325−1.環境問題の解決にむけて



no.318-1持続可能な開発は可能か?に対して(Fより)
環境問題は、柳太郎さんとYSさんの対話で、思想的な面はわかっ
たが、技術的・統計的が不足しているようですので、その部分を
ここでは、議論し評論してみましょう。

勇作さんからは、順序立てて、述べよとも、言われている。
このため、この論文は、次の順に分析する。
1.なにが問題か?
2.その問題の原因追求
3.解決の優先順位
4.解決のための技術は?
5.その他

1.何が問題か?
@オゾン層破壊
一番問題であるのが、オゾン層破壊でしょう。
地球の10kmから40kmのかけてあるオゾン層がなくなってい
る。このオゾン層がなくなると、宇宙からの有害な紫外線や強力な
電磁波が直接地球の生物にあたり、生命が陸上に存在できなくなる
のです。このオゾン層を破壊しているのが、フロンであるが、成層
圏を飛行している旅客機もその原因になっている。フロンは、安定
した分子でフロンを大気上に放出しなくとも、今後10年以上はな
くならない。このため、10年以上間、フロンはオゾン層を壊し続
けることになるのです。

A地球温暖化
 地球温暖化により、海面の上昇、異常気象の増加が起こっている。
この温暖化と森林破壊で、1997年7月欧州中部で最悪の洪水が
起こりポーランドでは、国土の1/4が被害に会い被災者450万
人で55人が亡くなった。チェコでも5万人が被害に会い、ドイツ
は6千人が被害に会った。1998年6月以降中国でも記録的大雨
で揚子江流域で洪水が起こり、被災者2億2300万人、死者
3500人を出した。また、南極・北極の氷棚も年々薄くなってい
る。このため、海面の上昇もあり、1年で20cm程度上がったよ
うだ。南極と北極の氷が全部溶けると、海面が70m程度上昇する。

B農薬・化学物質の被害
 農薬の散布、鉛など人間に有害な化学物質がゴミとして地球表面
に置かれ、それが環境に悪影響している。これも、これだけであれ
ば、まだ問題が大きくないが、熱帯の森林破壊とこの農薬や化学物
質散布により、亜熱帯の動植物に大きな影響が出ている。また、人
間にも食物を通して、悪影響が出ている。

Cエネルギーの枯渇
 1970年代に、盛んに言われたことであるが、今の所枯渇する
ような感覚はない。そのエネルギーを化石燃料を燃やすことで獲て
いることで、CO2が増加することに問題がシフトしている。
ただ、50年のオーダーでは、枯渇する可能性がある。

D水不足
 森林健在であれば山に降った雨が、森林の保水効果で徐々に下流
へ流していたが、森林破壊が進むと、山で降った雨が保水力がない
ため、すぐに下流に流れる。このため、川が洪水を起こす。そして、
乾期には、水が無くなる。このような構造ができてしまった。一番
深刻なのが、中国の黄河で、年間200日ぐらい断流になる。水が
、途中で農業用水や工業用水で使われ、川に水がない。アラル海も
ほとんどなくなっている。

2.原因追求
@オゾン層破壊
 大きな原因のフロンの禁止により、数年後には、オゾン層破壊が
止まることになると科学者は信じている。しかし、毎日成層圏を飛
行する航空機による破壊は、あまり語られないようだ。まあ、現時
点では成層圏にあるフロンがなるべく早く無くなることを期待しよ
う。

A地球温暖化
 大気中の温室効果がある気体の濃度が大きなったことによる。
この効果がある気体としては、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、
フロンがある。メタンは二酸化炭素の20倍の効果がある。メタン
濃度は現在1.7ppmであるが、一番濃度が高い1万5000年
前には0.65ppmであったから、その濃度の2倍程度になって
いる。

二酸化炭素は、この200年間で25%も増加している。大気中濃
度は、1750年頃280ppmであったのが、1960年で300
ppmになり、2000年では恐らく400ppm弱程度になって
いる。そして、1750年以前は280ppmで安定していた。
これは、1750年が産業革命の始まる頃であり、この頃から化石
燃料を大気中で燃焼させ始めたためと考えられる。

 地球温暖化のもう1つの原因は、森林破壊であろう。ジャワ島で
も1932年にあった森の80%が現在ヤシ油のための畑になって
いる。アマゾンは、大豆畑になっている。ここも森はなくなってい
る。この原因は、日本など農産物を輸入に頼っている国が多いため
で、発展途上国で開発されているのは、すべて換金農産物である。
日本の商社や大企業が開発している農園もある。

B化学物質の害
 農薬、フォルマリンなどのホルムアルデヒド、鉛などの人間への
影響がでてきている。これは、NO.314−1「環境化学物質と
いじめや非行・暴力犯罪との関連性について」に詳しい。
この原因は、人間が便利さを追求した結果である。農薬は、農産物
の生産性向上のため、フォルマリンなどは防腐剤や接着剤として使
われている。鉛は、水道管として使われていた。

3.解決の優先順位
 一番緊急であるのは、オゾン層破壊であったが一応フロンが禁止
され解決したことになっている。高度地域では、日差しの強い日に
は、家の中にいるとか、皮膚を出さないようにする必要がある。

次には、地球の温暖化の防止であろう。すると、CO2の減であろ
う。このCO2の減少は2つの方向から解決する必要がある。1つ
が、化石燃料を止めること。もう1つが、森を作りCO2の光合成
を促進して、炭素を木として固定すること。また、CO2の固定で
ある珊瑚や海洋での固定することも可能であろう。

それと同時に人間に有害な化学物質の使用禁止か使用制限が必要で
ある。この有害物質は、生産性向上が背景にあり、その生産性を犠
牲にせずに禁止か制限することが、望まれる。価格の高騰を招くた
め。

4.解決のための技術は?
オゾン層破壊は、一応解決案が出ているので、温暖化、化学物質の
防止方法を見よう。
@森やサンゴなど造成によりCO2の固定する。
 この技術は、砂漠の森化や土地が塩害で破棄されている場所を森
化するしかない。今、発展途上国に熱帯林の開発を中止しようとし
ても反発するだけのようだ。森の保護基金ができ、発展途上国に森
を保護すると、開発するより有利になる方法ができればいいが。

 砂漠の森化は、中国の黄河上流で行っているが、うまくいってい
ない。日本から持っていく苗木は、ほとんど枯れてしまう。このた
め、その地にある木の苗木を使う方法しかない。遺伝子がその土地
の環境に適合しているためであるが、この方法が中国の黄河上流の
森化を進めている。
本当の砂漠では、水の確保が重要で、この水を保持する技術が、
日本で開発されている。今後に期待したい。

 塩害の土地改良が必要である。この技術は聞いたことがない。
もし、知っている読者がいれば、ご紹介願いたい。

地中蓄積や海洋蓄積などのような方法も考えられている。サンゴ
の破壊を止め、サンゴ等の海底固定も必要であろう。

 人間の世界の化学品として、CO2利用を考える。CO2の化
学品は、分解する物が多いので、今後の土中分解プラスティック
などで有望であろう。

A化石燃料を止め、CO2の増加を抑制する。
自動車は、電気自動車にして石油の燃焼にしない。電気をどう作る
かだが、風力発電、太陽発電、波力発電などを組み合わせる。
この時、電子力発電はCO2を出さない発電であり、これを推薦す
る人がいるが、この電子力発電所を作ると放射能物質の管理が必要
になり、その問題も大きいのでここでは触れない。
風力発電も、太陽発電も、波力発電も1つでは、それほど大きくな
いため、各家や工場が発電することになるのであろう。
このため、日本も制度の改正が必要であったが、この面では、1歩
も2歩も進んだのではないか?
その目標に向け、自動車の構造も変化するであろう。まずは、ハイ
ブリットであろう。トヨタとホンダは、世界でも進んでいるので、
次も日本で確保してほしい。

工場での生産は、多量のエネルギーを消費している。この生産量を
押さえるためには、リサイクルして再利用することである。それと、
石油から作られている物を再度原料と利用することで、省資源社会
にもなる。この施策は、一般国民まで含む多数の人や企業の協力が
必要である。法律の整備も必要である。たとえば、エネルギー税な
どの税金。しかし、用途変更は、より大きなエネルギーを必要とす
る場合もあるため、たとえばペットボトルを最初から再利用可能な
ガラスビンにするような変更を促進する必要もあるのであろう。

B有害化学物質の削減
 家の造り方が昔に比べ、大幅に変化している。接着剤を使用して
工程を削減している。この生産性向上策が新築の家で、シック病が
増えていることである。この方法を規制する必要がある。事前に
工場で、組み木の穴を作り、現場に持ってくるなどの他の方法での
効率化を図る方向に誘導する必要がある。

 農薬は、生物の食物連鎖を利用して、害虫の排除をする方向で、
研究が進んでいるが、この研究に期待する。しかし、海外種は、そ
のまま導入すると、在来種が絶滅する可能性もあり、慎重な検討が
必要であるが。

5.その他
 いつも思うが、この環境問題では、日本の自然と融合という考え
方が、必要だと思う。西洋的な考え方では、自然を制御しようとす
るため、自然の法則を見つけ、人間に有害であると証明する時間が
必要になる。しかし、その時間が致命的になる可能性があるのです。

 しかし、今は、西洋文明であるため、そのような手段を使わない
と納得できない。人間社会はその時間が間に合う方法で地球危機回
避できるか、見物である??

(参考資料)
「地球温暖化を考える」 宇沢弘文 岩波新書
「地球環境報告U」   石弘之  岩波新書
「地球環境問題とは何か」米本昌平 岩波新書
「地球持続の技術」   小宮山宏 岩波新書
「二酸化炭素と地球環境」大前巌  中公新書
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メールネーム   MEIKO

「環境と経済の両立」
いつも、勉強させていただいております。
さて、私は、環境について様々なことに取り組んでおりますが、
現在、経済を発展させつつ、環境問題に取り組めないものかと研究
しております。

本来経済とは広辞苑によると
@国を治め人を救うこと。経国済民。政治
A(economy)人間の共同生活の基礎をなす物質的財貨生産・分配・
 消費の行為・過程、並びにそれを通じて形成される人と人の社会
 的総体。
B費用のかからぬこと

とあります。以前、広辞苑は左よりの考えが入っているとコラムで
読んだ記憶がありますが、いずれにしても、私は商業高校を卒業し
ておりますが、高校の時の授業でも似たようなことを勉強しました。
(その時の教科書や先生が、右か左か真ん中かはそのころは気にし
ていません)

今の経済が、本来の目的を達成するのなら、環境問題で人が住めな
くなるような地球にするのではなく、人が幸せになるよう、国を治
め人を救っていけるような経済界が出来ないものかと、いろいろと
研究しております。

経済ということからいえば、費用のかからぬこととあるのですから
、環境問題にはもってこいだと思います。経済開発と環境保全は両
立出来ないとおっしゃる方が多いようですが、経済の意味を考える
ならば、経済が地球環境を救ってくれるのではと夢と希望を膨らま
せ地道に研究しております。

何かよい情報のある方是非お教え下さい。
世界中の人々が、みんなでなかよく暮らせる世紀をめざしがんがん
ばる32歳です。
是非、アドバイスください。ちなみにハンドルネームのMEIKOとは明
るく幸せにという意味で 明と幸をくっつけたもです。どうか、コ
ラムの制作者のお二人と読者の皆様にご協力を賜りたくお願いしま
す。
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うちだと申します。

ご意見を伺い、ほぼ肯定的な感想を持っています。ただし、「環境
破壊なき開発はない」→「開発はやめるべき」、であるとして、環
境への配慮を行う立場にとって必要な考えかたであり、しかもこれ
と同時に成り立っていることは、「成長などしなくても日々環境破
壊を進めている」、あるいは「現状維持は大きな環境破壊」という
点ではないでしょうか。

第三世界の犠牲の上に成り立つ欧米の生活水準に追いつきたいとす
る第三世界の希望をかなえるために、わざわざ犠牲になってくれる
「第四世界」はもはや地球上にはない、つまり、欧米の経済開発に
おける開放系の発想は地球という閉鎖系の中では破綻を来たしてい
るということです。

これを超えるとすれば、槌田敦が提唱しているような地球と宇宙と
の関係におけるエントロピー排出システムに委ねた形で社会システ
ムを再構築するしかないのではないかと思います(詳細は槌田氏の
著作を参照してください)。枝葉末節にこだわらずにばっさりとわ
かりやすく云えば、地球上みんなで江戸時代をするしかないという
ことです。

経済開発スピードの減速→経済開発無しの現状維持→経済水準の後
退、これだけ見ても一大事といえる意思決定ですが、所詮は環境破
壊のスピードの減速でしかない、という点にまで踏み込まなければ
、環境破壊の観点からすれば気休めでしかなく、(わかりやすくす
るためにあえて露骨な表現をするならば)思想的には環境オタクと
同じ穴のムジナになっているのだと思います。

(もちろん、このまま破滅にむかってまっしぐらに行くのだ、とい
うのも(よいわけないとしても)決断の一つではありますが)

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