364−3.結局日本は何者



          国際戦略コラムの読者へ  Mond

 「いったい日本は国家の体を成しているのか」、という問いは
「国家のあるべき理想像を持っているのか」、あるいは「その為の
国家方針や戦略を持っているのか」という問いと表裏している。こ
のことは結局日本が何者であるのか、過去現在未来に対して自分の
アイデンティティーを確立しているか、ということでもある。

 しからば結局どうなんだ。日本は中国文明の一地方なのか、西欧
文明の変種か、あるいは独立した自律文明なのか、そのことが問わ
れなければならない。筆者の気掛かりな事柄はこの一点に尽きる。
筆者の読書と試行錯誤はこれに尽きる。

 結論からいうと日本は完全な独立文明を成している。象徴的に例
示すれば、日本と西欧には家紋(=emblem)があり、封建制社会を
経験したがシナ、コリアにはこれがない。日本人は世界に先駆けて
微積分学を創造(関孝和)したし、自力で地球の円周を正確に計測
(伊能忠敬)したが、シナ、コリアにはない。日本では手形決済や
先物取引が発達したが、シナ、コリアにはない。日本は中国古代文
明を古典古代として日本列島に自生した文明である。中国は漢王朝
が滅亡したと時に人口が盛時の六千万人から一挙に五百万人まで激
減した。結局、五胡十六国時代(蛮族の侵入)を許してしまったの
だが、これは人口の大激減を想定しないことには理解し得ないこと
である。これは種の絶滅と言って良いだろう。したがって、五胡十
六国時代以後の中国は新しい種族による文明の継承と言うべきで、
それは日本民族が中国古典古代を継承したことと同義であり、いわ
ばシナ文明と日本文明は兄弟文明といえる。違いは古代中国の地に
文明を築いた新種族には古典文明の呪縛が強すぎて選択肢が限られ
てしまい発展性が頓挫したこと、コリアはシナに近すぎて受動的に
ならざるを得なかったため、単なる周辺文明の道を辿ったことであ
る。日本は百三十キロも海を隔てた列島であったため、選択的に自
分に必要な文化を取り込むことが可能であった。この理由により日
本のみが活き活きとした独自文明を築くことが出来たわけである。
(文字、制度、宗教などもらっているから独立した文明などではな
い、と言う向きには、西欧は如何。同様に文字、制度、宗教など同
じように古典古代から拝借しているではないか。西欧は独立文明で
日本文明はそうではないなどとは言わせない。)

 思うに、明治維新後の我が国の歴史は世界史に残る輝かしい貢献
をしているのではないだろうか。軍事的には黄海海戦では世界で初
めてのスクリュウ推進による軍艦同士の海戦であり、高速巡洋艦に
よる快勝であった。日露戦争においては、日本海海戦は周知の通り
、鋼鉄戦艦同士の初めての海戦であった。下瀬火薬が登場した。ま
た奉天会戦は三十二万人のロシア軍に対し二十五万人の日本軍が満
州において激突した軍団同士の国運をかけた戦いであった。機関銃
が登場している。これに勝利したことで西欧文明の膨張がストップ
し、非西欧劣位文明の各民族に勇気と希望を与え、その後の植民地
解放や人種差別撤廃運動につながり、二十世紀は白人支配終焉の世
紀となった。手前味噌ではないがこれは日本の世界に誇りうる功績
であると思う。「学問のある馬鹿」(反日的日本人、進歩的文化人
などともいう)は欧米人の言説を真に受けて自虐的になっているが
、真実は全く逆なのだ。欧米人は臆面もなく自己中心的言説をなし
、てんとして恥じない一面を持っている。ましてやナチスドイツと
の戦争は西欧文明内の覇権争いであり、大東亜戦争は優位文明が劣
位文明潰しをしたもので、全く戦争の持つ意味が違うということに
早く気付いて欲しいものだ。ある人曰く、「ある種の日本人は傲慢
にもナチスドイツと同じ戦争目的があったなど思っている」と。蛇
足ながら空母を中心とする機動艦隊を最初に編成し大戦果を上げた
のも日本である。

 この様に見てくれば自ずと日本のあるべき姿が見えて来るではな
いのだろうか。誇りうる過去の実績と伝統があり、独自性を持ち、
知恵と勇気を持って困難を乗り越えてきた人々。また絶望的な戦い
の中で蕭々と運命を受け入れて散っていった武勇の人々。その血を
我々は受け継いでいる。いったい何を恥じるというのか、いったい
何故に悪し様になじるのか。何故に子供たちに嘘に満ちた自虐的な
日本史を教えようとするのか。誇り高く勇気と知恵を併せ持つ日本
人を煙たがるのは追われる者と嫉妬に狂う者だけだ。用心は肝要と
してもそれと誇りをなくすこととは全く違う。

 日本には日本文明の行動原理があり、国際社会(という名の欧米
中心主義)と折り合いをつけながら、なおかつ自己を生かしていく
ことが求められている。
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(Fのコメント)
 日本人が傲慢になったとき、日本の破滅になる。大東亜戦争は、
日本があまりにも欧米の実力を下に評価したために負けたような気
がする。欧米は、日本より1枚も2枚も上手である。日本が傲慢だ
と、米国の戦略を読めないで、没落する予感がする。このため、
日本の今は危機である。

 日本文明に関してはMondさんとあまり違わないが、しかし、
欧米の文明も非常な苦難を乗り越えて、幾多の危機を乗り越えて作
り上げた文明であるため、相対的な問題では、日本文明と遜色がな
いか以上の文明であることを念頭に置く必要がある。中国文明は元
や唐、宋王朝時代から長いこと停滞していたが、今後の中国は侮り
がたい国になってきた。停滞から飛躍に転換させている。人口が多
い分、経済の自由性もある。

 日本文明は、他の文明からいい面を導入してその良い面をより
改善してここまで来たような気がするが、今この面での新しいイン
ターネット等の文化導入やそれに付随する経済理論ができるかどう
かだ。自信は必要であるが、傲慢は必要ない。他文明の良い面を入
れる時は、熱情的に入れている。しかし、このごろの日本を見てい
ると、冷めている。ここが不安である。アジアにもインターネット
では遅れている現状がある。それでも、冷めている。


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