368−3.読者の質問



質問1.
ベトナム戦争で言う、「ベトコン」とは何ですか。辞書類を引いて
もわからないのですが。

質問2.「発布」と「公布」の違いについて。
大日本帝国憲法では、「発布」を使い、決して「公布」を使わない。
翻って、日本国憲法では、その逆になる。発布と公布は、広辞苑に
よれば言葉の差異はない。そればかりか、広辞苑で「発布」を引く
と、公布と同じ意味であると記されている。両者に言葉の意味にお
いて差異はあるのか。そして、なぜ各々の憲法によって使い分けさ
れているのか。

質問2.首相公選制と象徴天皇制は相容れるのか。
『「アメリカ信仰」を捨てよ』石原慎太郎・一橋総合研究所著(光
文社・2000年11月)203頁によると、私は憲法改正よりもこのごろ
はむしろ憲法廃棄論を言っているが、廃棄というと字面は荒っぽい
が、手続き場は国会の過半数をとればできるのですから、改正より
もむしろ実現性は高い。創造のために憲法を一度すべて否定して一
からつくり直す。その際には国家元首は天皇であると明記し、そし
て総理大臣は公選で決める。三島由紀夫氏は首相公選制に反対でし
た。「首相公選制では共和制になって、結局、天皇は形骸化してし
まう」と言っていましたが、しかし元首であると明記することで、
権力を持たない権威としての天皇のあり方を民衆にも政治家にも示
すことができる。
 中曽根さんが言う国民投票による首相公選制は明示維新以後の政
治を大転換させ得るモニュマンになるに違いないのです。
と石原氏は記述しています。
 しかし、石原氏に反して(尚、松本健一氏も賛成派である)、西
部邁(にしべ・すすむ)氏や小林よしのり氏は、首相公選制、つま
り直接民主制(直接選挙制)に反対しています。反対理由は、日本
国民の資質が著しく低いからです。戦後の選挙というのは、国家の
政治を司る政治家を選んできたのではなく、単なる「人気投票」で
あるということです。何も、参院選の非拘束名簿方式だけが人気投
票ではありません。衆院選でも戦後はずっと人気投票だったのです
。西部氏は、なぜ、かくも直接民主制が危険であると誰も言い出さ
ないのか、と言い、その理由として全体主義国家、独裁国家、ヒト
ラーはどのようにして誕生したのか。それは直接民主制であると。
また事実上、直接民主制である米大統領選挙を見よ。なにが焦点と
なっているのか。ネクタイの色だとか、テレビ映りだとか、が争い
の指標である。こんな茶番劇になることはとうの昔に、先哲が示し
ている。それがトクヴィル(『アメリカの民主政治(全三巻)』講
談社学術文庫)である。だからといって、現在の日本の間接選挙制
が完全であるとは考えられないことも事実である。その理由は、政
治家(statesman)であるべき者が、政治屋(politician)に成り
下がっているからである。直接よりも間接の方がまだましである。
政治屋と愚かな国民とを資質の上で較べるならば、多少はまだ政治
屋の方がましである。
 とにかく、国民の資質を計る前に、象徴天皇制と首相公選制(直
接選挙制)は相容れるのだろうか。

図越
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(Fのコメント)
質問1について、ベトナムコミューテルンの略であったと思うが。
質問2について、久保先生に解説をお願いしたいですね。
質問3について、
王と内閣の首相の意見が違う時、首相が国民から直接選ばれている
と、王との権力バランスが崩れることになり、ヨーロッパの立憲君
主国は実施していない。しかし、日本の天皇は権威だけで権力がな
い構造であるため、このような権力バランスを考える必要がないの
で、実現可能とも言える。しかし、もう少し、議論が必要であろう。


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