307−2.米国軍事戦略の転換



米国の軍事戦略の転換をする方向なのであろう。
1990年の陸軍76万人、海兵隊19万人、海軍58万人、空軍
57万人が、
1999年では、陸軍47万人、海兵隊17万人、海軍37万人、
空軍36万人になっている。大幅な軍縮が続いているが、日本に駐
留する米国軍全体は、5万人弱の規模でほとんど変化していない。

 しかし、世の中の情勢は変化して、ドイツ駐留米軍は、1991
年24万人が、1999年6万人に減少している。
ドイツは日本と違って、米国軍の経費を持つことをしていないし、
基地の自由性もないため、米国軍は本国やユーゴ対応で分散してい
る。ヨーロッパ全体の駐留米国軍は大幅減少している。ヨーロッパ
は、EUという連合になり、独自軍隊も作る方向で、NATOの
ヨーロッパでの位置付けも、あいまいになるようだ。EUとはフラ
ンス・ドイツ連合であるから、米国排除の気持ちが強い。

これに対応して、米国の軍事戦略も、アジアにシフトすることにな
るが、今後のアジアには中国、インドという2大軍事帝国があり、
米国の言うことを聞かない。

これに比べて、日本は駐留米国軍に年間6000億円の基地使用料
や日本人基地労働者の賃金や、米国軍人用のゴルフ場等を作ってい
るのです。この中には思いやり予算というのもある。(約2000
億円)

このため、米国国内にいるより日本に駐留していた方が経費が安い
ため、日本駐留米軍はリストラさせないでいるのである。それより
、フィリピンから移駐してきた部隊があり、増強になっている。
基地の数も増加しているし、岩国基地のように拡大している所もあ
る。

このため、米国も、日本に対して気を使うようになっているのです
。それが、米の「良き隣人政策」であり、その報告もでているので
見てほしい。
日本しか米国の理解者はいない現状になっている。この理解が日本
人に必要でしょう。しかし、時には日本も、米国に注意するべきで
はないかと思うが。
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09/28 09:49 2正面戦略は将来破たんも 兵力・装備不足と米軍幹

 【ワシントン27日共同】シェルトン米統合参謀本部議長とシン
セキ陸軍参謀総長ら米軍幹部は二十七日、上院軍事委員会で証言し
、米国が冷戦終了後一貫して維持してきた二つの戦争に同時に勝利
するとの基本軍事戦略が、兵力と装備の拡充を急がなければ将来破
たんすると警告した。                    
 同議長らの発言は国防予算の増大を目指す狙いもあるが、湾岸戦
争などのような旧来型の戦争の同時発生を描く戦略を今後も維持す
べきかどうかも含め、米国で論争となりそうだ。        
 一九九三年にクリントン政権が打ち出した同戦略は二正面戦略と
もいわれ、ペルシャ湾と朝鮮半島での戦争の同時発生を想定してい
る。                            

 シェルトン議長らは証言で、九○年代に続いた兵力削減と装備の
老朽化で、二つの戦争を同時に戦うとなれば「戦力の配備に時間が
かかり、戦闘の長期化、死傷者の増加が予想される」と指摘した。
 ただ、議長は(1)欧州、アジアの同盟国への責務(2)超大国
としての国益維持(3)仮想の敵への抑止力―などを理由に、同戦
略を放棄すべきでないと主張した。              
 米国では脅威がテロ、大量破壊兵器の拡散、限定的な地域紛争な
どに変わってきていることを受け、同戦略を維持する根拠が薄まっ
たとして「一・五正面戦略に脱皮すべきだ」(レビン上院議員)と
いった声も出ている。                    
(了)  000928 0949 
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09/25 15:48 新たな脅威アジアから 米戦略も欧州からシフト 

 米国防総省の政策諮問委員会が今春発表した情勢分析「二○二五
年のアジア」は中国の拡張、インドネシアの解体、パキスタンの崩
壊などアジア情勢の変容がもたらす新たな脅威を予測し話題を呼ん
だ。エンダース・ウィンブッシュ同委議長に米のアジア戦略などを
聞いた。(ワシントン共同=杉田弘毅)            
 ―なぜアジアを対象に選んだのか。             
 「米国の戦略上の焦点は安定した欧州からアジアに移った。アジ
アでは激しい変化が巨大なスケールで起きている。中国はダイナミ
ックに動き、朝鮮半島は間もなく統一される。人口増、エネルギー
需要の増大、経済、核戦力も含めた軍事力が変動をもたらした」 

 ―アジアの脅威とは。                   
 「まずパキスタンの国家体制の崩壊だ。これはイスラム原理主義
のテロの拡散や核兵器の流出、麻薬栽培の拡大、インドとの衝突を
呼ぶため直近の脅威と言える。次に中短期的にはインドネシアの解
体。混乱が周辺国への大量難民を生み、湾岸からの石油供給路を絶
つシナリオに、日本はもっと関心を持つべきだ」        
 「長期的な脅威は中国。今後十年、二十年中国の安定を維持する
のは大変なことだ。台湾を武力で統一したり、インドネシアの混乱
に乗じて戦略的な利益を得ようとすれば、米中衝突は間違いない。
だが、注意深い国である中国は軍事、外交、経済を使った知恵のあ
る対外政策をとるだろう」                  

 ―朝鮮半島の統一後の米戦略は。              
 「在韓米軍の完全撤退はあり得る。朝鮮統一を混乱なく進めるに
は中国の支援が必要で、中国は条件として米軍撤退を求めるだろう
。在日米軍に対する撤退要求は日本で強まり、米国内からも予算上
の理由を挙げて撤退圧力が表面化する。アジアでのプレゼンスを維
持したい米国にとって、最善の策は日米安保の強化。大統領選でゴ
ア、ブッシュ両氏いずれが勝ってもこの点に違いはない」    
 ―日本はどうなる。                    
 「戦域ミサイル防衛(TMD)の配備問題、自衛隊の役割、石油
供給路をどう確保するかなど決断を迫られる問題が多い。中国は日
米安保の弱体化を望み揺さぶりをかけてくる。日米安保強化かアジ
アへの接近か、日本は基本指針をめぐって岐路に立つだろう」  
(了)  000925 1549  
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09/29 17:27 遠い反基地感情の軽減 米の「良き隣人政策」5年

 沖縄の駐留米軍への地元の理解を深めてもらおうと米政権が「良
き隣人政策」の強化を打ちだしてから五年が経過した。クリントン
大統領も七月の沖縄サミット出席の際、米兵に「良き隣人であれ」
と命じ、少しでも反発を和らげるよう望みを託した。      
 「米政府がこの政策を掲げたのは沖縄だけ」(米国防総省筋)と
いう取り組みは、果たして効果は上がったのだろうか。     
 「おや変わったな」。米空軍嘉手納基地を抱える嘉手納町の宮城
篤実町長は昨年六月、海兵隊のハリアー機の墜落炎上の際にこう思
った。事故から二時間後、基地側の招きで現場消火作業に立ち会え
たからだ。                         

 同基地は東アジア最大の米軍の空の要衝。事故は町民の最大の懸
念だが、米軍が町民に事故現場に公開することなど、これまでは考
えられなかった。                      
 町長を招く決定は同基地のトップ、スミス第一八航空団司令官が
下した。町長は「地元と協調しないと駄目だという危機感の表れ」
と見る。                          
 海兵隊普天間飛行場の空き地をゲートボール場に開放▽身体障害
者によるスペシャル五輪を基地内で開催▽海兵隊が名護市清掃に協
力―。「在日米軍の積極的な地域社会活動」という米軍資料に挙げ
られた具体例は、圧倒的に沖縄でのものが多い。普天間飛行場があ
る宜野湾市の比嘉盛光市長も「地元とコミュニケーションを図ろう
とする熱意は感じる」と評価する。              

 良き隣人政策は一九九五年の海兵隊員による小学生暴行事件で激
しい反米感情が起きたことを受けて強化された。沖縄駐留体験を持
つペリー国防長官(当時)の後押しも受けた。         
 米軍の「足跡」を減らす目的でつくられた日米特別行動委員会(
SACO)が日米政府の行政面での対応とすれば、良き隣人政策は
官僚を通さず「現地司令官の独断でできるもの」と位置づけられる
。                             
 だが、沖縄の地元は米軍の゛変化″を歓迎しつつも、反基地感情
を和らげたわけではない。                  

 宮城町長は「この政策は、問題が起きた時に政治家が唱えるスロ
ーガンのようなもの」と言い、最終的に基地削減に結びつかなけれ
ば意味を持たないと判断している。              
 米国防総省当局者も沖縄の米軍の変化は「基地が市民生活に与え
る悪影響を減らし、前向きの影響を増やす」狙いだと説明。「兵力
や米軍機能の削減への期待を持つのは誤解だ」と、双方の思惑がす
れちがっていることをはっきりと認めている。(ワシントン共同=
杉田弘毅)                         
(了)  000929 1728 

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