315−1.アジア主体の国際戦略



Fさん、お返事いただき、有難うございます。
> アジア主体の国際戦略を構築する必要が
> あると私も考えていますが、柳太郎さんはどういう構想になりそう
> ですか。

私はまだまだ勉強不足なため、広範囲な構想を練るにはまだまだ力
不足ですが、今回は以下の2点に絞ってまとめようと思います。様
々な場で、政治的、経済的な議論は数多くなされているのですが、
特に2番目のものはあまり聞いたことがありません。これらに関し
て、私もいろいろな方の意見を聞きたいと思っています。


1. 「核兵器」について

このコラムやBBSなどを見ていると面白いのは、何か雑誌にでも影
響されているのか知りませんが、「核兵器が飛んでくるぞ」的な話
が今にも起こりそうなことのように語られていることです。私はこ
の点において、飛んでくる可能性はゼロとはいえないと思いますが
、極めて小さいと考えています。理由は、核兵器を使った時点でそ
の国は国際社会から孤立し、逆に自国を追い込むことになるからで
す。中国や北朝鮮が日本に核弾頭を飛ばし日本に致命傷を与えたと
しましょう。国際社会はそれに関してどういう対応をするか。自国
の危機を覚え、中国に対する経済制裁及び弾劾が始まるでしょう。
イラクが国際ルールを守らなかった時にこれは現実のものとなりま
したし、国際社会はこれを知っているのです。

冷戦終結のときに、ソ連の選んだ道は核兵器を飛ばして起死回生を
図ることではなく自国の崩壊でした。ここが重要なのです。核を飛
ばすことで自国がさらに追い詰められる可能性が高いのです。何事
にも100%は無い以上、核は究極の威嚇にはなり得ますが、未だ
に自国を完全に有利に導く「究極の兵器」にはなっていないのです。
さらには、核兵器を使うなら、他の全ての核保有国を同時にたたか
ないと自国が危険な状況になりかねません。

中国脅威論や北朝鮮脅威論といったアメリカ的なイデオロギーに左
右されては、東アジア一体の平和は無いでしょう。アメリカは勝ち
負けをはっきりさせようと、相手を追い込もうとする一面がありま
す。このため、国民の敵対意識を高揚させ、団結心を煽ります。こ
れに日本も影響されている面がありますが、この点に関してはしっ
かりと日本独自の外交ルートを確立し、相互理解に努めるべきです。


2. 「異質性」について

国際関係を語るにあたり、この観点が抜けている議論が極めて多い
のですが、「異質性」が様々な国際問題を引き起こしてきました。
例えば、冷戦に関して様々な理論がありますが、究極的には体制間
抗争という「異質性」が問題であったという論議があります。ヨー
ロッパと比較すると、日本を含めた東南アジア・東アジア諸国は極
めて異質性が高い訳です。文化的側面(言語や宗教)や人種や気候と
いった面では、ヨーロッパ人の間で区別されるよりも差異が大きい
のではないでしょうか。ここをどう克服するかが問題です。日本は
島国である以上、自分が出て行かない限り変化が起こりにくい環境
にあります。つまり、積極的に対外的にアプローチしていかなくて
は、変化が起こりづらい訳です。当たり前のことですが、日本人に
とって「異質なもの」を受け入れつつ、日本式を伝えなければ相互
理解は無いのですが、日本人はこれがなかなか出来ません。

 この点を変えていくためには、日本人(特に大学生)をアジア諸国
に留学させると共に、留学生を多く受け入れることです。そして、
留学生に対して付加価値のある教育を受けさせること。そのために
は、日本の大学や教授と呼ばれる人たちの意識を変えなくてはなり
ません。
さらには、日本語教育の充実を図る為にも、海外に日本人が多く出
て日本語学校で教える機会をを設けるべきです。日本語教師の資格
などといったものが無くても教えることができるシステム作りをす
ることです。そして大学や企業はそのような活動をしてきた人材を
評価し、採用していくべきでしょう。

また、これにより「同じ価値観を共有する」事の重要性といったこ
ともクローズアップされるでしょう。今までのMLで主張してきたこ
とですが、私が環境問題に関心を示すのは正にここです。この点に
おいては、技術的な面からも日本はアジアで主導権を握れるはずで
す。そして、日本はアジアとの共存を図ると共に、自国の地位を確
立することが出来るかもしれません。

柳太郎
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(Fのコメント)
 日本は、中国から軍事的脅しを掛けられても、その脅しは中国の
外交上の手でしかないから黙っているべきと評論家が言う社会であ
る。米国からもし脅しをかけられれば、その評論家は、怒るのにで
すよ。非並行の状態にあるのです。この状態は、改善しないとおか
しいし、日本の味方がどちらかなのか分からなくなる。まともでな
い評論家が多すぎる。

日本が核武装するのは反対だ。重軍備するのも反対で、シンセキ米
国陸軍参謀長も、とうとう戦車師団を軽軍備の装甲師団にしていく
と路線変更をしている。しかし、中国の軍備拡張は恐ろしいスピー
ドでやってている。これの対応はする必要がある。ODAを止める
とか。限定的な対応が必要であり、日本が中国と軍備拡張競争をす
る必要はない。しかし、再度言うが、中国を牽制する必要はある。

 異質論も、自分のアイデンティティとしてどう活用するかを考え
るのはいいが、行き過ぎると外国と衝突することになる。これは反
対だ。アジアや欧米と付き合うことが多くなり、日本人自身の歴史
や性格を説明する機会が増えてくる。この時、自分達の真実の歴史
観を持っていないと、たいへんなことになる。事実が現時点で曲げ
られている。この歴史の修復が必要だと思う。

 そして、別の面からも日本は、アジアからの留学生受け入れをす
る必要がある。それは、大学の生存は、アジアからの留学生をどれ
だけ受け入れられるかで決まるからです。今後、日本の若年層は、
減少して、現存の大学の学生数と日本の同年者数が同じになるため
。このような事態になり、全授業を英語で行う会津工科大や明治国
際大学などのような大学が出てきている。

 ベンチャーを技術的に支援する大学も出てくるようだ。その先駆
けが一橋大でしょう。会社も日本人だけを対象としていると、工学
系の学生数が減少しているため、どうしてもアジア・中国からの留
学生を入社させる必要が出てきているのです。この人たちは、日本
語より英語の方が通じるようなので、この面からも英語が徐徐に日
本社会に入ってくると思う。社会の要請でそうなるのです。

 国粋主義者がいくら外国人を追い出せと騒いでも、現実の日本で
会社のニーズが英語と海外留学生を必要とし、かつ日本女性が結婚
しないため、アジアからの女性が日本男性と国際結婚することにな
るようだ。

 このような事態になり、日本は人的な結合でもアジア諸国と関係
が出来てくる。特に、日本への留学生が多いASEANや華僑とは
大きな関係が出来てくるはずだと思う。女性としては、フィリピン
との関係が大きい。ここは英語圏であるので、意思疎通は英語にな
っているようです。

そして、米国もやっと、理解してきたようだ。日本人や韓国人が駐
留米国軍に持っている屈折した感情を。米国も東アジアとの関係を
見直しているようだが、日本もここで日中・日米・日アジア関係を
見直すことが必要なのだろう。すると、どうしてもアジアとの連携
の方が日本にとって、好ましいように感じる。これも、米国NRA
は知っているようだが。
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0/03 16:03 活発化する米軍駐留体制論 無視できない反基地感情

 【ワシントン3日共同】クリントン米政権が維持してきたアジア
・太平洋地域の米軍十万人体制をどうすべきかの議論が米国で活発
化している。来年には新政権が向こう四年間の軍事戦略を定める四
年期防衛見直し(QDR)を発表するが、基地受け入れ先の反基地
感情は無視できない要素だ。                 
 現在の軍駐留体制を見直そうとする背景には、朝鮮半島での南北
和解の流れなど安全保障環境の変化、技術革新による海・空軍力重
視の傾向、さらに沖縄をはじめとする地元の感情がある。今回の国
家情報会議(NIC)の報告もこれを反映したものだ。     

 クリントン政権の安保政策高官は「体制変更はない」(コーエン
国防長官)として、朝鮮半島統一の場合の在韓米軍の構成は「検討
するのも時期尚早」(同)と指摘する。十万人体制が大きく変わる
見通しは小さい。                      
 だが、同政権でアジア軍事戦略を今年春まで練ってきたキャンベ
ル前国防副次官補が、日韓両国に八万四千人が集結している米軍の
一部を、東南アジアやオーストラリアなどに分散させる案を先月発
表した。                          

 また、ブッシュ共和党大統領候補の国防政策ブレーンのアーミテ
ージ元国防次官補も九月末に、南北統一の場合は陸上戦力の大幅削
減が可能だとして、見直しに踏み切ると明言、東アジアの米軍が曲
がり角に立っていることを印象づけた。            
 二人とも沖縄の現状を熟知しており、地元の対基地感情が反映さ
れているとみられる。                    
(了)  001003 1604
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/03 16:03 米東アジア報告の要旨                            

 【ワシントン3日共同】「東アジアと米国―現状と今後五年の展
望」の要旨は次の通り。                   
 【総論】米国と東アジアの主要国の相違は広がり、米政策の遂行
は困難になると予想される。東アジア地域の米経済・技術への依存
、米国の軍事プレゼンスへの一般的な支持にもかかわらず、人権、
民主化など政治問題に関する米国の一方的な行動への抵抗は強く、
不変だろう。                        
 【安全保障】中国は米国のミサイル防衛、日米安保強化、統一後
の朝鮮半島での米軍駐留に抵抗、反対し、米国の東アジア地域での
国益に対抗する形で、ロシアと協力する機会を探る。      

 日本と韓国は、超大国米国との不釣り合いな同盟関係にいら立ち
、民族主義や地域の懸念を反映した形での米軍駐留を求める。中国
、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)問題では恐らく米国と距離を
置くだろう。                        
 東南アジア諸国の主な懸念は米国の撤収にある。また米中両国の
どちらかを選択する事態を懸念し、米中衝突の可能性を危ぐしてい
る。                            
 【経済】米国の自国本位の貿易政策に対する抵抗は広い支持を得
ている。シアトルで開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議の混
乱に満足感を示した者も多い。日本は欧米を排除したアジア経済メ
カニズムで活発に国益を追求するだろう。           

 【事態を悪化させる動き】(1)米国の深刻な景気後退が太平洋
の両岸での貿易問題の対立を深める(2)米軍基地、基地関連問題
での米国の現状維持の立場が日本、韓国で民族主義的反発を生む(
3)米中関係の緊張が米国への支持を弱める(4)米国が掲げる東
アジア政策が失敗した場合に、米国が東アジア各国政府との協力に
関心を失う。                        
(了)  001003 1604 
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10/03 15:49 在日米軍へ強まる反発 東アジア各国の離反も 米機

 【ワシントン3日共同】米中央情報局(CIA)などでつくる米
国家情報会議(NIC)が最近まとめた報告書が、在日、在韓米軍
について「現状維持の米国の姿勢」は日本や韓国で民族主義的な反
発を呼び、米国と両国との関係を「悪化させる」と警告しているこ
とが、三日分かった。                    
 「東アジアと米国―現状と今後五年の展望」と題した報告書は「
米国と東アジア主要国の間の相違は広がり、米国の政策遂行は困難
になる」と危機感を表明。人権、民主化などを重んじ各国の主権を
犠牲にする米国の一方的な介入への抵抗は強まると指摘し、経済面
でも米国の貿易政策に対する反発や、日本が米国を排除してアジア
経済機構構築に動く懸念などを説明した。           
 さらに、こうした事態を「悪化させる」動きとして(1)米経済
の衰退がもたらす貿易での対立(2)在日、在韓米軍問題での米国
の姿勢が民族主義的な反感を生む(3)米中関係の緊張で地域各国
が米中どちらをとるかの選択を迫られ、米国への支持を減らす―な
どを挙げた。                        
 ただ、報告は日韓の支持獲得策として、具体的な基地削減などに
は踏み込んでいない。                    
 NICは米情報機関を束ね情勢分析を行う組織。負担軽減など基
地受け入れ国への配慮を事実上促した報告は、朝鮮半島の和解の動
きなどを受け、米国の一部で浮上している米軍の東アジア駐留体制
の見直しの動きに影響を与えそうだ。             
 報告書は今年二月に開かれたCIA、国防情報局(DIA)、国
家安全保障局(NSA)などの専門家を集めた会議を基に作成され
、九月米政府関係者に配布された。              
(了)  001003 1549  

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