352−2.ロックフェラーの21世紀戦略2



YS/2000.11.11
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■ジョン・J・マクロイとオイル・ショック

 1960年代から1970年代前半にかけて、世界的な好況により石
油の需要が急増したが、1973年、アラブ諸国とイスラエルの間で第
四次中東戦争が始まったのをきっかけに、石油の需給が逼迫し原油価格
が高騰し第1次オイル・ショックが起こる。

 次いで、1978年のイラン政変に端を発してOPEC諸国の主導に
よる原油価格の引き上げが行われ第2次オイル・ショックが起こる。

 この二度にわたる石油危機で、世界の経済は大きな影響を受けたが、
今なおこのメカニズムを全体的視野で解明されておらず、またその戦略
的分析も公にされていない。

 ここでは当時のアメリカでもっとも外交政策に強い影響力を持ってい
たある人物に注目したい。

 ジョン・J・マクロイ(John J. McCloy 1985-1989 )である。

「アメリカの超党派外交推進におけるエスタブリッシュメントの名代」
といわれたマクロイは、1947年から49年にかけて世界銀行の総裁
として戦後国際通貨体制の事実上の創設者の役割を果たした。

 1953年から60年までチェース・マンハッタン銀行の会長となり
他にメトロポリタン・ライフ、アライド・ケミカル、AT&T、ウエス
ティングハウス・エレクトリックなどの取締役を兼任していた。

 1968年、マクロイはチェース・マンハッタン銀行の会長に復帰す
るが、翌年1969年にデビッド・ロックフェラーにそのポストを引き
継ぐことになる。

 1953年から89年まで外交問題評議会(CFR)に所属し53年
から70年まではその会長を務めていた。この時の副会長がデビッド・
ロックフェラーであり、チェース同様、マクロイが退任すると会長ポス
トはデビッド・ロックフェラーに委ねられることとなる。

 従ってマクロイはデビッド・ロックフェラーの指南役として重要な役
割を演じた。フォード財団の理事長を勤めながらロックフェラー財団の
理事も兼任し、フォード、ロックフェラー両家の信頼を集めた。

 それはマクロイが米系石油メジャー全社の弁護士を務めていたことに
も如実に現れている。筆者の手元には1975年のロックフェラー一族
の持株リストがあるが、ロックフェラー財団、ロックフェラー・ブラザ
ーズ・ファンド、チェース・マンハッタン銀行、ケミカルバンクなどを
通じてエクソンの5.81%、モービルの6.54%、アモコの5.5
0%、ソーカル(シェブロン)の5.27%を所有していた。

 マクロイは1960年代初頭には「ドルと金とのリンクを断ち切りド
ル本位制の世界をつくりあげるべきとの見解をC・P・キンドルバーガ
ーと共有しマクロイ国家政策委員会を通して強力に推進していた。

 そしてマクロイ等がリーダーシップを取ってアメリカの70年代世界
戦略として発動されたのがオイル・ショックである。
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YS/2000.11.16
---------------------------(番外編)---------------------------

 どうも下の記事が気になって仕方がありません。このあたりの動向に
ついてFさんやTさんもなにか情報をつかんでいるのではないでしょう
か?? なにか強烈なアメリカ側の意図を感じるのですが。

  しかしどうしてリンゼー氏がこの時期日本にいるのかも不思議ですね。
何が話されたかだいたい予測はつきますが・・・。

 リンゼー氏とロックフェラー・グループとのつながりは確認できてい
ません。Lehman Brothers の取締役を務めていたようですが、カウフマ
ン〜グリーンスパン〜FRB利権につながるようです。従ってあくまで
番外編として下さい。

リンゼー氏については下記URL参照下さい。
http://www.aei.org/scholars/lindsey.htm

またAEIはシンクタンクとして米政界に対して非常に大きな影響力が
あります。下の理事会メンバーを見れば今回の大統領選の裏側が理解で
きると思います。非常に保守的な構成です。特にKenneth L. Lay
(Chairman and CEO Enron Corp.)に注目しておくべきでしょう。
今後日本にも大きく関係してくるはずです。加藤さんもこのあたりを充
分意識しておかないとつぶされるかもしれません。おっとちょっと書き
過ぎました。
http://www.aei.org/annual/trustee.htm
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2000年11月15日(水) 18時50分

<加藤紘一氏>ブッシュ氏の経済顧問、リンゼー氏と会談(毎日新聞)

 自民党の加藤紘一元幹事長は15日、米大統領共和党候補、ブッシュ
・テキサス州知事の経済顧問であるローレンス・リンゼー氏と会談し、
日米両国間の経済問題などについて意見交換した。仲介役の民主党の熊
谷弘幹事長代理、自民党の山崎拓元政調会長らが同席。加藤氏は終始、
精力的にリンゼー氏に質問を浴びせた。
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[毎日新聞 11月15日]
2000年11月11日(土) 18時55分

<リンゼー氏>ブッシュ氏政権が誕生した場合の経済政策を講演
(毎日新聞)

 米共和党の大統領候補、ブッシュ・テキサス州知事の筆頭経済顧問、
ローレンス・リンゼー元米連邦準備制度理事会(FRB)理事が9日、
ワシントンでブッシュ政権が誕生した場合の経済政策について講演し
た。講演では「次期財務長官候補」と紹介されて登壇し、「推薦をあ
りがとう」と答え、会場をわかした。

[毎日新聞 11月11日] 
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(Fのコメント)
 加藤さんが数ヶ月前に、米国へ演説しに行ったことがある。
この時、日本の政策は間違えていると、米国次期政権の共和党から
言われ、かつ再度リンゼーさんがこの時期に日本に来て。加藤さん
に決起を促した可能性がある。それほど、米国は日本の復活を期待
しているのです。そうしないと、米国と日本が同時に不景気になり、
欧州はユーロ安にして輸出をするがこれもできなくなる。世界同時
不景気になってしまう。米国のソフトランディングが、世界のハード
ランディングを引き起こす心配がある。ここで、日本の構造改革を
行い、消費者サイドに立った行政が必要になっているのでしょう。

そして、景気を引き上げる必要がある。公共投資による景気回復は
ありえない。農村部にほとんど金が流れ、需要喚起とは関係ない
投資になっている。IT投資も、農村中心で、都市部は儲かるので
政府資金は必要が無い。民間資金でできるのです。

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