299−3.日本の農政問題について



NO.292−2食糧戦略について

日本の農業政策はコメ自給を中心に保護、規制、補助金漬けとなっ
ており、そのため返って農業の競争力が弱まり、魅力がなくなりま
した。官僚、政治家、農業者が互いにタカリ組織になっています。

しかし、日本はシンガポールや香港と違って、コメは勿論、農業を
維持し育てなければなりません。食糧自給率をもっと上げなければ
不安ですし、自然・環境もまもらなければなりません。
中国は農産物を輸出もしているが、需給は不安定です。

コメ輸入はしなければなりません。ただし将来、食糧危機の場合は
お互いに協力する協定をしっかり結ぶべきです。消費者にも種類の
違う安いコメのピラフなど料理方法を工夫し、選択の幅を広げ、食
生活を豊かにすべきです。高いコメの消費を続けられなくなるでし
ょう。日本でコメ過剰なら、アメリカのを日本に輸入しないで、外
国への援助米に回してはいかが。

補助金を出して青刈りや減反(2000年は100万ヘクタールを突破する)
は愚策です。コメ価格を下げ、国際競争力をつけ輸出を図るべきです。
日本国内で農業への投資を促進し、魅力・る農業を作りたいものです。

原 清
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国際戦略コラム、拝読しています。日本の農政問題で私どものフォ
ーラムで討論していますので、ここに転載致します。原
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    日本の農業政策は一体どうなっているのでしょうか。

 工業で稼いだ利益を農業に注ぎ込み、しかも消費は高い米を食わ
され、農業は国際競争力がなくなり、日本の食糧自給率は30数パー
セントに下落、日本の食糧安全もありません。原
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「雑感」 8月30日 から-- 農水省がは25日、2000年産米
の作柄がおおむね良好で豊作が見込まれることから、コメ価格の下
落を防ぐ目的で、生育中の主食用水稲を収穫前に刈り取る「青刈り」
を実施する方針を明らかにした。・・減反での青刈りと同額の十ア
ール当たり43,000円を助成する方針だ。」 ー8/26 四国新聞
P1 コメの価格下落を防止するっていうことだけど、日本のコメ
価格って国際価格からみても結構高いのです。いつもそれをいうと
味が違うとか、品質が違うというが、アメリカ産で、国産のものと
比べても味で負けない位のものがあるが国産米の価格は比べものに
ならない位高いのである。  コメは、日本人にとって命綱であり、
そう簡単に国際競争だけで自由化したりできないことはわかる。が、
豊作だと、農家に助成金を出してまで、その高い価格の維持をはか
らなければならないってのは一体なんだろうと、考えてしまうのは
私だけだろうか。
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原さん おはようございます。原さんからのメール対する私の意見
を書かせていただきます。
 稲の青刈りは、誰も良いこととは思っていないでしょうが、ここ
数年間豊作が続き、多大な在庫(300万トンくらいだったと思い
ます)抱えた現状では、やむを得ない措置なのでしょう。なぜこの
ような多大な在庫と抱えることになったかと言えば、アメリカがG
ATTウルグアイ・ラウンドで日本の米市場をこじ開けたからです。
本年は8%のミニマムアクセスで必要も無いのに80万トンを超え
る輸入が義務づけられています。農水省は、UR合意(つまり米の
ミニマムアクセス)を受け入れるにあたり、国内には更なる米の減
反はしないと説明しましたが、これはこのようにしないと政治家や
農業団体(消費者団体もそうです)が納得しないからです。更なる
減反をしないで、96年からミニマムアクセスの輸入(96年は国
内消費の5%)が始まったのですから、普通作が続いても米が余っ
てくるのは当然ですが、豊作が続き在庫が危機的な状況となってい
ます。
 本来なら、食料自給率の低い我が国にとって、300万トンくら
いの米の在庫(3〜4ヶ月分)は必要(本当は1年分位の在庫はあ
って良いと思います)なのですが、日本国民は贅沢で新米しか食べ
たがりませんので、在庫米を売ることが困難なため、農水省(食糧
庁)では一定以上の在庫は抱えたくありません。原さんは、日本の
米が高いと言いますが、今の日本人の所得水準から見れば大した値
段ではありませんし、上述のように一般的な日本国民は、在庫米を
安く売っても見向きもしない状況にあります。今年援助でモンゴル
に入った日本米(在庫米)も大使館員夫人達は、まずくて食べられ
ないと怒っていました。
(私としては、何贅沢を言っている、と思いますが・・・。ちなみ
にモンゴル人はおいしいと言って食べてくれています。日本からの
援助米は評判が良くあっという間に売れてしまい、台湾からの援助
米は売れ残っているそうです)食糧・農業政策は難しいですよね。

 アメリカやカナダ・豪州などの食糧輸出国(広大な土地は元々現
地に住んでいた人から奪い取った国です)は、日本などの国に食料
市場の更なる解放を迫ってきていますが、このような国は国内の食
料生産が過剰であるならば、外に食料を無理矢理売るのではなく、
自国にもっと移民を受け入れるのが筋で はないでしょうか?

 上記食料輸出国が、将来、世界的食料危機が来た際に、自国民と
同様に日本等の食料輸入国にちゃんと食料を供給してくれるか、ま
たは、無制限に飢餓に貧した日本国民を自国に受け入れてくれる(
事実上国境がなくなると言うことでしょうか)と保障してくれるの
であれば、私は日本の農産物市場を全て解放しても良いと思います
が、しかしそんなことは現実にはあり得ないでしょう。 原さんも
ご存じのように、アメリカはかつて大豆が不作だったときに、国内
向け供給を確保するために禁輸措置を採っています。

 石原と知事みたいな人が総理大臣になって、次のWTO交渉で、
食糧輸入国、特にアメリカに次の二者択一を迫る時期に来ているよ
うな気がします。
?日本は農産物市場を全面解放する。但し、世界的な食料危機の際に
日本国民に対し、アメリカ国民と同水準(量的にはアメリカ人ほど
必要ありませんが、つまりひもじくない程度ということです)の食
糧供給を保障する(勿論お金は払います)、また、緊急避難的に日
本人をアメリカ(若しくは食料供給に余力のある他の国)に無制限
に受け入れること。
?上記に合意できないのであるならば、各国の基本的食料については
、各国が自給する権利を保障すること。

 上記選択をせず、このまま、WTO交渉でずるずると徐々に譲歩
しますと日本農業は壊滅状態になると思います。長くなりましたが
、コストもかかりいろいろ批判はありますが、現時点では、日本で
も最も安定的に食料を生産をすることができる装置、すなわち水田
を維持することが、長い目で見れば日本国民の食料安全保障に不可
欠なのではないでしょうか・・・。

 現経済企画庁長官の堺屋太一氏が、20年ほど前に書いた「油断
」では、石油を殆ど輸入に頼っており、石油の輸入がストップすれ
ば食料生産が崩壊するので、食料の自給政策など無意味だとの趣旨
のこと書かれていましたが、これは違います(結構この本の影響を
受けている人が多いですが)。 水田は、畑と違い、長期間無肥料
で米を生産しても現在の80%位の生産が確保でき、また、連作障
害もない素晴らしい装置なのです。水田は、水が養分を運ぶからで
す。 一方、畑の方は、肥料をストップすれば、生産量は徐々に低
下しますし、連作障害もあります。(これは、日本の試験場で、米
と小麦を長期間に無肥料で栽培した研究結果からです)
 今後日本の人口は徐々に減少してきますので、現在の水田面積を
維持し、つまり肉を摂取しない、米中心の食生活に戻せば、食料は
国内でほぼ自給可能です。国民の意識が大きく変わらなければ駄目
ですが・・・。
 堺屋太一氏とは逆に、石油などのエネルギー資源を殆ど外国に依
存しているのですから、せめて食料は国内自給すべきだと思います
。 食料生産は国の基礎ではないでしょうか・・・。H.K.
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H.K.さん、専門家の立場からいいコメント有難うございました。
なるほど、そうかと思う点がありますが、やっぱりおかしい、こん
なやり方ではだめだと思います。知恵を集めてより良い方法を考え
たい。
丹精こめて作ったものを、在庫過剰だからとか、価格維持のため補
償金を出して廃棄させてしまうのは、生産者にモラル・ハザードを
起こす。

アメリカからの圧力で米輸入をし事態が悪化したこともありでしょ
うが、それ以前から日本での農業政策には問題が累積していました
。天然資源が少ない日本は世界の自由貿易構図の中で生きざるを得
ません。GATTや、現在ではWTOを、経済面だけでなく社会的な立場を
も考慮しながら、推進しなければなりません。国内農業保護に徹し
、米を一粒も輸入しないと云う訳にはいかない。

アメリカは農業国ではなかったが、努力して現在最大の農産国とな
った。天然資源に恵まれても、それを活用していない国が多い。食
糧輸入依存度が高い日本はアメリカとの関係をよくし、日本が食糧
危機になっても食糧安全保障をしてもらうよう外交交渉をしてもら
いたい。日本は食料やエネルギーの輸入依存度が以上に高い。途上
国の人口は爆発的に増加し、いずれ食料不足は大問題になるだろう
。中国の穀物需給も不安定である。

日本が米過剰であるなら、アメリカの米をアフリカなどの食料不足
国に回すことができないのでしょうか。

タイの米を日本が買うこともタイ経済に大きく貢献します。日本の
消費者に色んな種類の米を安い価格で提供してもらいたい。日本人
は長年国産米だけに慣らされて、外米の味や料理の仕方が分かりま
せん。
安い米を美味しく食べる工夫をすべきです。外国これからは日本の
消費者は高い米に出費を続けられなくなるでしょう。贅沢を云って
おれなくなってきます。

日本の農民も補助漬けにされることなく、外米との競争、共存を計
り、海外にも日本米を輸出どしどし輸出し、利益のある経営効率的
な農業を育ててほしい。小宮山さんもおっしゃるように、日本がモ
ンゴルに援助している日本が食わない古米をモンゴル人はうまいう
まいと云って食べてくれます。

日本での農業保護を中心とした農業政策は、これまでの慣習が続き
、予算配布が政治的に乱用され、日本農業を根本から改革されるこ
となく、結果として日本を不幸に落とし入れていることに大きな問
題があります。

天然資源がたまたま豊富にある国がそれを独占する今の国民国家
(nationstate)制度は、なんとしても是正すべきです。 はら
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青刈りのことを調べてみたら、米生産過剰対策で青刈り促進策とし
て、農水省は、10アール当たり7万3千円の助成金を出して青刈りす
る農家を募っていたが8月以来実施例がない。
農家は手取り収入が減るなどの反発している。

また農水省は、来年度は、農家への助成金を上積みしてコメ生産調
整(減反)拡大方針を出している。これにも青森県の農家などは反対し
ている。

減反は1976年に21万5千ヘクタールで始まった。1998年は96万3千ヘ
クタールまで広がったが、来年度は100万ヘクタールを超える見込み。

こんな矛盾だらけの農政で日本人の食生活が守れるのでしょうか。

> 詳しくは /www.toonippo.co.jp/news_too/nto2000
 はら                      
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官僚・政治家・業者「利権(タカリ)列島」

 日本では食料自給とか水田保護の名目で様々な農業保護政策が取
られている。こうしたばら撒き政策、ひいては官依存精神は農業に
限らず、日本の隅々までも浸透しており、さながらタカリ汚染列島
と化している。平成11年度の一般会計81兆9千億円のうち、85パーセ
ントが広義の補助金としてもっともらしい理由をつけて各領域にば
ら撒かれている。
 
 農業のみならず、交通機関、エネルギ―産業、教育、通信、放送
、土木・建設、金融、保険、医療、医薬など?らゆる分野が補助金や
助成金漬け行政となり既得?益と化し、tax eater(税を食い尽くす
)となっている。

 政府と官が行政?限をほしいままに振りまわし、立法能力はないが
、?限が?る政治家が官に頼る構造が出来上がってしまった。その構
造から利益を得るため特定の業者が献金をして構造維持を図り癒着
が常態化する。国民や消費者は政府・官依存体質が染み付いて、民
主主義とか公益を理解しない。タカリ精神とばら撒き政策で、日本
は今や650兆円もの借金大国となり、日本の信用格付けも下落してい
るのに、個この国民にはまだ直接感じない。

 公益法人や事業団が数多くつくられ、天下り法人が予算を分捕り
民間企業に丸投げする常態も目に余る。例えば、林野庁は3兆8千億
円もの累積負債をかかえているが、林野弘済会や林業土木コンサル
タンツ、興林コンサルタンツなどに関わる補助金と献金、政治家と
官、天下りの癒着は建著だ(詳細は「中央公論」2000年5月号p192)。

 中央政府から地方交付金もタカリ制度そのもので?り、地方自治か
らは程遠い。自治省出身の知事が、交付金を増やすことに熱意を上げ
ている。
これでは地方独立は永遠に?り得ない。

 今の日本の状況では、莫大な補助金、国際機関への拠出金、海外援
助は続けられないのは明かだ。恐竜が一夜にして絶滅したように、経
済という生き物は正直で、無理が重なるとその体制は一挙に崩壊する
。旧ソ連はそれが崩壊する直前まで、国内では共産党員(ノーメンク
ラツーラ)の特?と労働者への小さな?益ばら撒きで体制を維持しよう
とした。

軍事大国を誇り、海外援助をも続けようとした。こんなソ連の一瞬に
しての崩壊を誰が予想し得たであろうか。そんなソ連の崩壊を他山の
石として看過できのが、今の日本の姿である。

はら http://freepage.gaiax.com/home/hara  参照
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(Fのコメント)
 原さんの言う通りですね。この感覚が重要だと思います。日本農業
がおかしいと思うことです。量が多いのであれば、安くなり供給がな
くなり、需要とバランスするのですから、資本主義の需給バランスが
取れない社会にしてはいけたいはずです。

 その需給バランスの歪を修正するために、1時的に補助金を出すこ
とは必要であるが、その補助金を50年も続けてはいけたいはずです
。このような非常識的対応が今の日本には蔓延っているのですから、
どうしようもない。

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