334−2.社会主義と共産主義



前回送らせていただいた投稿文に反応があった
ので、お返事を書かせていただきます。

> 今回のモスクワからKさんのコラム非常に分かりやすかったです。
> 自分は、高校1年の未熟者のため、社会主義と共産主義の違いがま
> だよく理解できていません。教科書をかたっぱしから読んでもまだ
> ダメです。
> なにか、分かりやすい著書を紹介していただけませんか。

私自身、ソ連の大学教授から教わったので、わかりやすい著書を
知りません。

前回、マルクスの考えによると歴史は原始共産制→奴隷制→封建制
→資本主義→社会主義→共産主義と進むと書きました。

原始共産制とは、生産性が発達しておらず、国家や私有財産、階級
が発生する以前の社会です。

マルクスはこの時代を理想的社会ととらえているところから、歴史
の最後に来る共産主義も国家がなく、階級がなく、私有財産がない
社会だと主張しています。

では原始共産制と共産主義社会の違いはなんでしょうか?
原始共産制は、生産性が極度に低く、私有財産や階級が発生し得な
い社会でした。つまり、貧しいからお互い助け合わざるを得ない社
会といえるでしょう。

しかし歴史の諸段階を通過し、最後に訪れる共産主義は、生産性が
極限まで発達した社会です。原始共産制と共産主義の違いはこの
一点につきるでしょう。原始共産制は「貧しくて平等な社会」、
共産主義は「豊かで平等な社会」と言えると思います。

では資本主義と共産主義の過渡期にあたる社会主義とはなんでしょ
うか?この段階ではまだ国家が存在します。
資本主義を打倒した労働者階級が、国をおさめるのです。

彼等は、共産主義移行への準備を進めるのですから、私有財産を
否定し、生産手段を社会化、国有化します。

社会主義と共産主義の違いは、社会主義には国家があり、国が経済
を運営している。しかし資本主義時代に存在した階級や、労働者へ
の搾取、私有財産などは存在しない。

共産主義は、国家がなく、私有財産がなく、階級がなく、搾取のな
い社会、しかも生産性が極限まで発展している社会と言えるでしょう。

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辻本さんへ
ありがとうございました。

いくつか私の考えと異なる点があるので、お返事を書こうと思いま
す。
>20世紀のマルクス主義=共産主義については、Kさんのおっし
>ゃる通りです。戦後の日本の人民はそれを感覚的に知っていたから
>こそ、社会主義政党に政権を渡さなかったという賢明な選択をしま
>した。「日本人は共産主義理論をほとんど知りません」と書いてお
>られますが、そうではないと思います。

いわゆる知識人階級の人はそうかもしれません。私が言いたかった
のは、調子のいい言葉に騙され共産党を支持している一般人につい
てです。
現在自民党の森さんは失言が多く、社民党もだらしない状況で、
日本共産党は勢力を拡大しています。

共産党は、平和運動や環境運動を通じて票を伸ばしていますが、共
産主義理論を知っている人が暴力革命を肯定する共産党を支持する
ことはあり得ないと思います。
(暴力革命が好きな人は支持するでしょうが)

>19世紀のマルクスの著作はなかなか面白いものです。20世紀のマ
>ルクス主義によって歪められた目で見ないで,お読みになることを
>お勧めします。

確かにマルクスの著作は面白いです。資本論の予測もいくつか当た
った部分があるでしょう。
しかし私が前回投稿したのは、「 さらに、素朴な疑問としては、共
産圏では、なぜ人々を殺害しなければならなかったのでしょうか。」
という疑問に答えるためでした。

これに対し私は、マルクスの歴史観を説明しながら「マルクスが殺害
を奨励しているので、必然的に共産圏では人々が殺害されなければ
ならなかった」と言いたかったのです。

辻本さんも『Kさんが「マルクス主義は人々の殺害を奨励した」と
おっしゃるのは、その通りです。』
と書かれているのでくどくなりますが、19世紀のマルクスの著作で
、暴力革命を奨励している部分を抜粋しておきたいと思います。
 
共産主義者の聖書共産党宣言は
「今日まであらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である。」
から始まります。そして最後の部分には
「共産主義者はどこにおいても、現存の社会的ならびに政治的状態
に反対するあらゆる革命運動を支持する」
「共産主義者は、これまでのいっさいの社会秩序を強力的に転覆す
ることによってのみ自己の目的が達成されることを公然と宣言する」
とあり、彼等の目的が革命であり、世界の転覆であることを宣言し
ています。

そしてまとめは「支配階級よ、共産主義革命の前におののくがいい。
プロレタリアは、革命においてくさりのほか失うべきものをもたな
い。かれらが獲得するものは世界である」
「万国のプロレタリア団結せよ!」であり、革命によって労働者階級
が世界を奪取することを呼びかけています。

19世紀のマルクスの著作は、読むぶんには面白いです。しかしマル
クスがこの本を書いたおかげで、世界中で何千万人もの人々が虐殺
されたとなると、面白いだけではすまないと思います。

オウムは、サリンをばらまいて何千人に被害を与え、日本でも世界
でも怖がられています。彼等が20〜30年後に平和や環境保護、人権
などを訴え政党を作ったら支持を獲得できるでしょうか?

共産主義と言うのは、マルクスという教祖が創った世界一の虐殺宗
教です。規模の面で、オウムの何百万倍も悪だと言うことができる
でしょう。
全世界で何千万人も殺しまくっているにもかかわらず、相変わらず
日本で存続しているのはどういうことなのでしょうか?

共産党の党員でも、マルクス主義をよく知らない末端の人(信者)
は、善良であることを信じます。
彼等は、人権、平和、環境という言葉にまどわされているのでしょ
う。それは、オウムの末端の信者が「悟り」を目指して黙々と修行
に励んでいるのと同じです。

しかし日本共産党の不破さんなどは、マルクス・レーニン主義を隅
から隅まで暗記している確信犯であるに違いありません。
もし彼が真剣に平和や人権保護を望むのなら、まず共産党という
名前を変えているはずです。

モスクワより
K

PS
長くなるので、中間部分は削除しましたが、レーニンの創った国家が
アジア的古代国家だったという説明は大変参考になりました。
ありがとうございました。

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