323−1.共産主義とは何か



どうも、国際戦略コラムをご購読の皆様へ
国際戦略コラムno.314-2「共産主義とは何か」への意見です。

ほそかわ・かずひこの<オピニオン・プラザ>の共産主義への捉え
方というのは、マルクスにその根元を求めているのはよいのですが
、基本的に歴史における結果論的な考えです。
というのは、共産主義にしろ、民主主義にしろ、結局はルネッサン
スのユートピア思想に端を発し、根元は人間自身の存在意義にまで
迫る。
ユートピアは、人間の求める究極の社会です。それを以下に現実化
することこそが人類の最大の使命だとし、様々な方法論が試された。
そのたびに対立が生まれ、多くの人々が死んだ。社会は、ユートピ
アを求めるカオスだ。
共産主義は、自然主義によらない急進的、科学的な平等主義。マル
クスは、それを当時の社会に当てはめて資本家と労働者の関係とし
て捉えたのです。
それは、当時、恐慌の度に、労働者の餓死体が、街道に転がってい
た現実からすれば、自然発生的な思想のはずです。
では、平等な社会などできるのか。これは私も追求した答えです。
結果は、ノー。なぜなら、平等とは差のない世界のこと。人間の自
己認識自体、他者や他の事物との「差異性」によって確立している
のものだという結論に達したからです。つまり、私が私であり続け
ることができるのは他と違うからです。でなければ、私は、目に見
えるもの、聞こえるものをいかにして識別すればよいのか。共産主
義の考えは、哲学の命題を現実的にイデオロギー化したものでもあ
ったはずです。
つまるところ、私の考えでは、グローバリズムも結局は共産主義と
同じ目的性を持ったものになる。これは、2030年頃の未来の歴
史を結果的に検証すれば、恐らく明白となるはずです。そして、
国際戦略においては、この時、初めて日本の大変重要な役割が生じ
てくるはずです。狩猟社会が、一つの波動を終えようとしたときに
、日本のような友和を求める多様な価値体系を持った農耕的人種の
考え方を世界が必要とし始めるはずです。そして、その日本の波動
はもう既におこっている。既存の波動が存在しているときには、も
う新しい波動がその芽を吹き始めているからである。そして、それ
はこの国際戦略コラムが現実に存在している何よりの証明ともなる
と思われる。

caos
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> さらに、素朴な疑問としては、共産圏では、なぜ人々を殺害しなけ
> ればならなかったのでしょうか。

これについて、書きたいと思います。

私は共産主義者ではないのですが、ゴルバチョフに憧れ、90年代の
はじめにモスクワに留学しました。当時ロシアの大学では、マルク
ス主義が必須科目として残っていたので、本場の教授達から大変丁
寧に教えてもらうことができました。

結論から言うと、マルクス主義は人々の殺害を奨励しているのです。

マルクスの歴史観を簡単に書いておきます。

人類が発生したころ、世界は平和でした。これを原始共産制といい
ます。貧しくても皆が助け合って生きる社会でした。

ところが、生産性が発展してくると、余剰物資が現れてきます。
そこで私有財産がでてくるのです。私有財産が現れると金持ちと貧
乏人が生まれ、階級が発生してきます。

マルクスは「私有財産こそ悪の根源」と定義していますので、社会
主義国では私有財産が否定されました。

さて階級社会として初めに生まれたのが奴隷制社会です。この社会
には大まかに言って奴隷所有者と奴隷がいました。

ところが生産性が向上すると、この体制が維持できなくなってきま
す。そこで(マルクスが言うには)、必然的に革命が起こるのです。
革命とは、奴隷が奴隷所有者を倒すということです。

次に封建社会が発生してきます。この社会の階級は、土地を持つも
のと土地を持たぬもの、つまり封建領主と農奴がいるのです。

ところが生産性が発展してきて、社会体制が維持できなくなると、
革命が起こります。農奴が封建領主を打倒するのです。

そして資本主義が現れてきます。資本主義下の階級は、資本を所有
するのも、資本を持たないもの、つまり資本家と労働者です。

マルクスの理論によれば、生産性が向上すれば、資本主義体制が維
持できなくなり、必然的に革命が起こるはずでした。
(ちなみに資本主義の後は、社会主義→共産主義と進み、階級のな
い楽園のような世界が来ると予言しました。)
ですからマルクスは、資本主義が最もすすんでいるイギリスでまず
革命が起こると主張したのです。

ところが、実際に革命が起こったのは、資本主義が全く発展してい
なかったロシアでした。
レーニンは、その理由を「帝国主義のくびきの弱いところから革命
が起こる」と説明しましたが、これはマルクスの理論とは全く異な
る、彼なりの解釈です。

レーニンは自分なりにマルクス主義を解釈し、都合のいいところだ
けを取り入れレーニン主義を構築しました。

彼がマルクス主義から取り入れた理論の中に、「労働者が資本家を
打倒するのは歴史的必然」というのがあります。
ですからレーニンは、ロシアの金持ちを躊躇なく殺しました。
私の知り合いに93歳のおばあさんがいますが、彼女はレーニン時代
のことを鮮明に覚えています。
レーニンがスターリンよりもましだったと考えるのは、彼女の言葉
から間違っていると思います。
レーニンの時代もスターリン時代と変わらず恐怖の時代だったのです。
ただレーニンは、実権を握っていた時期が短かっただけです。

整理すると、
@マルクスは、私有財産により階級が発生することが諸悪の根源と
考えた。生産力が拡大することで、階級が発生するのだから歴史を
動かす原動力は経済である。

A階級は常に、持てるものと持たざるものに別れる。

B歴史は奴隷制社会→封建社会→資本主義社会→社会主義→共産主義
と発展する。

C歴史を動かす原動力は経済だが、現体制では生産力がこれ以上向上
しなくなった時点で革命が起こる。革命とは持たざるものが、持て
るものを打倒すること。

D資本主義社会では、労働者が資本家を打倒することで、歴史が進歩
する。

以上です。
このように共産主義が成立した時点で、労働者が資本家を虐殺する
ことが肯定されているのです。

社会主義、共産主義を名乗った国では例外なく虐殺が行なわれてい
ます。それには理論的根拠があることを知るべきです。

日本人は共産主義理論をほとんど知りません。
「自宅に明治天皇の肖像を飾っている」と語る不破さんを見て、
「あ〜共産党にも愛国者がいる」というのは、全く甘い考えです。

彼等の聖書「共産党宣言」「資本論」などには、労働者が資本家を
殺すことが「善」として理論的に説明されていることを知るべきだ
と思います。

モスクワよりK
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(Fのコメント)
caosさん、ありがとうございます。次の波でどう日本が変化するか
見物ですね。このコラムがその波の波頭にあるという意見は、大変
光栄です。新聞が造る民主主義から国民自ら造る民主主義に大変革
することが必要と常々考えています。読者・投稿者の皆様と、この
静かな革命を推進したいと思いますので、今後もよろしくお願いし
ます。

モスクワよりKさん、共産主義の根本論理解説、ありがとうござい
ます。非常に面白く、分かりやすい解説です。

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