377−2.「発布」と「公布」



NO.368−3について
質問2.「発布」と「公布」の違いについて。
大日本帝国憲法では、「発布」を使い、決して「公布」を使わない。
翻って、日本国憲法では、その逆になる。発布と公布は、広辞苑に
よれば言葉の差異はない。そればかりか、広辞苑で「発布」を引く
と、公布と同じ意味であると記されている。両者に言葉の意味にお
いて差異はあるのか。そして、なぜ各々の憲法によって使い分けさ
れているのか。

久保です。
「発布」も「公布」も同じ意味です。ただ、私が思いますのに、
 明治憲法で「発布」が使われたのはそれが従来の律令的憲法典
ではなく、「欧米風の憲法典(近代立憲主義的憲法典)として最初」
の公布(宣布)だったからだと思われます。

ついでですが、現行憲法は、学界では「民定憲法」典とみる見解もあ
るが、それは全く誤りです。事実上「マッカーサー憲法」と称すべき
ものです。
 しかし、その制定手続きは、あくまで明治憲法の改正手続きの第七
十三条に従っているので、現行憲法の場合、「公布」としたと思われ
ます。現行憲法は形式的・手続き上「欽定憲法」です。事実、現行憲
法草案要綱発表には「勅語」が付され、マッカーサーもそれに「欣快
の意」を表明している。
また現行憲法の冒頭には「上諭」が付された。
 「朕は、日本国民の総意に基づいて、新日本建設の礎が、定まるに
至ったことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三
条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれ
を公布せしめる」
こうして天皇によって現行憲法正統化が建前上図られたのです。

           水廼舎 こと 久保憲一


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