312−1.パレスチナ紛争



シャロンとは誰か分からない報道に怒り心頭 

木村愛二です。

わがホームページの「編集長日記風」に入れたものですが、御一読
下さい。
10.4.(水)極右虐殺者シャロンの人物紹介を欠くパレスチナ内戦報
道に怒り心頭
9月28日にパレスチナ紛争の当面の焦点、いわば傷口に塩をなすり
こむような行為として、エルサレムの神殿の丘にシャロンが現われ
たことに端を発し、死傷者激増、イスラエル軍の戦車がパレスチナ
警察の施設にミサイルを発射する事態となった。事実上の内戦であ
る。
 ところが、手元の『日本経済新聞』『朝日新聞』『しんぶん赤旗
』の切抜きを見る限りでは、そのどこにも、フランスなどが厳しく
批判している挑発者シャロンの人物紹介がない。『しんぶん赤旗』
は比較的に早くから「右派のリクード党」の党首と記していたが、
『朝日新聞』では、やっと10月4日になってから、記者の記事ではな
くて、薄味の中東研究者、現防衛大学校教授の立山良司の寄稿によ
って、「イスラエル右派リクードのシャロン党首らがこれ見よがし
に入った」と報じたのみである。『日本経済新聞』では未だに「野
党」だけである。自宅で取っている唯一の新聞だから、一応、日経
に国際部に電話をして「シャロンの人物紹介」を申し入れ、少し説
明し、御礼は言われたが、見込み薄である。
 以下、とりあえず、拙訳『偽イスラエル政治神話』の中から、挑
発者シャロンに関わる記述の一部を紹介する。パレスチナ人なら知
らぬ者はないヒトラー以上の人物である。

パレスチナにとっては悪魔以上の極右虐殺者シャロン
[前略]長期にわたってアリエル・シャロン[元国防大臣]の指揮
下にあった“一〇一部隊”による“ポグロム”などの場合には、常
に広大な土地が“解放”され、所有者または労働者のアラブ人がい
なくなり、ユダヤ人の占有者に与えられたのである。

[パレスチナ人“ポグロム”の共犯者が入植地拡大]
 一九九三年三月二〇日付けで、アメリカの議会のある委員会に提
出された国務省作成の調査報告には、こうある。
《二〇万人以上のイスラエル人が、現在、ゴラン高原と東エルサレ
ムを含む占領地区に定住しており、占領地区全体の人口の“およそ
”一三%に達している》
 その内の九万人ほどは、ヨルダン川西岸の一五〇の入植地に住ん
でおり、《そこではイスラエル当局が土地の半分近くを自由に処分
している》。
《東エルサレムと同市に接するアラブ人地区の郊外にも》、と国務
省作成の調査報告では、続けて記している。《一二万人近くのイス
ラエル人がほぼ一二の入植地に定住している。ガザ地区では、すで
に人口過密の土地の百分の三〇をヘブライ国家が没収し、一五の入
植地に三千人のイスラエル人が住んでいる。ゴラン高原では、三〇
箇所に一万二千人が分散している》(『ル・モンド』93・4・18)
 イスラエルの世論の牽引者としては最強力の日刊紙、『イディオ
ット・アハロノート』には、つぎのような論調が見られた。
《ここ七〇年来、このように領土建設が加速された時期は、いまだ
かつてなかった。アリエル・シャロン(住宅大臣兼建設大臣)は、
わがイディオットの論調に従って、熱狂的に、新しい入植地を建設
し、既存の入植地を発展させ、さらに新しい地区建設に向けての準
備と道路開設のために、目下奮闘している》(『ル・モンド』91・
4・18からの再引用)

 アリエル・シャロンに関しては、以下の事実を思い起こしてほし
い。彼は、レバノン侵略の際の総指揮官だった。彼は、サブラとシ
ャティラのパレスチナ人のキャンプに対する“ポグロム”を行った
国粋党の民兵に、武器を供給した。シャロンは、この不当な行為に
目をつむったが、事実が発覚した以後には、いかなイスラエルでさ
えも設置せざるを得なくなった虐殺事件調査の委員会に、共犯者と
して喚問された。

 これらの占領地区の入植地が維持され、それを保護するためのイ
スラエル軍が出兵し、入植者たちが、かつてのアメリカ西部フロン
ティアの冒険者たちのように武装している現状の下では、パレスチ
ナ人が実際の運営に当たる“自治”なるものも、すべて幻想でしか
ない。事実上の占領が続く限り、本物の平和の実現は不可能である。

 入植地への移住の努力の中心には、エルサレム全体の併合を不退
転の決意で確保しようという、すでに自ら告白した誓いの目標がす
わっている。しかし、この併合宣言に対しては、連合国の加盟国(
その中にはアメリカも加わっているのだ!)が、異口同音に非難の
声を挙げているのである。
 占領地区の入植地への移住は、明瞭に国際法、とりわけ、一九四
九年八月一二日に採択されたジュネーヴ憲章を踏みにじる行為であ
る。ジュネーヴ憲章は、その四九条で、つぎのように規定している
のである。
《占領国は、その占領地区に、自国の民間人口の一部の移住を行っ
てはならない》
 ヒトラーでさえも、この国際法に背きはしなかった。彼は、決し
て、フランスの農民を追い出した土地に、ドイツの民間人の“植民
者”を移住させたりはしなかった。
[中略]
 踏みにじられっ放しの国際法は、まさに“反古”同然であるが、
イスラエル・シャハク教授の著書によれば、事態は、それ以上に悪
い。
《なぜならば、これらの入植地は、その性質上、当然のことながら
、略奪、差別、アパルトヘイトの組織と化していくのである》(前
出『イスラエル国家の人種主義』)
 シャハク教授は、イスラエルの神をイスラエル国家に置き換える
偶像崇拝について、つぎのように証言する。
《私は、イスラエルに住むユダヤ人である。私は、自分自身を、法
を守る一市民だと考えている。私は、四〇歳になるまでに、すべて
の兵役期間の勤めを果たした。しかし私は、イスラエル国家に対し
ても、他のいかなる国家に対しても、または、いかなる組織に対し
ても、絶対的な服従は誓わない![中略]》(同前)

木村愛二:Web雑誌『憎まれ愚痴』編集長
E-mail:altmedka@jca.apc.org
URL:http://www.jca.apc.org/~altmedka/
==============================
エルサレム騒乱の、例の親子射殺のビデオは、どうも「ヤラセ」く
さいような気がします。考えるほどに不自然な感じがしてきます。
湾岸戦争時の「原油まみれの水鳥」の類じゃないでしょうか?
yossy
==============================
0/01 14:44 衝突利用し交渉有利に? アラファト議長に思惑    

 【エルサレム1日共同】パレスチナ人とイスラエル治安部隊との
大規模な衝突が続く背景には、聖地エルサレムの帰属が焦点となっ
ている和平交渉を有利に進めようというアラファト・パレスチナ自
治政府議長の思惑が見え隠れしている。            
 衝突の引き金となったのは、イスラエル最大野党、右派リクード
のシャロン党首の聖地訪問。交渉が微妙な時期の訪問強行に、米国
をはじめ国際社会から「挑発行為」との批判が噴出、和平交渉では
パレスチナ側にむしろ追い風となった。            
 イスラエル国内では、アラファト議長が影響力を行使すれば事態
は収拾できるとの見方が強い。混乱が拡大しているのは議長がイス
ラエルへ圧力をかけるため暗黙の承認を与えているから、というわ
けだ。                           

 ヨルダン川西岸では、議長の支持基盤であるパレスチナ解放機構
(PLO)主流派ファタハのメンバーがイスラエル治安部隊への投
石に組織的に参加しているとの指摘もある。          
 こうした動きに対して、イスラエルのバラク首相はアラファト議
長に「衝突を交渉の道具にすることは許されない」とけん制。衝突
拡大の責任は「事態収拾に適切な措置をとらないアラファト議長に
ある」として欧州各国などに外交攻勢を掛けている。      
 イスラエル外務省筋は「今後数日間衝突が続けば、バラク首相は
和平交渉の継続を断念する可能性がある。それはアラファト議長の
利益にもならないはずだ」と警告している。          
(了)  001001 1445   
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/01 06:01 停戦合意後も衝突続く 自治区の死者12人に      

 【エルサレム30日共同】ヨルダン川西岸とガザのパレスチナ自
治区で続くイスラエル治安部隊とパレスチナ人の衝突は九月三十日
夕、イスラエル軍がパレスチナ治安当局と停戦で合意したと発表し
た。しかし同日夜に入っても一部で激しい衝突があり、十月一日以
降、事態収拾に向かうかどうかは不透明だ。          
 パレスチナ放送によると、自治政府は九月三十日だけでパレスチ
ナ人十二人が死亡、五百人以上が負傷したと伝えた。死者は十五人
との情報もある。双方が主権を争うエルサレム旧市街の聖地「神殿
の丘」を発端とした衝突は、千二百人の死傷者を出した一九九六年
以来の規模に拡大した。                   
 衝突の拡大について、イスラエル側は「パレスチナ人の行動は自
然発生的ではなく組織的に行われている」と非難。パレスチナ側は
「イスラエルが過剰な武力行使をしている」と反論している。  

 イスラエルのバラク首相は同日、アラファト自治政府議長と電話
で会談。首相府によると、バラク首相は「衝突を和平交渉の道具に
することは許されない」と述べ、事態の沈静化を早急に図るよう強
く要求した。                        
(了)  001001 0601
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/01 01:08 新たなインティファーダ                          

 【エルサレム30日共同】パレスチナ自治区ガザからの報道によ
ると、イスラム原理主義組織ハマスの精神的指導者、アハメド・ヤ
シン師は三十日、イスラエル治安部隊とパレスチナ人の衝突につい
て「これは新たなインティファーダ(反イスラエル闘争)だ。パレ
スチナを解放し、イスラエルからエルサレムを取り戻すまで続ける
べきだ」と述べた。                     
 ヤシン師はイスラエルとの和平に反対し、イスラエル軍の占領に
抗議するパレスチナ住民が一九八七年十二月に投石などによるほう
起を開始したインティファーダの再開を呼び掛けた。      
(了)  001001 0109
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
09/30 19:21 衝突で150人以上負傷                          

 【エルサレム30日共同】エルサレム旧市街の聖地「神殿の丘」
から拡大したイスラエル治安部隊とパレスチナ人との衝突は三十日
、ゼネストが行われたヨルダン川西岸とガザのパレスチナ自治区で
再び発生した。ガザと西岸と合わせて百五十人以上が負傷した。 
 「神殿の丘」に端を発した衝突は三日目に入った。この日は、「
神殿の丘」を中心とする東エルサレムは平穏を保っている。   
 イスラエル放送によると、ガザのユダヤ人入植地近くで、パレス
チナ人がイスラエル軍兵士に向かって火炎瓶やタイヤなどを投げ、
兵士がゴム弾で応戦。多数のパレスチナ人が負傷している。   
 ヨルダン川西岸ヘブロン、ラマラ、ナブルスの近郊でも数人が負
傷した。                          
(了)  000930 1921 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/02 14:13 本格戦闘に緊張続く パレスチナ衝突5日目        

 【エルサレム2日共同】パレスチナ自治区などで起きたイスラエ
ル治安部隊とパレスチナ人との衝突は二日、五日目を迎え、本格的
な戦闘の拡大も懸念されるなど緊張が続いている。       
 双方が効果的な収拾策をとらなければ、事態がさらに悪化し、中
東和平の枠組みが崩壊する危険性もあり、米国を中心にした積極的
な調停活動への期待も高まっている。             
 米国は一日、双方の治安担当者による三者会議の開催を表明した
が、時期などは明らかでない。オルブライト国務長官が急きょ中東
を訪問するとの情報もある。                 
 イスラエル側は、九月三十日と一日にアラファト議長らパレスチ
ナ自治政府側が停戦を言明しながら、銃撃戦が継続していることに
不信感を募らせ「戦闘が続けばさらなる対抗措置をとる」と警告し
た。                            
 仮にすぐ停戦が実現しても、多数の死傷者を出す流血の事態で冷
却した両者の関係修復には時間がかかるとみられ、合意が期待され
ていた和平交渉が当面中断することは避けられない情勢だ。   
 イスラエル治安当局は、ヨルダン川西岸の自治区に至る幹線道路
でイスラエル人の通行を禁止。ユダヤ教の新年の休日明けとなる二
日には、企業などの活動も再開するが、幹線道路の封鎖で混乱も生
じそうだ。                         
 また、パレスチナ側は衝突での死者を悼むため、自治区全土での
ゼネストを二日も呼び掛けており、葬儀などをきっかけに衝突が再
燃する可能性も指摘されている。               
(了)  001002 1413
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/02 08:51 アラファト議長が停戦命令 事態収拾のめど立たず  

 【エルサレム2日共同】イスラエル放送によると、本格的な戦闘
に発展したイスラエル軍とパレスチナ人の衝突で、イスラエルのベ
ンアミ外相代行は一日夜、パレスチナ自治政府のアラファト議長が
同日午後八時を期して停戦を命じたことを明らかにした。アラファ
ト議長と電話で会談したスペインのアスナール首相が、同国外相を
通じベンアミ外相代行に伝えた。               
 しかし、午後八時以降もパレスチナ自治区のヨルダン川西岸やガ
ザの一部ではパレスチナ警察とイスラエル治安部隊との銃撃戦が継
続、事態収拾のめどは立っていない。             
 自治政府の発表によると、一日だけでパレスチナ人計十二人が死
亡。初日からの通算では計三十人が死亡、負傷者は千人以上に上っ
た。イスラエル側も一日、一人が死亡した。          
 イスラエル放送によると、自治政府当局者は治安部隊の西岸、ガ
ザからの撤退と、エルサレム旧市街の聖地で九月二十八、二十九日
に起きた流血事件の真相を究明する国際的な調査機関設置が停戦の
条件と言明。                        
 これに対しイスラエル政府筋は「パレスチナ側が早急に戦闘を停
止しなければ、さらに対抗措置をとる」と警告、条件には応じない
姿勢を鮮明にした。                     
 一方、西岸ナブルスでの銃撃戦で、ユダヤ教学院の施設に残って
いたイスラエルの国境警備隊員一人が死亡した。学院の周りはパレ
スチナ人数百人が取り囲み、イスラエル軍司令官は、負傷していた
この隊員を救出させない場合、戦車を派遣すると警告していた。 
(了)  001002 0852
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/02 08:05 アラブ連盟が非難声明                            

 【カイロ1日共同】アラブ連盟は一日、パレスチナ情勢をめぐる
緊急理事会をカイロで開き、イスラエル治安部隊とパレスチナ人住
民の衝突事件について、イスラエルを非難する声明を発表した。 
 声明は、事件の発端となったイスラエルの右派政党リクードのシ
ャロン党首によるエルサレム旧市街の聖地訪問を「政府承認を得た
挑発行為」と非難。「イスラエルによる(パレスチナ人)虐殺は、
中東和平プロセスの阻害を目的としている」と指摘し、イスラエル
側責任者を国際法廷で裁くよう求めた。            
 今回の理事会は、九月三十日に急きょカイロを訪問したパレスチ
ナ自治政府のアラファト議長の要請により開催が決まった。   
(了)  001002 0805              
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/02 00:38 和平交渉は厳しい事態に 警察施設へ異例の攻撃で  

 【エルサレム1日共同=島崎淳】ヨルダン川西岸とガザのパレス
チナ自治区で、イスラエル軍が対戦車ミサイルなどを使用、パレス
チナ人とイスラエル治安当局との衝突が一部で本格的戦闘に発展し
たことで、これまで継続してきた中東和平交渉は、極めて厳しい事
態に直面した。                       
 ミサイル攻撃を受けたのは、ガザの入り口に当たるラファ検問所
のパレスチナ警察施設。イスラエル当局がパレスチナ警察の設備そ
のものにミサイル攻撃をするのは極めて異例で、軍の一部がパレス
チナ側の激しい攻撃に対して「暴走」した可能性もある。    
 一九九六年に東エルサレムにある聖地でのトンネル施設工事をめ
ぐって、イスラエル軍とパレスチナ警察が銃撃戦を展開して以来の
激しい戦闘。                        
 オルブライト米国務長官は中東情勢の突然の緊張を受けて、急き
ょ中東訪問を検討し始めたとの情報もある。          
 中東和平交渉はこれまで、聖地エルサレムの帰属問題がイスラエ
ルとパレスチナ側の最大の焦点とされていたが、九月二十八日に「
神殿の丘」へイスラエル右派リクードの党首が「挑発的な訪問」(
アラブ消息筋)をしたことが引き金となった今回の事態で、一連の
和平交渉は決裂の恐れがでてきた。              
(了)  001002 0038 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/03 17:41 シャロン党首、窮地に 衝突誘因の聖地訪問で      

 【エルサレム3日共同】イスラエル治安部隊とパレスチナ人との
大規模衝突の引き金となったエルサレム旧市街の聖地「神殿の丘」
訪問を強行したイスラエルの野党、リクードのシャロン党首が窮地
に陥っている。                       
 オルブライト米国務長官やフランスのシラク大統領が「訪問」を
厳しく批判。衝突がここまで拡大した責任を国際社会から問われて
いる。                           
 訪問は、和平交渉の焦点となっている聖地の主権がイスラエルに
属することを示す目的のほかに、リクード党内での政治的なアピー
ルが狙いだった。しかし、国際的批判により党首のイメージは傷つ
き、指導力は大きく失われたとの見方が強い。         
 党首は二日、イスラエル・テレビでオルブライト長官に、聖地訪
問の事情を説明する手紙を送ったことを明らかにし「悪者イメージ
」の払しょくに躍起だ。                   
 党首の聖地への訪問強行は、収賄疑惑のネタニヤフ前首相が不起
訴となった翌日。バラク首相の支持率をも上回っているネタニヤフ
前首相の復権を望む声が強まる中で、これを打ち崩すため、タカ派
で知られる党首が仕掛けた策との党内観測だ。消息筋は「シャロン
が次の首相公選でリクード候補となる芽はなくなった」と言明した
。                             
(了)  001003 1742 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/03 15:57 強硬姿勢で流血の連鎖 自治区の衝突、制御不能    

 聖地エルサレムからパレスチナ自治区全土に広がったイスラエル
治安部隊とパレスチナ人との衝突。イスラエルは対戦車ミサイルを
発射、パレスチナ側は入植地を襲撃するなど「流血の連鎖」は制御
不能段階に達した。停戦を求める国際社会の声がむなしく響き、和
平交渉はひん死状態に陥った。                
 十代の少年たちが投石、イスラエル兵がゴム弾で応戦する。十年
前に占領地ガザなどで広がった反イスラエル闘争(インティファー
ダ)をほうふつさせる光景は、衝突発生から四日目の九月一日、自
治区ガザを発端に一変した。                 
 「これではまるで戦争だ」―。パレスチナ警察の現地責任者は叫
んだ。投石の若者群に武器を持ったパレスチナ警官が加わり、イス
ラエル軍は武装ヘリやミサイルを使い、本格戦闘に発展したからだ
。                             
 パレスチナ側は、衝突の発端となったイスラエル野党リクードの
シャロン党首によるイスラム教の聖地「神殿の丘」への訪問強行を
挑発と激しく非難。「イスラエル軍は過剰な武器でパレスチナの若
者を殺している」と糾弾すれば、イスラエルのバラク首相は「死者
が出ているのは、意図的に警官らを抑えない自治政府の責任」と応
酬。双方とも一歩も引かず、流血が新たな流血を呼ぶ悪循環が続い
ている。                          
 バラク首相は一日夜の緊急会議で「どちらが強く、戦闘継続能力
があるかは明らか」と、イスラエル軍の実力を誇示。アラファト議
長は「われわれは戦争を含めどんな状況にも対応できるよう準備し
ている」と最悪のシナリオに言及した。            
 双方が強硬姿勢を崩さない背景には、両首脳が抱える個別の内輪
の事情も深い影を落としている。               
 今回の衝突が「イスラム教徒の聖地エルサレムをユダヤ人から守
れ」というアラブ人共通の宗教感情の琴線に訴えるスローガンで始
まっただけに、議長は引くに引けない。一部の衝突について、既に
議長自身のコントロールが利かなくなっているとの指摘もある。 
 イスラエル・テレビは二日、イスラエル情報機関筋の話として、
アラファト議長が混乱に乗じ一気に「国家独立宣言」に突き進む可
能性を伝えた。                       
 一方のバラク氏は「ミスター治安」で首相に当選。イスラエル消
息筋は「バラク首相は元軍参謀総長として数々の戦歴を誇るだけに
戦闘で敗北できない」と述べている。(エルサレム共同=島崎淳
)                             
(了)  001003 1557 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/03 13:17 イスラエル非難めぐり応酬 国連が緊急安保理 パレ

 【ニューヨーク2日共同=伊藤英一】国連安全保障理事会は二日
、エルサレム旧市街の聖地をめぐり発生したパレスチナ住民とイス
ラエル治安部隊の衝突拡大を受けて緊急会合を開催、事件について
の安保理の見解を示す議長声明案で激しいやりとりが続いた。しか
し結論は出ず、三日の再開を決めて終了した。         
 声明案にはイスラエル軍が武装ヘリコプターを動員して対戦車ミ
サイルで攻撃したことを念頭に、名指しは避けながらもイスラエル
を事実上非難する「過度の武力行使を非難する」との表現があるこ
とから紛糾。国連外交筋によると、これを支持するアラブ陣営と削
除を求める米国が鋭く対立、協議は難航した。         

 事件をめぐっては、オルブライト米国務長官とバラク・イスラエ
ル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長が四日にパリで三者
会談を行うことで合意しており、衝突の激化とそれに伴う中東和平
プロセスの崩壊を食い止める国際社会の動きが加速している。  
 パレスチナとイスラエルの対立が先鋭化しているヨルダン川西岸
やガザのパレスチナ自治区では、二日夜も戦闘や衝突が発生。九月
二十八日からの死者は約五十人、負傷者は千人を超えた。    
 パレスチナの国連代表は二日、「多くのパレスチナ市民を虐殺し
、負傷させている」とイスラエルを激しく非難するコメントを発表
し、緊急安保理の招集を要求。安保理理事国でアラブ陣営のチュニ
ジアなども呼応し、米国などが開催に応じた。         
(了)  001003 1318
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/04 16:48 反イスラエル感情が高揚 自治政府、歓迎と懸念交錯

 「事態はわれわれに有利に進んでいる。アラブ各国で衝突事件へ
の抗議行動が起きており、反イスラエル感情は高まるばかりだ」。
イスラエル治安部隊とパレスチナ人の衝突が続く中、パレスチナ解
放機構(PLO)の政治局幹部は、事件の効果を誇示した。   
 衝突が始まって六日。沈静化の兆しはなく「イスラエル・パレス
チナの停戦合意」が伝えられた数時間後、ヨルダン川西岸やガザの
各自治区で衝突が再燃。イスラエル側は三日夜までにガザに武装ヘ
リコプターを投入した。                   
 死傷者は増加の一途をたどり、治安部隊の銃撃で少年が射殺され
る瞬間の映像が流れて、世界中に衝撃を与えるなど「パレスチナの
悲劇」が再び注目を集めている。「パレスチナ人の結束はかつてな
いほど強く、アラファト自治政府議長への支持も高まっている」(
同政治局幹部)。                      
 イスラエルは「アラファト議長はデモを意図的に放置している」
と非難するが、これを裏付ける証拠はない。衝突がイスラエルによ
る「住民虐殺」の印象を残す結果になれば、議長は今後の和平交渉
でカードを一枚増やすことになる。              
 しかし、自治政府内で「闘争過熱」への懸念も広まっているのも
確かだ。自治区でデモに参加した住民からは「運命は自分の手で切
り開くしかないことに気づいた」「対話ではなく血を流す時代だ」
など、武力闘争への回帰をうかがわせる発言が相次いでいる。  
 衝突初日には早くも「対イスラエル聖戦」を訴えるスローガンが
掲げられた。和平交渉に反対する勢力が支持を広げる可能性があり
、一九九三年にイスラエルとの和解に踏み切り、憲法に相当する「
パレスチナ民族憲章」からイスラエル敵視条項を削除した自治政府
としては対応に苦慮しよう。                 
 二十年近い闘争でイスラエルをレバノン南部から撤退させたイス
ラム教シーア派武装組織ヒズボラは「『殉教者』がイスラエルに対
する要求を実現する」とパレスチナ住民に呼び掛けている。政治局
幹部は「衝突を制御できなくなる時が怖い。イスラエルが本気にな
れば自治区など数時間で再占領されてしまう」と語る。そうなれば
復活しつつあるパレスチナ人の支持と和平の夢を、議長は一挙に失
うことになりかねない。(エルサレム共同=半沢隆実)     
(了)  001004 1649
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/04 10:52 イスラエル軍が戦車で攻撃 死傷者は1200人以上

 【エルサレム4日共同】イスラエル放送によると、イスラエル治
安部隊とパレスチナ住民の衝突が続く自治区ガザで三日夜、激しい
銃撃戦があり、イスラエル軍は衝突発生以来初めて戦車を投入して
攻撃した。またヨルダン川西岸のヘブロンなどでも銃撃戦があった
。                             
 同日は、現場レベルの治安当局者がいったんは合意した停戦が事
実上破られる形で戦闘が継続。発生から六日が経過した両者の衝突
は、相互不信の増幅から当事者だけでは収拾不能な状態に陥ってい
る。                            
 ガザでは三日夜、イスラエル軍兵士の乗ったバスがビルの陰から
突然銃撃を受け、兵士二人が負傷。同軍は戦車でこのビルなどを攻
撃した。                          

 パレスチナ自治政府などによると、同日だけでガザと西岸でパレ
スチナ人計九人が死亡し、百人以上が負傷。九月二十八日からの合
計では死者六十人、負傷者千二百人以上に上り、死傷者千二百人以
上を出した一九九六年の衝突にほぼ並んだ。          
 一方、四日にはパリでオルブライト米国務長官が、バラク・イス
ラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長とそれぞれ会談
する予定で、調停への期待も高まっている。自治政府のシャース国
際協力相は三日、アラファト議長とバラク首相の会談はないと発言
したが、イスラエル首相府は両者の直接会談の予定を確認した。 
(了)  001004 1052 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/03 19:03 アラブ系の「暴動」に衝撃 イスラエル社会の亀裂露

 【エルサレム3日共同】パレスチナ自治区などで続くイスラエル
治安部隊とパレスチナ人の衝突に、イスラエル国内のアラブ系住民
が呼応して「暴動」を起こし、イスラエル警察と衝突したことに、
イスラエル社会は大きな衝撃を受けている。          
 イスラエルの人口の約二割を占めるアラブ系住民は市民権を持つ
が、教育や雇用、住宅などでのユダヤ人との格差は歴然。うっ積し
た不満が一気に噴出した今回の衝突で、イスラエル社会の亀裂が露
呈した。                          
 アラブ系住民の「暴動」が始まったのは一日。自治区のパレスチ
ナ人との連帯を示すため、ゼネストを行ったことがきっかけ。二日
にはナザレなどでイスラエル警察に対しアラブ系住民が投石を繰り
返し、同日だけで四人が死亡した。              
 イスラエル国内ではこうした動きを深刻に受け止めており、バラ
ク内閣は二日「アラブ系住民はイスラエル社会への統合と(ユダヤ
人との)平和共存を望んでいると信じる。一部の過激派の扇動は遺
憾だ」との声明を発表。バラク首相が三日、アラブ系住民指導者と
会談、火種の沈静化に躍起だ。                
(了)  001003 1903
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/05 19:11 騒乱の経済損失は68億円 イスラエル            

 【エルサレム5日共同】五日付のイスラエル紙イディオト・アハ
ロノトによると、同国治安部隊とパレスチナ人住民の衝突事件によ
る経済損失は、推定で二億五千万シェケル(約六十八億円)に上る
ことがイスラエル商工会議所の調査で分かった。        
 同会議所によると、ヨルダン川西岸やガザのパレスチナ自治区を
除くイスラエル全土で住宅など約二百五十戸が損壊、車両約千台が
被害を受けた。パレスチナ住民のストライキによる生産停止などの
損失分は約四千万シェケル(約十一億円)。          
 観光客の予約キャンセルも相次いでおり、同会議所は政府へ補償
を求めている。                       
(了)  001005 1912
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/05 18:52 イスラエル戦車が撤退開始 ガザなどは平穏        

 【エルサレム5日共同】イスラエル放送によると、イスラエル軍
は五日午前(日本時間同日夕)、ヨルダン川西岸のラマラやナブル
スなどに配備していた戦車など軍用車両の撤退を開始した。   
 バラク・イスラエル首相とアラファト・パレスチナ自治政府議長
が衝突停止で暫定合意した後、初めての前向きの具体的な動き。 
 西岸やガザのパレスチナ自治区では同日午前、新たな衝突は伝え
られておらず、平穏を保っている。              
 同放送によると、パリでの暫定合意を受けて、双方の司令官が再
び停戦終結で合意。現場レベルの協議も行われた。       
 アラファト議長が合意署名を拒んだことから、バラク首相は同日
のエジプト・シャルムエルシェイクでの交渉を拒否して帰国。だが
、首相に同行したシャハク観光相は、停戦が守られれば首相が再交
渉に臨む可能性を示唆している。一方、イスラエル高官は「今晩と
あすの状況が判断材料になる」と述べた。           
 連日の衝突では午後から夕方にかけて銃撃戦が激化するパターン
が続いており、実際に終息に向かうかどうか注目される。バラク首
相は同日夕、緊急閣議を開催する予定。            
(了)  001005 1853
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/05 10:07 少年たちに降り注ぐ銃弾 停戦前に激戦続くガザ    

 逃げ惑う群衆に銃弾が降り注ぎ、次々と倒れる少年たち。ごう音
とともにさく裂するミサイル―。パリで停戦交渉が続くさなかの四
日午後、パレスチナ自治区ガザのネツァリムは、イスラエル軍と武
装住民らが激しく交戦、戦争状態に陥っていた。        
 ネツァリムでは九月三十日に十二歳の少年がイスラエル軍の発砲
で死亡して以来、連日衝突が発生。四日も、昼すぎまでに十代の少
年ら数百人がイスラエル軍陣地前に集結した。         
 「アラー・アクバル(神は偉大なり)」の大合唱とともに始まっ
た投石は、間もなく火炎瓶の投げ込みにエスカレート。同時に同軍
陣地内からライフルの連射音が響く。少年らは降り注ぐ銃弾を避け
、陣地横の工場跡地などに逃げ込んだが、遅れた一人が倒れた。 
 激しい交戦の中、数十人が突然、脱出を始めた。パニック状態で
「逃げろ」「ヘリコプターが来る」と叫び声。数分後「シュー」と
空気を切るような音が聞こえた瞬間、爆発音とともに工場跡地の壁
が吹き飛んだ。                       
 約二キロ東の上空にイスラエルの武装ヘリ二機が浮かび次々とミ
サイルを撃ち込む。「投石にミサイル。これがイスラエルのやり方
だ」。少年の一人が息を切らせながらヘリを指さした。     
 自治政府によるとこの日の戦闘で三人が死亡、約二十人が重軽傷
を負った。現場近くに住む英語教師のサラ・ワハディさん(33)
は「貧しい自治区に住む若者は希望のない将来より、敵と戦っての
『名誉ある死』を望んでいる。停戦や和平交渉がどうなろうと、ま
たデモに参加するだろう」と言い切った。(パレスチナ自治区ガザ
共同=半沢隆実)                      
(了)  001005 1008
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/05 00:21 米国務長官が両首脳と会談 3者会談の調整難航 パ

 【パリ4日共同】パレスチナ自治区で続くイスラエル治安部隊と
パレスチナ人の衝突を沈静化させ、危機に陥った和平交渉の再開を
目指すオルブライト米国務長官とシラク・フランス大統領は四日、
バラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長と
それぞれ個別会談を重ね、本格的な調停工作を進めた。     
 オルブライト長官と両当事者が同席する三者会談は、予定した午
後三時(日本時間午後十時)を過ぎても開催のめどは立っていない
。長官らは二回目の個別会談を行い、交渉の糸口を粘り強く探って
いる。                           
 三者会談が実現すれば、九月二十八日からの一週間で死者約六十
人、負傷者約千二百人を出し、一九九六年の騒乱後最悪となった衝
突が始まって以来、初の直接会談となり、衝突停止のための具体策
が協議される。                       
 イスラエルの右派野党、リクードのシャロン党首によるエルサレ
ムの聖地への訪問強行が衝突を招いたと主張するアラファト議長は
、個別会談で「衝突の原因究明を行う国際調査委員会の設立」など
を求めた。                         
 これに対しバラク首相は「議長が民兵と警官隊に対して、暴力の
停止を明確に命令すべきだ」と強く非難。しかしイスラエル放送に
よると、「議長の要求とは異なった形の米主導による、パレスチナ
とイスラエルの独自調査なら受け入れる」と衝突の原因究明で譲歩
も示した。                         
 米外交筋は「三者会談は間違いなく行われる」と強調したが、パ
リ会談とは別にエジプトのムバラク大統領も五日、同国に両首脳を
招き会談することが決まっているため、パレスチナ筋からは「直接
会談はエジプトに持ち越してもよい」との観測も出てきた。   
(了)  001005 0022 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/06 15:27 金曜礼拝を厳重警戒 緊張続くイスラエル          

 【エルサレム6日共同】パレスチナ住民と治安部隊の衝突事件で
、イスラエル治安当局は六日、イスラム教の金曜礼拝で「騒乱を計
画する動きを察知した」(エルサレム警察幹部)として、各地で厳
戒態勢に入った。                      
 当局が特に警戒しているのは、東エルサレム旧市街の聖地「神殿
の丘」。聖地はイスラエルとパレスチナ自治政府が主権をめぐって
争っており、九月二十八日にパレスチナ人とイスラエル治安部隊が
最初の衝突を起こした場所。                 
 翌二十九日には、聖地内のアルアクサ・モスクで金曜礼拝を終え
たイスラム教徒のパレスチナ住民と治安部隊が再衝突、騒乱が全土
に拡大するきっかけとなった。                

 パレスチナ自治区のイスラム原理主義組織ハマスは既に、六日を
イスラエルに対する「怒りの日」と宣言、対イスラエル闘争強化を
呼び掛けている。                      
 米国などによる仲介工作の不調で、事態収拾の行方は不透明にな
っており、六日の金曜日に聖地で混乱が起きれば、大規模騒乱が再
燃する懸念が強い。バラク首相は五日午後、イスラエル警察幹部か
ら直接、金曜礼拝の警備状況について報告を受け、対応策を協議し
た。                            
 イスラエル軍は六日、ヨルダン川西岸とガザを封鎖。衝突の中心
になっている若者の神殿の丘への立ち入りも規制される。    
(了)  001006 1527
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/06 11:53 イスラエル非難決議を協議                        

 【ニューヨーク5日共同】国連安全保障理事会は五日、パレスチ
ナ住民とイスラエル治安部隊の衝突事件で非公式会合を開催、イス
ラエルを名指しで非難するマレーシア提案の決議案を協議した。 
 決議案はイスラエル軍が武装ヘリコプターなどを動員、子供を含
む多数の死傷者が出たことに対し「イスラエル治安部隊による暴力
行為と過度の武力行使を非難する」と明記している。国連外交筋に
よると、表決は六日以降になる見通し。            
(了)  001006 1154
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10/06 01:12 暫定合意後も再び銃撃戦 バラク首相、再会談は欠席

 【パリ5日共同=信夫聡】パレスチナ自治区で起きているイスラ
エル治安部隊とパレスチナ人の衝突の停止を目指し、オルブライト
米国務長官とバラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自
治政府議長が四日、パリで三者会談を行い、イスラエル軍撤退など
衝突終結措置の実施で暫定合意した。             
 アラファト議長とオルブライト長官は五日、最終合意に向け、ム
バラク・エジプト大統領の仲介でエジプトの保養地シャルムエルシ
ェイクで再会談。バラク首相は、暫定合意署名をめぐる反発から欠
席した。                          
 再会談の終了直後、自治区ガザで銃撃戦が再燃し、パレスチナ人
二人が死亡。さらに米国がアラブ側の抗議行動を懸念し、中東地域
の米大使館の数日閉鎖を発表。衝突終結への努力は事実上の失敗に
終わった。                         

 アラファト議長は五日、エジプトから戻ったガザで「虐殺がやむ
まで(イスラエルと)交渉しない。あらゆる手段でイスラエルによ
るパレスチナ人の虐殺を止めなければならない」と述べた。   
 バラク首相も同日、「現時点でわれわれに和平のパートナーがい
るのかどうか、私は自信が持てない」と述べ、パレスチナ人への強
い不信感を表明した。                    
 パリ会談での最大の焦点は、パレスチナ側が強く求めた衝突原因
究明の国際調査委員会の設置。イスラエル側は拒否し、三者治安委
員会の設置で決着したとみられるが、包括的合意には至らなかった
。                             
 パリ会談では、三者治安委員会の設置のほか(1)イスラエル軍
の衝突発生前の配置までの撤退(2)衝突の激しいヨルダン川西岸
のラマラ、ガザ地区ネツァリムなどでパレスチナ人デモなどの禁止
(3)米国の中央情報局(CIA)とイスラエル、パレスチナの三
者による状況評価―の三点で暫定合意。これを受け、イスラエル軍
は五日午前、戦車などの撤退を開始していた。         
(了)  001006 0113 

コラム目次に戻る
トップページに戻る