301−2.軍事理論式の限界について



No.293-1に関して (BBSより)
柳太郎
   
>この理論の応用範囲は広いので戦略等を検討する時は、応用して
>ほしいのです。 

>たとえば、日本と米国でのGNP比は、2対1ですから米国との
>経済的競争は、まだ充分戦えるのです。しかし、総力戦はせずに
>個別分野毎に勝利する方法で、逆転していく法がいいのです。 

これ、応用になっていないですよね。上記の内容はただ単に「当て
はめ」ただけです。 

この本を読んでいないままに発言するのは恐縮ですが、理由を一言
で言えば、この公式に「依存度」の係数が含まれていないというこ
と。WTOなどの機関の存在も無視されている。さらに、このままの
公式では、戦後西側ヨーロッパと日本の経済復興が説明されない。
さらには、一部の先進国を含むほぼ全ての国々が未来永劫従属世界
に属するといったような考えに結びついてしまう。 

国際関係の理論をしっかりと念頭におけば、こんな矛盾のある説明
はされないはずです。少なくとも、国際経済自体をを1対1の対立と
して捕らえるというような間違いは犯さないはずです。もし一国の
経済と世界経済の説明にこの公式を使うなら、少なくとも「相互依
存度」及び「国際機関による制限の度合い」の二つの係数を新たに
付け加えないと全く成り立たない。(私はそれでもぜんぜん説明が
つかない公式が生まれると思いますが。)結局矛盾を問いただして
いくうちに国際政治経済の理論にたどり着くことになるでしょう。 

企業の戦略構築には応用が利くのでしょうけど 
==============================
(Fのコメント)
 柳太郎さん、さすがですね。柳太郎さんの言う通り、この公式は
軍事学での両軍対峙の時を想定していますから、単純に国際関係に
は利用できませんでした。

 しかし、軍事分野ではいろいろな局面で登場しているのです。
 この基礎公式を応用したのが、マクナバラでベトナム戦争での
キルレシオという概念で戦争を捕らえようとしたのは、この方程式
に影響されたからです。

 つい最近の湾岸戦争でも、軍事シュミレーターの基礎方程式は、
この式ですから、ご紹介したのです。国際経済関係には、もう少し
工夫が必要ですか??

 もし、できたら、国際関係での基礎理論式をご紹介いただけない
ですか??

コラム目次に戻る
トップページに戻る