380−2.ブッシュ次期政権の政策



やっと、ブッシュが次期政権の大統領に決まった。今後は、米国の
政策がクリントン大統領時代とどう変化するかを予測することが
重要になる。勿論、どちらの政権もグローバリストの政権であるの
で、あまり大きくは変化しないと思うが、しかし、変化する部分も
ある。
政権は、軍人の起用が目立つ。チェイニー副大統領、パウエルさん
が、国務長官になり、いままでのオルブライト人権外交からパウエ
ル国益外交に転換する。無闇な海外干渉はないが、東アジアと中東
の2地域の紛争には、頑固とした対応が期待できる??

特に、対アジア政策がどう変化するか見る必要がある。
まず、選挙中にどう言っていたかとロイター記事(下記)で見よう。
すると、中国政策の変化を示唆している。中国はパートナーから敵
対者となる可能性がある。
しかし、中国も然る者、そのブッシュ陣営と協議していた。(毎日、
朝日両新聞)
このため、自信を持って、対中政策に変更なしと、日本サイドに言
っている。これは、当然だと思う。米国企業は、中国で優遇されて
いる。このため、企業サイドが敵対関係を支持しない。しかし、台
湾サイドは、クリントン政権で拒否させたイージス艦供与を期待し
ている。その他最新ミサイル武器等の供与も可能と踏んでいる。
この一連の供与により中国との軍事力差を拡大したいようだ。

対日政策は、良好になると、見られている。それは、同盟国との友好
を推し進めると表明しているためであるが、日本の財政・構造改革に
ついては、多くの注文があると考えられる。自主性を重んじるとは
言っているが。(読売新聞)

最後に、対北朝鮮に対しては、どうか?アメとムチ政策になる。
これで、クリントン大統領の訪朝は無くなったと見るべきでしょう。
日本は、対北朝鮮外交に対し、フリーハンドを得た。ゆっくりと、
日本人拉致問題を解決できることになった。韓国は対北朝鮮問題の
今後に対して当惑しているが。北朝鮮問題は別に議論が必要のよう
だ。
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ブッシュ氏、政権準備に着手 国務長官にパウエル氏内定  

 共和党のブッシュ次期米大統領は13日夜の「勝利演説」を受け
て、来年1月に発足する新政権の骨格固めに本格的に着手した。早
ければ14日にもホワイトハウスの中核スタッフと主要閣僚を発表
する。これまでに、国務長官にパウエル元統合参謀本部議長、大統
領首席補佐官にカード元運輸長官、国家安全保障担当大統領補佐官
にライス・スタンフォード大教授が内定または確実視されている。
しかし、得票集計をめぐる争いが1カ月余にもわたったあおりで、
政治任用制度で選ぶ約3000人の政府高官の選任手続きは、相当
な遅れを強いられそうだ。
 貧しいジャマイカ移民の息子から軍の最高位に上り詰めた「湾岸
戦争の英雄」パウエル氏は、米国史上最も高い政権ポストにつく黒
人となる。ロシア学の俊英ライス氏は女性で、ブッシュ前大統領が
ゴルバチョフ旧ソ連大統領に「私のソ連問題の先生」と紹介したこ
とがある。国家安全保障担当補佐官に黒人女性がつくのは初めてだ。
国防、外交のかじ取り経験のないブッシュ氏の弱点を補うとともに
、マイノリティー(少数者)を包み込む新政権の「幅の広さ」も印
象づける効果を狙った人事とみられる。

 この2人に、国防長官などを歴任したチェイニー次期副大統領を
加えたトリオが、新政権の外交政策を主導することになりそうだ。
また、首席補佐官に内定したカード氏を含めた4人は、いずれも父
親のブッシュ前政権時代の中心スタッフだ。「父親頼み」(オルブ
ライト国務長官)の批判をかわすうえでも、他の人事で新鮮味と独
自色を打ち出せるかどうかが焦点となろう。

 経済分野では、ブッシュ氏の首席経済顧問、リンゼー元連邦準備
制度理事会(FRB)理事をホワイトハウスの国家経済会議(NE
C)議長か、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に起用する案
が有力だ。財務長官候補にはペインウェバー会長のマロン氏ら、
商務長官にはブッシュ陣営の資金集めを担ってきたエバンス選対本
部長の名前がそれぞれあがっている。

 国防長官にはウォルフォビッツ元国防次官、ロッキード・マーチ
ン元会長のオーグスチン氏らが取りざたされている。得票集計の法
廷闘争にかかわった人気知事のラスコー・モンタナ州知事を、司法
長官か内務長官に起用する案も浮かんでいる。

 ブッシュ氏は、上下両院が共和党と民主党のきっ抗状態に陥った
ことを踏まえ、民主党からの閣僚起用も検討しており、同党穏健派
のブロー上院議員ら複数の議員、元議員、知事に働きかけを始めて
いる。

(12/15 01:23朝日から抜粋) 
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次期米大統領確定のブッシュ氏が選挙期間中に打ち出した政策運営
方針(12/13ロイター)

[ワシントン 12月13日 ロイター] 民主党のゴア氏の敗北
宣言により次期大統領に確定したブッシュ氏が、選挙期間中に打ち
出した政策運営方針は以下のとおり。  

妊娠中絶: 
強姦・近親相姦・母体救命を除く妊娠中絶に反対。ブッシュ氏は、
「部分的な生誕」期の中絶を違法とする法案に署名し、家族計画サ
ービスに充てられる連邦政府予算を削減し、妊娠中絶を提供する組
織への対外支援を禁止するとみられている。 

差別撤廃措置/公民権: 
クォータ制や特定人種への優遇措置に反対。ヘイト・クライム(偏
見に基づく犯罪)に関する連邦法制定にも反対の立場。 

選挙資金改革: 
選挙活動への献金上限引をき上げ、ディスクロージャー規制を改善
する方針。ただ、労組からの献金が禁止されない限り、ソフトマネ
ー禁止の法制化には反対。 

防衛: 
ハイテク兵器への支出を拡大、軍隊の給与・待遇を改善する意向。
ミサイル防衛については、ロシアとの弾道弾迎撃ミサイル(ABM
)条約からの撤退につながっても”ならず者国家”から米国と同盟
国を守る野心的なプログラムを追求。 

教育: 
3年間改善のみられない荒廃した学校の生徒には、1500ドルの
バウチャーを支給。チャータースクールの拡大。 
州が実施する試験を推進、読解能力を高めるプログラムに支出。 

環境: 
京都条約に反対。エタノール使用に税制優遇措置を与え、石炭を燃
料とする電力発電所から排出される有害物質を低減する努力を支持。 

外交・通商政策: 
自由貿易を支持するが、核実験禁止条約には反対しており、ミサイ
ル防衛の推進のために必要であれば、ABM制限条約から撤退する
可能性も。国際平和維持への米軍の関与を減らし、中国に対しては
強硬なスタンスをとる一方、台湾との緊密な防衛関係を支持するも
よう。 

銃規制: 
既存の銃規制法の執行、銃展示ショーでの履歴検査などを支持する
一方、連邦政府による登録義務付けには反対。子供用安全装置に関
する政策プログラムは支持。 

医療制度: 補助金支給によって民間保険への加入能力を高め、無
保険者数を減らす。長期医療費用の税控除制度の導入を目指す。 

社会保障: 若年労働者に対して、賃金税の一部を個人勘定に移し
、金融市場での運用を容認へ。 

税金: 5年間で4830億ドルの減税。所得税制を簡素化し、全
米国民の税率を引き下げ、相続税を廃止。10年間では
1兆3000億ドルの減税。
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米中関係の安定した発展」に期待、江主席が祝電  

 中国の江沢民国家主席は14日、米大統領選で当選が確定したブ
ッシュ氏に祝電を送り、「中米の『3つのコミュニケ』の基礎のも
と、両国関係の安定した発展を促進させるため、共に努力したい」
とした。中国外務省も、米国の対中政策に大きな変化がないことへ
強い期待を表明した。
 中国が心配するのは、共和党新政権が、中国が強く反対する米本
土ミサイル防衛(NMD)計画を進めようとすることや、日米軍事
同盟の強化に向けて中国の「脅威」を訴え出すことだ。台湾問題で
刺激的な行動をとることにも強い懸念を示している。

 ただ、複数の当局筋は、新政権が急激に対中強硬路線にカジを切
る可能性は少ないと見ている。両国の昨年の貿易総額は614億ド
ル。「共和党の支持者には中米貿易で利益を得る企業も多い。関係
発展は双方に利がある」(当局筋)とする。むしろ、対中政策で議
会運営に苦労したクリントン政権に比べ、共和党は対中強硬派を説
得しやすい、との期待も出てきている。(12/14 00:04asahi) 
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◆対日要求、風圧増す? 日米同盟強化前面に◆ 

 【ワシントン14日=柴田岳】米大統領に当選が決まった共和党
のジョージ・ブッシュ氏は、日本など同盟国との関係を強化し、中
国やロシアをけん制していくことを外交・安全保障政策の基軸に据
えている。日本に対しては、アジア・太平洋地域の平和維持のため
の一層の責任分担を求める見通しだ。来年一月二十日に発足するブ
ッシュ新政権下で、日米同盟は再び大きな節目を迎える可能性が大
きい。
 ブッシュ氏の政策ブレーンには、共和党のレーガン、ブッシュ両
政権下でアジア安保を担当したリチャード・アーミテージ元国防次
官補やポール・ウォルフォウィッツ元国防次官など、日本政府の外
務・防衛官僚とも親しいベテランが顔をそろえている。対日安保政
策に強い影響力を持つアーミテージ氏は、新政権で国防次官就任な
どが取りざたされる。

 米軍と自衛隊の連携強化を目指すアーミテージ氏らは十月、米新
政権にあてた対日安保政策を提言しており、その中で、「日米防衛
協力の指針(ガイドライン)の改定は、日本の役割を拡大する『基
礎』であって、『天井』ではない」と指摘。日本に対し、
〈1〉国連平和維持隊(PKF)本体業務への参加凍結解除を含め
た国連平和維持活動への全面的参加〈2〉軍事技術や戦域ミサイル
防衛(TMD)での日米協力拡大〈3〉日本の偵察衛星保有と日米
の緊密な情報交換の実現――などを求める考えを示している。

 さらに、戦闘地域からの非戦闘員救出など、アジア・太平洋地域
での幅広い日米協力を可能にするため、日本政府が集団的自衛権の
行使に踏み切ることに期待を表明した。

 アーミテージ氏周辺では、沖縄の米軍駐留を安定させるため、
普天間飛行場返還など米軍基地の「整理・統合・縮小」を推進する
とともに、海兵隊施設をアジア・太平洋全域に分散することも検討
されている。ただ、米軍内部には反対意見もあり、すぐに沖縄の負
担軽減につながるかは不透明だ。

 ◆経済は、財政構造改革を重視◆

 【ワシントン14日=天野真志】ブッシュ米次期政権の対日経済
政策では、財政構造改革に向けた積極的な姿勢をいかに日本から引
き出すかが大きな課題となる。米国がこれまで単独で担ってきた世
界経済のけん引役を分担できるよう、日本が強じんな経済構造に生
まれ変わるには、財政赤字への対応が不可欠との判断からだ。

 ブッシュ氏の経済顧問を務めるローレンス・リンゼー元米連邦準
備制度理事会(FRB)理事は今月の講演で、「日本が景気低迷か
ら抜け出すには、痛みを伴っても、財政の健全化を目指す必要があ
る」と語った。

 クリントン政権はこれまで、日本には財政出動による景気刺激策
を求め続けてきた。リンゼー氏の発言は、次期政権が対日政策を従
来路線から大きく方向転換することを意味している。

 このように新政権が日本の財政赤字に着目すると見られる背景に
は、米経済の変化がある。景気の減退や株価の不安定な動きで、米
景気がやがて後退期に入るとの見方が強まっている。もはや米国だ
けで世界経済の安定は維持できないとの見通しが、新政権の日本に
対する要求を強めるという構図だ。

 だが、日本国内では、景気刺激のための財政出動の継続を求める
声は依然根強い。米国などからの要求にどこまでこたえられるかは
、疑問だ。米側の「真っ当すぎる要求」(大蔵省筋)をいかに日本
の現実の経済政策に取り込めるかが、日米関係だけでなく世界経済
の安定を図るうえでも、重要な要素となりそうだ。

 ◆対北朝鮮政策 アメとムチ追求◆

 【ワシントン14日=坂元隆】米国の次期ブッシュ共和党政権は
、北朝鮮に対し、クリントン政権よりも厳しい関与政策を展開する
ことになりそうだ。クリントン大統領は依然として任期中の訪朝を
検討しているとされるが、共和党は訪朝の必要性に懐疑的であり、
訪朝実現は一層困難になった。

 ブッシュ前政権時代に北朝鮮政策の立案にかかわったボブ・マニ
ング外交評議会上級研究員は、次期政権がクリントン政権以上に「
大きなあめとむち」を北朝鮮に提示するとの見通しを示した。

 マニング氏やリチャード・アーミテージ元国防次官補ら、ブッシ
ュ、レーガン共和党政権時代の政策担当者が中心になって昨年発表
した報告書は、米政府が北朝鮮のミサイル開発問題などに米国の食
糧支援や財政支援をはっきりとリンクさせ、支援をてこに北朝鮮に
具体的な譲歩を迫るよう求めた。さらに、北朝鮮が国際社会の制止
を無視して、核やミサイルの開発を継続すれば、武力による威嚇も
ためらうべきでないと主張している。

 クリントン大統領はミサイル協議の進展を前提に、自身の訪朝を
前向きに検討しているとみられるが、ブッシュ次期政権の関係者が
訪朝の是非についてクリントン政権と綿密な協議を行うのは確実だ
。ブッシュ前政権時代の国務次官だったアーノルド・カンター氏は
「訪朝は次期政権の足を縛ってしまうことになる」と反対している。
(12月14日23:16読売)


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