297−2.「日本」の読み方の相違



 漢字の「日本」の読み方の相違です。つまり、「にっぽん」と
「にほん」の違いについてです。

★悪しからず、手持ちには左翼のこれしかないので岩波書店「広辞
苑」を引用してみると、「にほん」は、わが国の国号。神武天皇建
国の地とする大和(やまと)を国号とし、「やまと」「おほやまと
」といい、古く中国では「倭」と呼んだ。中国と修交した大化の改
新頃、東方すなわち日の本の意から「日本」と書いて「やまと」と
よみ、奈良時代以降、ニホン・ニッポンと音読するようになった。
現在も、よみ方については法的な根拠はない。
「にっぽん」は、古来ニッポン・ニホンと両様によまれる。ニッポ
ンの方が古い。
 
★百科辞典によると、
「にほん」か「にっぽん」かという論議は、日本が近代国家として
世界に登場するようになってからしばしば繰り返されてきたが、今
日でも決着はついていない。1934年(昭和9年)3月、文部省
臨時国語審議会は「にっぽん」を正式の呼称とし、最近では、たと
えば郵便切手や国際スポーツ大会などではNipponと表記しているが
、これが一般的とはいいがたく、また法的にも根拠はない。(審議
会は「にっぽん」と決定したが、政府は法制化しなかった。)
 英語のJapanは、おそらく、マルコ・ポーロの『東方見聞録』にあ
るジパングと聞いたものであるというが、定説があるわけではない。
なお、現憲法では、日本の国号を日本国としている。

★さらに、京都産業大学 日本文化研究所 所長 所功(ところ 
いさお)氏に研究所を通じてメールにて同質問を問い合わせたとこ
ろ、次のような回答を得た。
 
 なお、所氏の上梓された近著には、『名画に見る國史の歩み』『
ようこそ靖国神社へ』がある。高橋紘(ひろし)氏との共著に、文
春新書 第一号 通し番号001番『皇位継承』がある。
 
 では、回答へ移る。

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9月に入っても暑い毎日ですね。メール拝受しました。
早速ながら、お尋ねの件、とり急ぎ簡単に御返事します(私はパソコ
ンができませんので、研究所兼務所員の若松正志助教授に代送しても
らいます)。

漢字「日本」の「日」は、華南の呉音で「ニチ」、華北の漢音で「ジ
ツ」、「本」は呉音も漢音も「ホン」です(もちろん、古代の発音を
復原することは困難ですが)。従って、6世紀ころから仏典呉音の影
響を強く受けていた7世紀代のわが国で、「日の本」を「日本」と表
示した時は、「ニチホン」→「ニッポン」と読ませ、その省略形が
「ニホン」となったと考えられます。一方、中国本土では漢音の「ジ
ッポン」が優勢だったらしく、それが西洋に伝わり、「ジャポン」・
「ジャパン」になったと思われます。

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以上が回答です。

 なお、私は、発音のニュアンスでは、断然「ニッポン」の方が凛
々しくて好きです。 

図越 (づごし)

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