。冷暖房費
が押さえられるなら、企業側も工場誘致を考えてくれるかもしれま
せん。新興住宅地の就職問題にも寄与するでしょう。
 電力会社が原子力によるクリーンエネルギーをアピールしても、
日本の脱硫装置(煤煙の硫黄、硫化物を取り除く装置)の技術は世
界一ですし、人心は安価で便利なものへと流れるのが常です。原発
の廃温水は、たとえ『第三次』冷却水を使うとしても、家庭へ引き
たいと思う消費者はいないでしょう。
 後に譲りますが、原発の廃温水は現在のところ垂れ流しです。そ
の海洋資源への悪影響はすでに始まっております。
 現行の電力会社は、新興電力会社に圧迫され、経営が苦しくなる
でしょう。そしてもし倒産するとして、残った原発はどう処理され
るのか? 顧客が激減したから潰れたのであれば、引き続き使い続
けるわけにもいかず、モスボール(使わずに保管する)にも将来の
廃炉にも、莫大な予算を必要とするでしょう。潰れた銀行に公的資
金を投入するのとは訳が違います。

 結論として、「C号重油の低価格化は、新企業の電力業界参入を
導き、建前上、民営である既存の電力会社も運営がいつまでも続く
と限らなくなる。そして立ち行かなくなった際、その廃炉の処理が
国民の負担になるならば(実際そうなのですが)、自由経済の観点
からして既存の電力会社の保護政策を取るのは許せる事ではない。
また、民間企業が原発経営を行うにしても、経営破綻後の国庫負担
の可能性を考慮せねばならず、到底認めがたい」と考えます。
 事故の可能性が無くても、会社が潰れる可能性は無くなりはせず
、「我が社は絶対に倒産しません」という言葉は、一般の株主でさ
え信用しません。事故が起こるか起こらないかより、こちらの論争
の方が分かりやすい人が多いのではないでしょうか?
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無題 YS

むかしむかしのこと。
天気図で冬型の気圧配置が確認できたらそのときから日本海シーズ
ンの始まり。夜中3時頃に起きて車で約3時間、お得意のポイント
は福井県高浜エリア。いつもここで波乗りをしていた。
真冬でもたき火をしながら入っていた。今から考えると信じられな
い。

日の出からお昼まではたっぷり遊んで午後は休憩、そして夕波を狙
う。休憩中はよく原発を見に行った。高速増殖炉「もんじゅ」もま
だその時は着工したばかり。ひっきりなしにトラックが行き交って
いた。 

地元の食堂のおばあちゃんがよく愚痴ってた。「村がまっぷたつに
なっちゃった」 
思いきって核燃料サイクル基地ができる青森県六ヶ所村にも行って
みた。ウォークマンでJACKSON BROWNEのBEFORE
 THE DELUGEを聞きながら彷徨っていた。 
賛成する人の民宿は大勢の建設会社の社員が朝早くから忙しそうに
出ていく。 
反対している人の民宿はいつもからっぽだった。地元の校舎の割れ
た窓ガラスがやけに頭に残っている。 

六ヶ所村の帰りに上野についた時 派手なネオンがなぜかぼやけて
見えた。これで終わったと思った。ボクの原点はここにあるのかも
しれない 

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