296−2.生卵と責任について



得丸様
NO.284−2に対して、
生卵と責任を拝読しました。得丸様は消費者の側から見られた販売
側の責任について書かれましたが、販売側から見た私の仕事での経
験を書きます。

私は自動車用品のメーカーに勤務していますが、ときおり消費者
からの問い合わせやクレーム対応を手伝います。クレーム処理を
行う最初の段階は電話での応対です。

クレームの多くは「使用方法を間違えたためのトラブル」です。
もちろん製品には使用方法や注意、警告等々を消費者保護法
にのっとって表示してあります。

お客様に「使用方法に書いてありますように云々」と申し上げると
三分の一位のお客様は「そんなの大きく書かなければ判らない」と
怒りだして「私が悪いっていうんですか?」と感情的な言葉をぶつ
けてこられ、落ち着かれるまでに10分位怒鳴られることもしばし
ばです。

ただし、ほとんどの場合、アポイントをいただいて後日にお客様を
訪ねてお話すれば、むしろ恐縮なさってお礼を言われることが多い。

もちろん消費者はメーカーよりも品物について無知であるのは
仕方がないですが、メーカー側も使用間違いのトラブルを避けるべ
く懸命に使用法や警告を考えて表示デザインを工夫しています。

ただ、最近変わってきたのはお客様(消費者)からの電話で注意書
きや警告の内容にについての質問が増えたということです。

理由を考えるに

1)消費不況の世の中で、メーカー側も
  買う側の気持ちに立って販売活動を行われなければ
  販売もおぼつかないので、全体的に消費者に親切になった。

2)上記に関してPL法施行以後、各メーカーも「お客様相談窓口」
  等の問い合わせ先を明記したため、以前より気軽に
  消費者が問い合わせが出来る雰囲気になった。

3)価格破壊等を経験して、消費者も品物の効能や付加価値
  について自ら考えるようになった。つまり消費者も利口になっ
  た。  また売る側の手段や方法も読めるようになってきた。

このような状況が進めば、品物を確認してから使用する消費者が
増えるので先述の「私が悪いっていうんですか?」
と感情的な言葉をぶつけてくるようなお客様も減ってくるかのよう
に思われます。

しかし同時に、クレームを悪用していちゃもんをつけるような人々
ももちろん居ます。これには手こずっています。ただ全体の中での
そのような人々の比率はPL法以前より落ちている感じです。
(クレームや問い合わせの件数全体が増えています。これは前述の
1)2)3)のような理由で権利意識をもって一般消費者で問い合
わせをする人々の比率が上がったからでしょう。)

自己責任とはいいますが、一般個人で弱者となりやすい消費者は、
組織だって弁護士を雇えたりする企業とは対等に戦えるとは言い難
いので、法律で消費者の権利を守ってハンディキャップをつけるの
は当然です。
しかし、同時に消費者も品物についての学習が必要です。

上手に品物に書いてある「お客様相談窓口」の電話などを利用し
良識ある自己責任で上手な消費生活をおくりたいものです。

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