345−1.上海事情



上海まで成田から2時間40分しかかからない。このため、私の家
から成田までの時間と同じ。国際空港をもう少し、近くにしてほし
いと近くの外国に行くときは感じる。中国、台湾、韓国便は、羽田
空港にできないのでしょうかね。国内線と同じに頻繁に行く人が多
いので、必要だと思うが。また、今の滑走路の長さでいいため、技
術的には可能。

国の規制により、そこを利用する国民が我慢している。国が皆の希
望を邪魔している。すべての政策は、生産者のサイドではなく、消
費者のサイドに立つべきだと思うが。

 この上海は、将来と過去と現在が共存している街である。
浦東地域は、緑も多く将来の街に来た感じがする。大体50階以上
のビルで広い敷地に立ち、かつ緑が多い。どこかの街に似ているな
と思う。そうそうシンガポールだ。それもそのはず、シンガポール
のコンサルタントが作った街であるから。(海底)トンネルを抜け
ると未来の国であった。という感じ。

上海の外難(バンド)は、過去の町である。西洋風の10階建の
ビルが整備よく、使われている。この中の1つ、平和飯店に宿泊し
たが、なかなかいい設備である。空調はジョンソン・コントロール
を使っている。エレベータは、OTISか??

そして、この上海の町を歩くと、こじきの多いこと。すぐによって
くる。それと、物売りが多い。特に平和飯店の近くに多い。これに
は参る。ある会社が入っているビルに行ったが、昔に行った北京の
ビルと違って、近代的なビルで、エレベータは三菱を使っていた。
中の空調装置はハネウエルであった。このように、中国企業が使う
ビルでも、外国製を使うようになったようだ。外貨準備高も増加し
てから建築されたためだと思う。10年前の北京とは大きく違う。
しかし、街の雰囲気が違うと感じる。警察官が少ない。
それと、浦東以外の上海は、ゴチャゴチャしている。自転車も少な
くなったとはいうが、まだまだ多い。それと、背広を着ている人が
少ない。ほとんどの人が、作業服である。工員や警備員が多い社会
である。

国際会議場があるが、1年で作ったとのこと。日本では2年の工期
が必要であろう。どうしてできたかというと、2交代制で作業した
ためで、工費も1/4程度であるとこと。
金茂ビルは、88階建てで、中国では一番大きいが、工費が600
億円だそうだ。日本で作ると2000億円ぐらいになるとのこと。

上海証券取引所に行ったが、ここの取引所の取引席は1000席あ
るが、バブルが弾けて100席程度しか使っていなかった。
ここの最上階のクラブがあるが、豪華で、欧州のどこかの城の豪華
さを移してきたようだ。しかし、現在は静かだった。

彼とホテルで上海ガニを食べたが、1匹は5000円程度。若い従
業員の給与の半分だそうだ。しかし、この11月は上海ガニのシー
ズンだとか。このカニ味噌がおいしい。カニの肉は普通のカニと同
じだ。上海の中国料理はあまりおいしいと思わなかったが、ショウ
ロンホウはおいしい。それは、ここが発祥地だとか。しかし、全体
的には台湾の中華料理の方がおいしい。

工場も見たが、日本や欧州、米国から技術導入して、勿論工作機械
もすべて、輸入していた。品質も、合弁会社から指導を受けている
ため、欧米のISO9000レベルはクリアしている。ここに、
欧米・日本は製造工程を移しているようだ。そして、中国の多くの
工場は2交代で生産している。それでも、生産が間に合わない。

品質確保の方法は、各人の完成品数と欠陥数を表で掲示し、完成品
が多く、欠陥数が少ないと報奨金が出る。このことによって、欠陥
数を少なく、かつ完成品を多くしているそうだ。競争をさせる。昇
格も影響する仕組みのようだ。この方法はベトナムの工場も同様に
して品質を向上させているそうだ。世界的に使える方法と言えよう。

私が中国に試作を頼んだ物ができたということで、上海に来たが、
ここは昔の高度成長期の日本と同じで、皆が夜遅くまで働いている。
ベットもある。時々徹夜になるとのこと。このため、1ケ月で試作
品ができたようだ。日本では3ケ月かかる所だ。そして、安い。
人件費が月1万円程度であるから、コストは、ほとんどかからない。
日本が製造部分では負けるはずだ。

中国の貧富の差は大きい。会社のオーナは、どんどん金持ちになる。
我々が取引している社長も5年前は3人程度でソフトを開発してい
たが、今は1000人程度の人を使う会社に瞬く間になっている。
従業員の平均年齢は20歳か以下とのこと。ほんとに若い。高校を
出たてのようだ。この人たちの給与は月1万円。そして、ここの社長
である彼の使える金は10億円以上であろう。浦東の2万m2の
土地を買うかどうか考えている。*億円だとのこと。非常に安いそ
うだ。土地は、70年契約で借りるのであるが、その契約金のこと
である。彼の家は、マンションで3000万円だったそうだ。

中国では、住民の移動も許可が必要で、ほとんど認められていない。
移動できるのは、共産党員か大学卒業生で、このため、大学に入る
と、上海に出てこられるし、給与は田舎の10倍以上になる。この
ため、頭のいい子に、地元の金持ちが学費を援助することになり、
貧しい家の子でも、大学に入学できるのである。中国全土が夢を見
ている状態であろう。60年代の日本と同じ感じがする。
日本語・英語ができると、さらに2・3倍の給与になるため、真剣
に勉強するようだ。

これは、社会主義の国とは違う。競争が激しい。競争に勝った者が
生き残る社会だ。勝った者の拡大速度は、非常に早い。国営企業が
ほとんど場合、負けている。日本企業の製造部門も負けているので
あろう。これは資本主義の国だ。社会主義ではない。そして、欧州
系の人が多い。欧州は戦略的に中国と付き合っている。このため、
欧州製品が多い。フランスの会社やドイツの会社、特にフォルクス
ワーゲン車が多い。携帯電話もヨーロッパ方式である。GDM。
しかし、少し上海の外に出ると社会資本が整備されていない。道も
ひどい。崩れたような家もある。今度、日本と同じようにだんだん
都市郊外や都市間交通に社会資本を投下する必要があるのであろう。
そして、徐々に充実する必要がある。今の段階は、都市整備をして
いる状況である。

まだまだ、中国はやることが多い。これは、中国人の活力がある今
の間にやるべきであろう。どうしてか?ここも、日本と同じ老齢化
が迫っている。一人っ子政策が続いたため、人口増加率が下がって
いる。今は中国国民は、夢を見ている。年々所得が倍増するという
夢であるが、この夢がいつ破綻するか。日本を10年で抜くかどう
かは、この夢が破綻するかどうかによっていると思う。

帰りの飛行機で、スペインの人と会い、中国について会話したが、
毎年中国の上海にいくそうだが、毎年上海が大きくなっていく姿を
見ているとのこと。中国はあと10年で世界最大になるだろうと、
彼は言う。

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