296−1.秋の夜長



編集長 北本 豊

 日本人がちょん髷を結っていた江戸時代から、明治という近代に
、それなりに上手く軟着陸できた理由として、江戸時代の日本社会
の成熟が重要な要因としてあったと私は思っている。

 たとえば各藩には藩校や私塾があり、ともに特色ある教育を積極
的に行っていた。
読み書きそろばんという基礎的な教育は庶民にかなり浸透していた
という。当時、世界史的にみてもこれは誇るべきことだと思う。

 明治に入って東京帝国大学などが設置されるや、全国から俊秀が
集まったのもそれだけ全国的に水準が高かったことの表れだと思う
。逆にいまは東大や有名私大などは都会の子どもたちの入学が目立
つという。それだけ東京一極化が進んでいるということかも知れな
い。

 日本人はおもしろい民族だと思う。京城(ソウル)帝国大学をは
じめ、医科大学、工科大学、師範学校などなど当時の植民地には立
派な学校が多くあった。また植民地からも早稲田や明治、中央、京
都帝大、医学専門学校などなど、日本人でも入学が難しい名門校に
入学している。そして戦後、各国の指導的立場で、それらの卒業生
が活躍していることはよく知られている。

 いまそういった人たちが現役を退こうとしている。いやすでに日
本ではなく、米国のことしか分からないという世代が指導者になり
つつある。

 皇学館大学の松浦光修さんが、戦後の日本は戦前の遺産を食いつ
ぶしてここまできた。このままでは、これからは落ちていくだけで
す。再構築するにはいまがタイムリミットかも知れない、と話して
いた。

 秋の夜長、たまにはこんなことを考えるのもいいかも知れない。

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