383−2.必要なのは行動だけ



BABEL 

初めまして、BABELです。 
私は、難しい言葉も使えないし、頭で論理を構築する能力もなさそ
うです。ただ、(たぶん)皆さんとは立場がちがう者からの感想と
して流し読んでいただければ、と思い書きこみました。 

私の両親は、私が1才の時に別居、3才で離婚しました。 
私は一旦母親に引き取られましたが、4才の時、再度の親権をめぐ
る裁判で、自分の意思で父親を選び(私自身の記憶はないのですが
)、親権は父に移りました。
以降、母からの接触は全くなく、私の生母についての記憶はほんの
イメージのかけらに過ぎません。 
私は、4才から後、父方のおばと祖母の元で育てられました。 
父は私が高校3年生の時、亡くなり、私はおばの養女になりました。

つまり、私は、家族崩壊の荒波にいやおうなしに呑みこまれた子供
でした。私は現在31才で、結婚しています。
来年、初めての子供が産まれる予定で、親の立場からはまだ物が言
えないので、子供が何を望むかという視点だけから考えてみました。

子供にとって必要なのは、親です。親権とか子供の人権とか、どこ
に意味があるでしょうか。どのような状況であれ、この世に生まれ
てきた子にとっては、自分を育ててくれる親が必要なのです。
そして、経験上、親とは、生みの親より育ての親の比重がはるかに
大きいように思います。 
ですから、家族論でもジェンダー論でも、もしも論理のキーワード
に「次世代」という言葉が入るなら子供には、ある程度大きくなる
までは(私個人の感覚では高校3年)、育てる人が必要なのだとい
うことを前提として、どうすれば親を確保できるのか、つまり、
この世に生まれてきた子供たちをなんとか育てるために、私たちは
何をすべきなのかを考えたいのです。 

得丸さんが紹介しておられた鹿野政直 著 「戦前・『家』の思想」
は、私にとって驚きでした。今まで、私のような不完全な家庭の子
どもを代弁してくれる大人は、どこにもいないと思いこんでいたか
らです。 
もっとも、私自身の家庭の崩壊は、核家族における父性の欠落とい
うより、母性の欠落と男と女が互いに慈しみあう関係を築けなかっ
たことにあったようですが。 
さらに、私の場合は、(父方の)強い血族関係に守られて、常に慈
しまれて育ったという幸運を持っていました。 
私は、血縁関係にある4つの家庭(両親がそろっているところも、
そろっていないところもありました)を通じて育てられましたが、
よくいうたらい回しではありませんでした。 
その時々で最適な家庭環境を提供できる家族が、交代しながら私を
受け取り、育んでくれた、と思っています。 
私は、個々の環境に適応する苦労は大きかったけれど、自分が望ま
れて生を受けたことに何の疑問も持たずにすみました。 

ところが、今の子供たちの受難は、核家族化が進むにつれて、もは
や血族関係に基くイエの意識がなくなったところにあるのでしょう。 
兄の家庭で困ったことがおこっても、兄は弟に相談くらいはしても
、弟の家庭に、何も具体的な助けを期待できない、弟もあえて何も
しない。といったことが、ここかしこで起こっています。 
つまり、一度、核家族が壊れてしまったら、親を補完し、子供を育
み続けるための受け皿は当然には期待できないのです。 
家庭崩壊の理由は、様々でしょうけれど、根底には、母性の薄さ、
父性の薄さ、互いに慈しみあい家族関係を築き上げるという意識の
薄さ、つまり大人の幼児化があるように思います。 
得丸さんは、「戦前・『家』の思想」を通じて、父性の欠落に焦点
をあてておられるように思いました。(ちがっていたらすみません) 

「一切の議論は無用であり、必要なのは行動だけ」に書いておられ
た「現代資本主義社会において、核家族というのは、消費を増大す
る意味がある。本来であれば、10人や20人にひとつあれば足り
るものを、核家族という単位で区切ることによって、5倍から10
倍の数だけ売れることになる。 

その一方で、人間と人間のつながりや触れ合いは希薄になっていく。
昔だったら、近所の誰かが見るに見かねて口を出したり手を貸した
りするところが、今は何も口出しも手出しもしなくなってきている。

だから僕らはみんなアダルトチルドレンみたいになってるんだよ。」
この「僕ら」という言葉に、私は、自己の体験からもまた同性を見
た感触からも、女性も含めていただきたいと思います。
男性と同じように女性にも幼児化の傾向は顕著であるように感じま
す。

では、私たちは、核家族がいろいろなところで壊れつつある今、
次世代を託す子供たちを育てるために何をすべきでしょうか。 
戦前の「家」が崩壊した以上、それに代わる社会の受け皿作りが必
要とはいえないでしょうか。

また、「転職は書類だけだけど、離婚では子供の心が傷つけられる」
 2000/12/10 10:12 に書いておられました。 

「岡本太郎が「自分の中に毒を持て」の中で書いていますが、 
彼は結婚する新婦には、「これからは人類のすべての男を自分の 
夫と考えるように」、新郎には「これからは人類のすべての女を 
自分の妻と考えるように」とあいさつしていたそうです。」 

私は、岡本太郎という人は、少し頭のいかれた芸術家とばかり思っ
ていましたが、ずいぶん良いことをいうものだと、感心しました。 
こういう個人の壁を打ち破った意識が、私たちには必要な気がして
なりません。 

そのうえで、「親切の押し売りではなく、ごく自然な形で、隣人と
して、友人として、具体的な何かをしてあげる。核家族の境界線に
とらわれることなく、友情や人情といった心と心を通わせることに
よって、確実に崩壊を続ける社会のほころびや亀裂を、少しずつで
も縫合すること、傷を癒してあげること。お互いに対等の立場で、
できることを無理することなくしてあげる。 

そういった関係を築き、広げなければならない。そのような行為が
求められているんだよ。」 
のような行動が必要な気がしてなりません。 

子供にとって、必要なものは親。 
生みの親、血族が機能しなくなりつつある現在、代替でもいいから
、親を補完する体制が必要。 
どばしようこさんが「Re:転職は書類だけだけど、離婚では子供の
心が傷つけられる」に書いておられたように「両親が離婚しても、
子どもには何の罪もありません。 
それがわかっているなら、道は開けるのではないでしょうか。」

道を開かなければならないと思います。 
BBSの書きこみを勝手に引用していいのかよくわかりませんが、
私は自分の言葉より良いと思ったので(プラス、作業が楽だったの
で)切り貼りさせていただきました。 
もしも、趣旨をはきちがえていましたら、お知らせください。発言
を削除させていただきます。 
==============================
とにかく育ての親が必要なのですね 得丸久文  
 BABELさん、
書き込み拝見しました。 
ご自身の経験に基づいた大変貴重なご意見、重みのあるお言葉です
ね。

たしかに女性のアダルトチルドレン化も激しいものがあります。 
男女関係ないですね。女性のほうが、子供と身近に接することが多
いから、男よりも子供を大事にする割合が多いことはあるでしょう
が、根本的な問題は同じですね。 

とにかく育ての親が必要なのですね。 
DNAの情報による安心感や一体感ではなく、生活をともにすること
によって関係性を築いていく家族、それをなんとかして作り出さな
くてはならない時にきているようです。 
==============================
Re:一切の議論は無用であり、必要なのは行動だけ どばしようこ

 BABELさんへ、はじめまして。ひさしぶりに女性が参加してくれた
ので、うれしいです。 

「離婚」とそれに関係している「子ども・子どもたち」が身の回り
にたくさんいる、という点で、いろいろ考えてしまうことも多いで
す。

お子さんがお生まれになる、ということで、たいへんでしょうが 
これからもいろいろな話をしにきてください。 


コラム目次に戻る
トップページに戻る