305−1.公共工事問題の続き



 DS (BBSより、NO.294に対して)
 >バイパスも、可能であれば、利益が確保できれば、民間< 
>会社はやります。利益がないと思えばやりません。  < 

何回か例示しましたが現在、KLが名古屋〜札幌〜アムステルダム線
をB747-200にて運行しています。 
つまり、東京や大阪でなくても名古屋以下の地方の中核的都市を2
つ組み合わせればジャンボを飛ばすだけの需要があるということで
す。 
この方式を普及させることで、成田空港のバイパス役を果たして貰
うのが最も安上がりな航空政策ではないか、と私は考えているわけ
です。 
最も、KLでは名古屋〜札幌間は営業できませんし、実際KLは提携関
係にあるJDのコードシェアにより、仙台などの都市からの需要も札
幌で合流させていますから、実際にはKLは札幌〜アムステルダム間
のみを運行し、日本国内はJDが一手に引き受ける方が効率的でしょ
う。 
将来的にはそのようになるのが望ましいと思います。それが千歳の
ハブ化ということです。 

しかし、このKL方式には大きなネックがあります。それが高い空港
着陸料です。 
千歳・那覇の着陸料は分かりませんが、成田と関空、それに諸外国
の主要空港の着陸料、を以下に示します。 

<<着陸料+空港援助施設使用料 

成田:95万円 
関空:91万円 
香港:42万円 
ソウル:25万円 
フランクフルト:17万円 
ロンドン:9万円 

B747-400 国際線仕様 395t>> 

つまり、KL方式では高い日本の空港利用料を2回も払わなくてはな
らなくなります。これが大きな負担となっている事は十分に考えら
れます。 
実際、着陸料の引き下げで那覇空港の利用者は増えた、ということ
です。最近になって那覇〜上海〜蘭州線も開設されています。 

そこで、千歳・那覇、及び地方空港の着陸料を出来ればロンドン並
み、最低でもフランクフルト並みと大幅に値下げし、空港利用料負
担が成田や関空を大幅に下回るような環境を作れば、KL方式が広が
っていくと考えられます。 
一方で、成田や関空はいくら着陸料が高くても乗り入れ希望がたく
さんあるのだから値下げの必要はないでしょう。寧ろ値上げさえ考
えられると思います。 
この方が東京に付帯工事・2次工事が多数付属する海上空港を造る
よりも大幅に安上がりでかつ、短時間に実現可能なことは明らかで
す。 

逆に言えば、成田や関空でしか国際線の経営が難しくなるような高
すぎる画一的な着陸料設定に問題がある、ということでもあります。 
また、現在羽田〜関空間のコードシェアにより、羽田〜関空〜海外
というルートが存在します。(目的地はサンフランシスコ(UA)、
ダラス(AA)、フランクフルト(LH)など)が、この方法だと、結
果的に羽田空港から国際線が飛び立つ形になるので一々運輸省の認
可が必要です。 
千歳・那覇を南北のハブに使おうとしても、いらぬ「規制」があっ
てはどうにもなりません。 

私は、以上のような構想を一番始めから主張していたつもりですが
、Fさんが「私の考えに近づいてきた」と思われるなら、それは私
の表現力不足によるものかも知れません。 
人にものを説明するときには知らず知らずのうちに相手も自分と同
じような考え方、理解の仕方をするものだ、と思ってしまうもので
すから・・・・・一応、気を付けてはいるつもりですが。 

ポートランドのハブ機能を見直す、というのは知りませんでした。
確かにソウル便(今年1月)、福岡便(今年10月:予定)が休止し
た今、極東方面へは名古屋、成田へしか飛んでいないことになりま
す。 
もっとも、極東線維外にはあまり乗り入れのない空港でしたから、
ハブ機能の見直し、というより極東線の見直し、ということでしょ
うか。 
しかし、何れにせよ、デトロイト(NW:人口103万)や、アトランタ(
DL:人口約50万、都市域人口は340万)も、さほどの大都会ではなく
、日本で言えば、札幌・福岡クラスです。(若しくはそれ以下) 
結局、デトロイトや、アトランタ、ダラスなどは最終目的地ではな
く乗り継ぎ地点、つまりハブ空港である、ということです。実際NW
は関空〜デトロイト線を、AAは関空〜ダラス線をそれぞれNYまで延
長しています。 
つまり、NYが最終目的地の客にとっては直行便になるし、それ以外
の都市への客はデトロイトやダラスで乗り継ぎ、という形になるわ
けです。 
これは、名古屋〜札幌〜アムステルダム線と似たような形です。 

また、DLやNWソウルのハブ化については、何とも言えないのが実状
ではないでしょうか。 
実際、DLは自社でソウル乗り入れは行っていないのですし、(KE機
材によるコードシェアのみ)NWにしても極東地域でソウルを準ハブ
として使う、ということはだいぶ前から言っていましたが、現実に
は成田経由で乗り入れているに過ぎません。(1路線のみ) 
このような状況で、ソウルのハブ化・・・・・かなり眉唾物です。
どう転ぶか分からないのが実状でしょう。 
最近DLはAF、KE、AM(アエロ・メヒコ)等と「スカイチーム」なる
アライアンスを結成したので、DLによるソウルのハブ化というのは
単にKEとの関係を親密化するということにすぎないのかもしれませ
ん。 
それとも、ソウルの方が着陸料などが安いので今まで成田でやって
たことをソウルで行う、という発想でしょうか?単にそれだけなら
、千歳は着陸料の設定いかんで十分にソウルに対抗できるでしょう
。千歳の方が日本各地への国内線との連絡がスムーズですから。 
いずれにせよ、DLは来年からやっと上海乗り入れを開始し、AAも現
在の極東での乗り入れ先は成田と関空のみで矢張り来年からやっと
香港への乗り入れが始まる段階です。やはり、日中韓の経済力を考
えれば航空市場では日本が主役であり、ソウルや上海は各国の中心
空港に過ぎないと思います。 

米系航空会社の成田での準ハブ機能にしても、近々A-340-500や、
B777-200LRといったアメリカ東部から東南アジアまで無着陸で航行
できる機材が出来ますから、テクニカルランディングを兼ねた米系
航空会社の成田の準ハブ機能は見直されて行くでしょう。 
実際に、UAは成田経由東南アジア行きを成田止まりにし、浮いた発
着枠をホノルル線などに振り向けています。これは東京に関係のな
い利用客が成田から去り混雑を緩和した、ということで、結構なこ
とだと思います。 
同様に、中国へ行くための旅客が日本に立ち寄らなくなっても一向
に差し支えないと思います。上海に行きたい客は直接行けばいいわ
けです。 
上海などとの競争、というのは空港問題と言うよりは寧ろ経済活動
全般の話であって、ハブ空港とは直接関係はないと思われます。 

また、地方分権のことについてですが、地方に「自立」を求めるっ
てどういうことでしょうか? 
地方が一人でやっていく・・・・つまり、東京抜きでもとりあえず
一通り何でも出来る、ということではないでしょうか? 
一々東京に行かなくては外国に行けないようでは「自立」以前の問
題です。 

少し話はずれますが、地方分権とは何か?  地方の自立とは何か? 
と、言うことですが、究極的には「地方」に対する「中央」が無く
なることを意味すると思います。 
今現在の状態は国の財政が厳しいので「権限」は移譲しているが
「財源」は移譲していない。 
結果、「地方」では中央からの補助金に対する依存度が強まり、
結果として中央集権を強化することになっているのではないでしょ
うか? 

また、東京の求心力についても問題があります。 
外資が日本に1ヶ所拠点を置くとしたら、データ的には関西が最も
有利なのだそうです・・・・・が、結局東京になります。 
何故か? 
役所情報をリアルタイムで仕入れなければ話にならないから、なの
だそうです。(まあ、サンケイ新聞に書いてあっただけですが) 
住友グループが経営基盤は関西にありながら本社機能を東京に移し
たのも、結局「御役所情報」のためだとか・・・・ 

つまり、東京は「許認可権」という伝家の宝刀を手に「中央」とな
り、日本の主立った企業の本社を東京に強引に引き寄せ、税収・経
済効果などを独り占めしている「一面が」あるのです。(全てがそ
うだ、と言っているのではありません) 
今まで地方は東京=中央におんぶにだっこでした。その手を離さず
、首根っこを押さえ、胸ぐらをつかんだまま「おい、今日からは自
立しな!」では何ともなりません。 

この現状を改めるには2通りの方法が考えられます。 
1,官庁の許認可権を縮小する 
2,東京を首都でなくす 
です。 
しかし、「1」はまず無理でしょう。もし可能なら既に実現してい
るはずです。 
よって、実質的に「2」しか選択肢はないと言っていいと思います
。 

「大都市:東京」と「首都=中央:東京」を切り離す・・・・ 
つまり、遷都です。 

お金は掛かるでしょうが、極度の一極集中が改善されないことによ
る損失と較べたとき、果たして遷都は無駄使いなのでしょうか? 
個人的には「急がば回れ」・・・・こっちの方が案外安上がりかも
知れません・・・・よく分かりませんが。 

少なくとも、国道に平行な幹線農道を作ったり、神戸空港のような
意味不明のモノを作るよりは意味があると思いますが・・・・ 
==============================
(Fのコメント)
ハブ機能が千歳になるか、上海になるかは、日本が決めることでは
なく、主に米国の航空会社が選択することです。日本成田の着陸料
+空港援助施設使用料が高いといいますが、ニューヨークまでのエ
コノミーの一番安い料金は、往復8万円ぐらい、しかし、正規料金
は16万円程度で、ビジネスクラスだと35万円程度、ファースト
クラスでは70万円で、この上級クラスの乗客がいれば、この高い
料金も気にならないのです。そして、この上級クラスの乗客が多い
のが成田です。このため、枠待ちが出ているのです。

 また、2点間を結び、乗客を確保する方法はいいと思いますが、
ハブを形成できるかどうかは、疑問です。千歳の密度が上がると、
札幌の乗客は分散します。このため、1機当たりの乗客数は減少す
るためで、2点間の組みあわせは、いろいろなパターンができるの
ではないでしょうか。仙台、福岡、名古屋や関西に分散するはずで
しょう。

 日本には、ハブ・アンド・スポークのシステムを取る航空会社が
ない。国際線は、国内線の集中ポイントから米国国内では、飛んで
いることが多いのですから。ダラス、ミネアポリス、シカゴのオヘ
ヤ、アトランタ、ヒューストンが有名ですが、それぞれの航空会社
の国内線のハブです。日本では、国内線のハブとしいて言えるのは
、羽田と関西空港でしょう。羽田は現在、夜間が空いているが、
満杯の状態。

当面の逃げ手として、地方空港を利用する手はいいと思うが、その
ままでいいはずがない。このため、第3空港を首都圏に作る必要が
あるのです。それを、羽田の拡張にすればいいのです。

 もう1つ、地方の発展には、規制緩和をする必要があり、東京に
こないと、申請できない案件を減らす必要があるでしょう。これは
賛成です。もう1つの方法は、米国も実施している電子政府にして
、インターネットですべてが、行える仕組みを早く実現することで
す。

 IT技術の一番有効なのは、政府サービスです。白書もすべて、
インターネット上で無料公開するべきです。国民に無料でサービス
するという考えをもってほしい。政府や議会は国民の税金で運営し
ているのですから。

 政府機関の場所を東京から地方に持っていくのは、現時点の政府
の借金を考えると、あまり良い考えとは思いません。電子政府の方
が、費用が少なくて済むし、全国の国民に恩恵を与えるはずです。

 もう1つ、地方の活性化では地方交付金の問題が大きいと思いま
す。税金が地方に入らないで、ほとんど国家の徴税機関に入り、そ
れから地方に配分させる仕組みです。このため、地方は交付金の配
布を多く受けようと、いろいろな公共事業を行おうとするのです。
交付金相当の税金を直接、地方自治体が徴税できるようにすればい
いのです。

 あとは、外国や国内の企業を誘致することが必要です。
この仕組みは、地方の大学と共同研究などを行うことが必要でしょ
う。または、税金を安くするなどです。

 地方の主要空港は、国際線が可能ですから、直接海外に出ること
も可能です。地方の高校生の修学旅行は、海外が多くなっている。
これは、地方空港から直接、チャーター便で世界各地に飛んでいる
からです。それと県が補助金を出しているためです。

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