363−3.東アジア自由貿易圏構想



 とうとう、このコラムで主張していた東アジアの経済共同体が、
動き始めた。
ASEANは、経済共同体の方向で動き始めていた。なぜか?
中国に負けたためです。今、中国で製造するよりASEAN諸国で
製造する方が高い。品質も東南アジアよりいいくらいである。この
ため、アイワが危機的状態になっている。
船井電機が中国で全量製造しているが、その値段がシンガポールや
マレーシアで作るアイワ製より20%から30%安いのですから。

このため、アジア諸国は通貨下落が起きたが、それでも中国の水準
より高い。このため、再度通貨危機になっている。これは、中国に
負けたために、米国への輸出が中国に取られてできなくなったため
なのです。

このため、この中国に対抗するためには、広い範囲で分散したレベ
ルの人的資源を持ち、適所適材な工場をつくり、中国に対抗しよう
としていたのです。しかし、それだけでは、まだ不足で中国や日本
を入れて、地域の安定や経済的な結合を通じて、通貨安定策・軍事
的な重荷の分担などを指向し始めたようだ。この裏を仕切っている
のはシンガポールであろう。シンガポールは東南アジア諸国との経
済共同体ではメリットがない。シンガポールとミャンマーでは10
倍以上の1人当たりのGNP差がある。このため、シンガポールは
オーストラリアやニュージーランド、そして日本、韓国、カナダ、
米国との2ケ国間の自由貿易協定を結ぼうとしていた。

 このため、シンガポールはASEAN+中国・韓国・日本の昔、
マハティールが主張していたEAEGのような東アジア共同体を目
指していたのです。この東アジアの中では、日本の存在大きいので
す。アジアの通貨危機は再度起きる可能性もあるため、日本を含め
ると通貨同盟に一歩踏み出すせるのですから。中国は、日本とアジ
アの覇権を争う関係上、日本だけの加入には反対したが、ここへ来
て、日本の力がないと中国自体の西部開発もままならないと感じて
いる。日本の金と技術が必要なのです。

 勿論、日本は賛成するべきでしょうが、この新しい地域主義を
米国はどう見るかだ。私の見解は、米国の支持は得られると思う。
今、米国は自国経済の舵取りで忙しく、アジアのことは日本やシン
ガポールに任せたいでしょうから。それと、米国の覇権外交による
歪みが各所で出て、国粋主義や反米主義が跋扈している状態を知っ
ているために、あまり自国に不利にならなければ、許す方向のよう
な気がする。

 今後重要なのは、東アジアの3ケ国、中国・韓国・日本が真に
友好関係を築けるかに掛かっている。対日中国外交が変化するかど
うかだ。韓国の対日外交は大きな変化が起き、韓国に対する日本人
の感じも大きく変化した。これと同じ変化が中国にも起きることを
願うものです。そのためには、戦争中の日本のありもしない悪行を
言い募るのを止め、かつ、反日日本人(特に反日新聞)との関係を
精算することであろう。
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 東南アジア諸国連合(ASEAN)は24日、シンガポールで第
4回非公式首脳会議と、引き続いて日本の森喜朗首相、中国の朱鎔
基首相、韓国の金大中大統領を加えた「ASEAN+3」首脳会議
を開いた。ASEAN+3をより緊密で一体的な協力枠組みにする
ために「東アジアサミット」として体制を整えるべきだ、との提案
が議長国・シンガポールからあり、検討を始めることになった。
 また議長国からは「東アジア自由貿易圏」、「東アジア自由投資
地域」の可能性をさぐる作業グループを設置してはどうか、との提
案も出た。今後、論議になるとみられる。

IT革命から取り残されないための長期的指針である「e―ASE
AN枠組み協定」に調印した。IT分野では英語が「基礎体力」と
なるとの認識から、ASEANの共通言語として英語教育に力を入
れていくことでも意見が一致した。
(11月24日22:06朝日新聞より抜粋) 
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森喜朗首相は24日朝、シンガポールのホテルで中国の朱鎔基首相
、韓国の金大中大統領と会談した。3国首脳がそろって会うのは昨
年に続いて2回目で、来年以降もこの会談を定例化することで合意
した。また2002年を「日中韓国民交流年」とすることで一致。
来年に予定される中国の世界貿易機関(WTO)加盟をにらみ、加
盟後の3国間の貿易・投資協力について共同研究を始めることを確
認した。日中韓首脳会談の定例化による3国の対話の枠組み強化は
、朝鮮半島情勢など今後の北東アジア地域の安定に影響を与えそう
だ。
(11月24日21:41朝日新聞より抜粋) 
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東アジア自由貿易圏へ作業部会設置で合意
 
【シンガポール24日=黒河剛】東南アジア諸国連合(ASEAN)
と日本、中国、韓国は24日、シンガポールで首脳会議を開き、AS
EAN10カ国と日中韓を包含する「東アジア自由貿易圏」作りを目
指し作業部会を設置することで合意した。この作業部会ではASE
ANと日中韓が地域の諸問題を幅広く話し合う「東アジア首脳会議
(東アジア・サミット)」の実現可能性について検討することでも
一致した。これまでアジアの経済統合の動きはASEANが先行し
てきたが、北東アジアも含む「東アジア」全体で統合を模索するこ
とになった。 
 東アジア域内の関税や非関税障壁の原則撤廃を目指す東アジア自
由貿易圏作りの提案は、ASEAN自由貿易地域(AFTA)が
2002年に具体化するのと見込み、より広い範囲で自由貿易圏を作ろ
うという構想。日本とシンガポールや日本と韓国などアジア・太平
洋地域で二国間自由貿易協定締結に向けた機運が高まっていること
もあり、地域全体で検討することにした。 
(日経新聞)

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