320−1.西洋文明の根底について



no.313-3西洋文明の根底

西洋の影響を受けて時が過ぎて行く現状から日本を守り、日本の良
さ、優秀さを誇示し、日本独自の意見を持つべきとの意見に異論は
ありません。
但し、自分の意見としては、日本が独自の意見を持って世界の指導
者、世界に日本の良さを認めさせて影響力をもつには、問題がある
ように思います。
以前塩野七生(イタリア在住作家)が、日本で清い、金のかからな
い政治、うそのない政治を確立する必要があるとの意見が良く見ら
れるが、一体そんな政治が何処の国でじっこうされたことがあるの
か。

政治とはうその塊という認識を持つ必要がある。と述べていたのを
読んだ記憶があります。彼女は、イタリアの男性が、女性を口説く
ことに長けていることをあげ、口先だけで自分に関心のなかった人
を自分に関心をよせさせるこの技術こそ、西洋の外交の精神ではな
いかと述べていました。

外交とは、ともかく意見を異にする国々のなかで、いかに自分の主
張を売りこむか、納得させるかの戦いでしょう。従って、経済力、
軍事力、論理構成、主義・主張と言う道具を使いこなして、相手を
納得させようとするのが外交です。従って日本の良さ、言語の底の
深さは世界にまれに見るものがある。と日本人が思うのは当然とし
ても、だからどうなんだ、それがどうしたと異国から言われたとき
にどう対応するのだろうか。民主主義、資本主義と言う理念で襲っ
てくる西洋に対して、西洋文明は破壊と侵略の歴史と言ってみたと
ころで、それに対抗する普遍的な理念・主義主張がなければ犬の遠
吠えではないでしょうか。アメリカはアメリカインデイアンの土地
を奪い、特定の優遇地域に幽閉して現在に至っています。しかし、
時折でてくる批判に対して、対応はしているものの、基本的には、
彼らの土地を全面的に返還する気持ちなど毛頭ありません。植民地
として占領していた国々に対しても西洋の対応は目を見張ります。
民主主義・資本主義の浸透と言う理念を持って、そうした国々に胸
を張ってつきあっているのです。侵略と言った言葉で批判されてい
る日本とは比較になりません。

私がもうしあげたいことは、日本がそんなに素晴らしいなら(この
ことについて異論はありません。)何故諸外国は日本の良さを見習
おうとしないのか。それは、日本の歴史上、異民族に征服されたこ
とがないからではないでしょうか。中国はその歴史の連続です。従
って、外敵に対抗する為の自国の主張を常に明確にしておく必要を
歴史から学んでいるからでしょう。これは、以前上智大学のクラー
ク博士が述べていたことです。

従って、北朝鮮が本当に核攻撃をするのか、とか中国が何故台湾を
攻撃しないのかといった議論よりも、日本のおかれた地理的状況か
ら考えて、一番仮想敵として考えやすい両国を想定して準備するこ
とは日本の国益に合う、当然のことと思うのが世界的考え方ではな
いだろうか。どの国も一番経済的な方法で自分の国を守ろうとする
ものです。善意を旗印にするといって一体善意とはなにを意味する
のだろうか。善意を示すことが、その時点の国益にあうから使うも
のであって、善意が国益にあわなければすぐに引っ込んでしまう理
念だと思います。善悪の議論をすることほど外交上無駄なことはあ
りません。外交上は勝てば善で負ければ悪です。だから、ありとあ
らゆる手段を使って自分の主張を納得させ、自分が勝って自分の主
張を善とみなさせることが基本でしょう。秀吉が長けていたのは、
戦わずして敵を自分に味方させた外交手腕ではないでしょうか。

ながながと書きましたが、西洋は悪くて、日本は良いと言う議論よ
り、悪いと言っている西洋に対抗する、日本の良さを全世界に知ら
しめる主義・主張、普遍的理念を日本はどうしたら持てるのか。が
一番の課題と思います。それには、世界でまれに見る平和な歴史を
持つ日本の観点は、普遍性に乏しいと認識する必要があるのではな
かろうか。アメリカに永く住み、故国日本をこよなく愛している私
にとって、常に日本の良さを主張して、同じ日本人同士で納得して
終わっているように思えてしかたがありません。アメリカは種々の
人種の坩堝であり、日常生活も日本と比較して戦いの連続です。し
かし、一つの国として成り立たせています。民族間の抗争のない日
本が、囲いのなかではぐくんだ価値観を他国に説明しても納得させ
るのは難しいように思います。

在ミシガンym
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(Fのコメント)
その通り。日本の良さを欧米諸国に言っても通じない。日本が侵略
国で、欧米が正義の味方という見解を崩すことが、まず必要です。

そのために、明治時代後、日本は世界の人種差別にどれほど貢献し
たかを言う必要があります。欧米の論理で、日本の明治以後の歴史
を見直すことが必要です。現在、欧米論理で日本の見直しをしてい
ない。

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