306−2.米国国債の行方について



 以前、久米宏氏のニュースステーションに石原都知事が出演し、
番組の最後に 米国債について言及し、危険であるといっていまし
たので、当コラムに投稿し、解説をお願いしました。
 そのとき、増田俊男氏の名前を紹介され、そのご、「資本の意志
が日本を復活させる」という氏の本を読みました。そのp241(
あいまいです、本は知人に回しました。)に、「2005年ころ、
アメリカに国家存亡の経済危機が訪れる」との主旨の文言がありま
した。
 あまりにも余談ですが、石原氏監修 一橋総合研究所 の「国家
意志のある[円]」(光文社)という本が手元にあります。両本の共
通項は「意志」の文字が使われているので、そこに何か連関がある
のだろうか。
山崎
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(Fのコメント)
 山崎さん、ありがとうございます。山崎さんが読んだ本は、増田
俊男さんの「負けながら勝ってしまう日本」だと思いますが、その
中で、日本から米国に行っている資金が日本に戻ってくる。
この資金が日本に戻るのは、資本の意志と述べている。

 欧州から今年4000億ドルの資金流入があって、米国の景気は
維持できたのですが、来年以降は、日本の資金も枯渇しかつ、日本
の景気が回復すると、金利も上昇するでしょうから、米国に資金が
出るとは考えにくい。それより、日本に戻る資金が出てくる可能性
もあります。

 日本政府は、現在、米国の言う通りの金利や政策を行っている。
ゼロ金利解除も、米国の意志が働き、当初予定より随分遅くなって
解除になった。サマーズ財務長官は、日本に公共事業で来年も金を
ばら撒けと指示している。しかし、日本はそのような状態ではなく
、中立的な予算を組む必要があるのです。日本国家は借金が多く、
これ以上借りると、本当に破産する可能性があるのですから、ムリ
です。景気も、自律的回復局面になってきている。今後も少しリス
トラがあるでしょうから、消費者の購買意欲は、低いままかもしれ
ないが。

 日本政府や日銀は、米国の属国ではないので日本の意志で、金融
政策は決めるべきだし、米国国債を円が安くなった時には、防衛的
に売り、円買い行動に出て米国金融資金家の意志を挫く必要もある
と思う。実際、当時の橋本首相が「米国国債を売却する」と言った
途端に米国国債の価格が下落したのです。

 このように日本から米国に貸し出している資金は、日本の武器に
なる性格を帯びてきているのです。日本の金融政策は、米国の金融
政策に大きく影響を与える状態になっているのです。米国国債の持
ち主が日本政府ですから、この手は、日本政府の意志でできるので
す。これは純粋経済行為であり、戦争状態になることはないですか
ら、イラン資産凍結のような手段を米国政府は取れないはずです。

 サマーズ財務長官が、日本に対し内政干渉とも言える金融政策指
示は、米国の金融は、日本の資金によって運営されていることの裏
返しで、日本に資金が戻るのでないかと心配で過干渉状況になって
いると考えられます。米国景気は今年で終わりでしょう。欧州の資
金は、そんなに豊富ではないため、資金がもうない。これは、ユー
ロ安になったことで分かります。

 ニューヨーク株式も1万円割れは、そう遠くないはずです。
ナスダックは、どこまで落ちるのでしょう。401Kの年金を株式
市場で運営している一般大衆・サマリーマンの年金は、水の泡にな
る可能性が出てきているのです。金融資産による持っている米国国
民の資産は大きく減少するはずです。バブルの崩壊はそこまで迫っ
ているのです。
なお、統計的データは、つぎのコラムにあります。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1209263.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1208163.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1208172.htm

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