366−1.ペルーの現状について



ペルーは、面積 128万5,215km2、 人口 2,381.9万人(1995年世銀) 
、首都 リマ で、フジモリ政権になって日本からの経済援助が大き
かった。
我が国の援助実績は、有償資金協力(97年度まで、E/Nベース)
3000億円、無償資金協力(97年度まで、E/Nベース)460億円、技
術協力実績(97年度まで、JICAベース)355億円で、主要援助国
(1996年)の1位が日本(20.3%)、2位以下米国(18.4%)、
ドイツ(15.3%)、オランダ(11.3%)、スペイン(10.9%)の順。
 
フジモリ大統領以前のペルーは、外債支払い不能で、海外援助、
融資、投資が途絶え四面楚歌、文字通り破綻状態でした。
ペルーは人口の12%のヨーロッパ系コミュニティが政治、経済を
支配する南米の一般的な国と同じような植民地体質の国です。
この件では、306−1.ブラジルの印象を参照してください。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1210021.htm

政治はこの12%のエスタブリッシュメントの間でたらい回しにさ
れてきました。
45%の先住民インディオと40%のメスティソと呼ばれる先住民
との混血は、最貧国ペルーの最貧層を構成し、政治からも経済から
も忘れられた存在でした。
ペルーは実質的に、南米全体とおなじなのですが、アパルトヘイト
時代の南アフリカの状態だったのです。フジモリさんが突如として
、12%のエスタブリッシュメントの外側から大統領に当選したの
です。これは、忘れられていた先住民の票によるものです。
日系人は推定10万人で、全人口にしめる割合は0.5%程度です
ので、日系人が大統領になる可能性はほとんどないのです。

彼の政策の第一は教育で、週に一つの新しい学校を建てる目的で、
全国に新しい学校を作り続けました。日本財団などの民間団体??
からの寄付も多かったようです。これは、緒方さんが国連の難民高
等弁務官をしているため、寄付が多いのに似ています。フジモリ大
統領を日本国民・企業が助けたのです。

もう一つは、共産ゲリラの根絶です。彼らは、毛沢東思想の共産革
命を標榜して、日系人やJICAの職員等を資本主義の手先として襲撃
、殺害しています。今時、時代離れをした共産革命を目指したテロ
活動が、有害無益で、如何にペルーの発展に重大な阻害となってい
るかは言うまでもありません。
この革命家達は、ジャングルの奥で、無知な少年少女に、毛沢東思
想と銃の撃ち方を教えて、テロの手先に使ったのです。
この対策として、農村までの道路や電気施設をつくり、農村部の近
代化に取り組み、このゲリラを潰したのです。そして、農産品を、
商品経済の中に入れて、農村を豊かにしました。この現状は、「裏
道国際派」新潮OH文庫の中に記述があります。
ペルーの先住民は、正直、勤勉をモラルの基本としています。素晴
らしい人達です。その人たちにやる気があれば、豊かになると教え
たのです。政治さえよければ、立派な社会が作れことを示したので
す。
フジモリさんが失脚して、ペルーが10年前の状態に戻ってしまう
のではないかと心配です。フジモリさんは、金も権力も、教育も無
い地方の先住民の票に支えられてきました。今一番落胆しているの
は、この人達です。
このペルーは、政権が変わると、全役人が入れ替わることになるた
めです。このため、フジモリ大統領が始めた所得向上のためのマイ
クロクレジットがなくなる可能性も大きいのです。これにより農村
部の先住民にやる気さえあれば、金持ちになるチャンスがあると教
えたのですから。

フジモリさんの復活をもっとも恐れているのは、12%のエスタブ
リッシュメントの人達です。大統領選の対立候補は先住民の血を引
くアレハンドロ・トレドだったのですが、傀儡でないことを祈って
います。そして、フジモリ政権で実施した農村部の諸政策が継続さ
れることを望みます。
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(外務省のHPより転載)
国 名: ペルー共和国 (Republic of Peru)   
1999年12月3日 現在 
一般事情 
1.面積 128万5,215km2 
2.人口 2,381.9万人(1995年世銀) 
3.首都 リマ 
4.人種 先住民47%、混血40%、欧州系12%、東洋系1% 
5.言語 スペイン語(他にケチュア語、アイマラ語) 
6.宗教 カトリック教(89%) 
7.略史 1821年 スペインから独立 
1968〜80年 軍事政権 
1980〜85年 ベラウンデ政権 
1985〜90年 ガルシア政権 
1990年 フジモリ政権 
1995年 フジモリ第二期政権 
 
政治体制・内政 
1.政体 立憲共和制 
2.元首 大統領(アルベルト・フジモリ・フジモリ) 
3.議会 一院制(120名) 

外交・国防 
1.外交基本方針  南米諸国との関係強化。近年はアジアとの経済関
係強化。1998年APEC参加。ペルー・エクアドル国境は独立当初から
国境線が不明確であったために1941年に武力紛争に発展。1942年に
リオ・デ・ジャネイロ議定書が締結され紛争は一応収拾。実際の地
形がリオ議定書が想定していたものと異なっていたことから1978年
に武力衝突が発生、その後も武力紛争が発生した。1998年、両国国
境問題に関する実質的協議が開始され、フジモリ・ペルー大統領、
マワ・エクアドル大統領が直接交渉に乗り出し、同年10月26日最終
和平合意に達した。また、99年11月、チリ領アリカの進行権・施設
使用権をめぐる問題も解決され、ペルーの国境問題はコロンビアと
の国境地域にある小島の領有問題以外にはなくなった。 
2.軍事力 (1)予算 8億38百万ドル(1998年ミリタリー・バランス)
(2)兵役 選抜徴兵制(2年)
(3)兵力 12万5千人(1998年現在)
 
経済(単位 米ドル) 
1.主要産業 鉱業、漁業、農業 
2.GNP 58,671百万ドル(1996年世銀) 
3.一人当たりGNP 2,460ドル(1998年世銀) 
4.GDP成長率 0.7%(1998年、ペルー統計院) 
5.物価上昇率 6.0%(1998年、ペルー統計院) 
6.失業率 8.3%(1997年、ペルー労働省) 
7.総貿易額(1998年) (1)輸出 57億ドル(ペルー中央銀行)
(2)輸入 82億ドル(同上) 
8.主要貿易品目
(1997年、ペルー中央銀行)
 (1)輸出 鉱業品、水産品、コーヒー、繊維製品
(2)輸入 原料・中間財、資本財、消費財 
9.主要貿易相手国
(上位5ヵ国 1997年) (1)輸出 米国、中国、日本、スイス
(2)輸入 米国、スペイン、チリ、ヴェネズエラ、コロンビア 
10.通貨 ヌエボ・ソル 
11.為替レート 1ドル=3.41ヌエボ・ソル(1999年11月現在) 
12.経済概要  ガルシア前政権は、賃上げ、金融緩和、減税、価格
統制等、総需要拡大政策を実施。また対外債務返済を輸出の10%に
制限。この結果、財政赤字の増大、インフレ加速をもたらし、経済
は破綻。フジモリ政権は、国際金融機関との関係正常化、ガソリン
、基礎食料品等の価格是正、徴税強化により、インフレ抑制及び財
政赤字解消に着手。95年11月には、民間金融機関との間でブレディ
・プランの適用を受けた債務削減につき合意し、国際金融社会に完
全復帰。96年7月、パリ・クラブ・リスケ合意。97年3月にはブレイ
ディ・プランの適用により民間債務問題を解決。現在は貧困及び失
業問題に取り組んでいる。 
13.累積対外債務残高
(1998年、ペルー統計院) 300億ドル 

経済協力 
1.我が国の援助実績
(単位:億円) (1)有償資金協力(97年度まで、E/Nベース)
                         2,988.28
(2)無償資金協力(97年度まで、E/Nベース)460.14
(3)技術協力実績(97年度まで、JICAベース)355.10 
2.主要援助国(1996年) (1)日本(20.3%)(2)米国(18.4%)
(3)ドイツ(15.3%)(4)オランダ(11.3%)
(5)スペイン(10.9%)
 
二国間関係 
1.政治関係 1873年6月外交関係樹立。伝統的に良好な友好協力関係
      にあり。 
2.経済関係 (1)対日貿易
   (イ)貿易額(1998年 単位:百万ドル)
      輸出 289
      輸入 380
   (ロ)主要品目
      輸出 銅、亜鉛、鉛
      輸入 自動車、電気機械、一般機械
(2)我が国からの直接投資
   2,054億円(1996年累計)進出企業数 24社 
3.文化関係  考古学、人類学等を中心に我が国のアンデス社会研
究の中心的対象国となっており文化交流も活発。また、約10万人の
日系人の存在等もあり、日本語学習熱は極めて高く、毎年日本文化
週間が開催されている。 
4.在留邦人数 2,620人(1998年10月) 日系人推定 10万人 
5.在日当該国人数 41,000人(1998年) 


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