356−3.日本資本主義の間違い



 今回は、私Fが小室直樹先生の「資本主義なための革新」を読ん
だので、その紹介をするのとともに、その発展系を考えたいと思い
ます。お付き合いのほど、よろしく。

1.日本は社会主義
日本は、お役人が全ての仕事に口を出すので、社会主義であるが、
高度成長時代は計画経済的に政府が計画した通りに行ったために、
実現できたのです。現在は逆に、日本はこの社会主義的な面がある
ために景気が悪くしているのです。この社会主義面の改革が必要な
のです。
特に銀行、公共事業に寄っている建設業、農業分野だと思うのです。
破産すべき銀行を助けたために、政府出資が多くなってしまったの
です。人間は潰れないと思うと、怠けるのです。
このため、破産すべき銀行は、早く潰すべきでだったのです。
今後も、倒産すべきスーパーや建設業は倒産させる必要があります。
もう1つ、このような状態が続いたため、エリート層もおかしく
なってしまった。

2.日本のエリート層について
 日本がおかしくなった原因は、帝国大学を作り、エリート官僚を
作り、特権階級になっていることで、中国の科挙と同じになってい
る。この科挙の失敗は、思想が統制され自由の入り込む余地がなく
なったことである。そして、今、日本の受験勉強は科挙そっくりの
状態になっている。よって、その受験を前提とした教育が諸悪の根
源となっている。子供をスポイルしている。

決まりきった進路の上だけをひた走る人間は、現実適応能力を失う。
このため、難局に対応できない高級官僚が出来てくる。これが今の
日本である。何も考えず何もしようとしない高級官僚が政治のトッ
プにいる。救いは、議員の2世で日本の名門大学に入れないため海
外に留学した議員でしょうかね。世界を見てきている。
自由なイマジネーションがある人材が資本主義を活性化する。

3.資本主義とはなにか
 シュンペーターは、利潤こそ資本主義の存続条件であると言った。
この利潤を得ようとすると創造的破壊が必要になる。この創造的破
壊を継続して行うのが企業家であると。もし、いままでと同じビジ
ネスをしていると、新規参入者が低価格で販売するため利潤が無く
なる方向になる。

そして、シュンペーターは、資本主義の成功がその滅亡の原因を作
ると論じた。企業家が革新を生んで資本主義が発展すると、大企業
の時代になる。すると、今まで企業家は英雄であり指導者であった
が、大企業では無用になり、取って変わって官僚化させた専門家が
その機能を果たすことになる。しかし、この専門家たちは、革新的
なことが出せないことになる。革新が出ないと利潤も利子もゼロに
なり、資本主義は衰退する。革新が日常化してしまった段階では、
ビジネスはもはや冒険心をそそる魅力ある仕事ではなくなる。

 私有財産制、契約の自由が資本主義の要石である。この2つがな
ければ資本主義はありえない。しかし、この私有財産制は、大企業
時代になると、財産に対してその魅力がなくなる。企業が多くの
株主によって所有させると、財産は抽象的な数字に昇華して、一枚
の紙によって代表させるようになる。
契約も大会社では、経営委員会で審議させることになり、熱意を失
わせることになるのである。

サッチャーは、英国の衰退は企業の官庁化にあると見なし、強引に
資本主義に引き戻した。このため、小さな政府を目指し、企業の革
新を計ったのです。革新を推進していく英雄を求めたのです。

資本主義衰退を防止するのが、ベンチャーしかないのです。
資本主義の必要から産業革命が起きたのです。もし、なければ社会
主義になるのです。社会主義は、世界構造や産業の構造が止まって
しまう。資本主義でも利潤が下落し、実質賃金は減少し続ける。

4.それではどうするの
日本政府は、サッチャーと同じような資本主義回復運動をするしか
ないのです。どうするか?産業界の保護を止めるべきなのです。
特に農村部に対する支援は害にこそなれ、益を生まない状態になっ
ている。銀行も資本主義的競争条件下に置くことが必要だし、建設
業界も倒産させるべき企業は、早く退場させるべきなのです。
百貨店やスーパーの倒産を防止するようなことは、政府がするべき
ではない。

このことは、このコラムで何回も議論しているので、このコラム読
者は、耳にタコができたと思いますが、とうとう米国経済が変調を
きたしてきたために、時間がないのです。日銀も金利を上げるべき
です。そして、退場すベき企業の退場を早める必要があると思いま
す。

反対に、革新する企業(ベンチャー)は助ける必要があります。
こちらに政府資金を投資すべきです。農村部に資金を使うべきでは
ない。そして、企業の英雄を作るべきなのです。

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