294−1.公共事業について



日ごろ感じていることはFさんがすでに書いておられるので、一言
だけ追加します。

日本の場合、「公共事業」という言葉自体がまやかしではないでし
ょうか。
「少しも公共のために頭をつかっていないのにもかかわらず、公共
の金を使って、土木工事を行って土建屋を潤す」こと。これが日本
の「公共」事業の正体ではないですか。

ちっとも公共のためになっていない事業を、公共事業と呼ぶことだ
けのために、いつも心の中にわだかまり、あるいは苦痛を感じます。

今やこの狭い国土には、不必要なダムや漁港や広域農道やスーパー
林道が、ひしめいています。文化センターという空っぽの箱や、道
の駅などというもっともらしい名前のみやげ物屋も、わんさかあり
ます。それでもまだ土建屋に金をばらまく必要があるからか、海上
埋め立て空港や東京湾横断道路や本四架橋をつくる。

これでは国が滅びます。
得丸
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参考までに・・・・ DS 
   
 <<ソウル、上海どちらも1000万人以上の都市の空港がハブ
になっています。>> 

ソウルが大都市であることには異論がありませんが・・・・・ 
中国の「市」というものは日本のそれとはかなり違います。 
例えば北京市というのは面積が四国や、東海三県と同じくらいあり
ます。更に北京市の中に「県」や郷・鎮があるのです。 
つまり、日本語的感覚で言えば北京「市」というよりは北京「圏」
または北京「地方」と理解するのが妥当と思われます。 
因みに、四国「市」の人口は410万人、中部「市」の人口は1200万
人となります。実際、日本語的北京市は名古屋市よりも小さい印象
を受けました。まあ、個人的感想ですが・・・ 
同様のことが天津市、上海市、重慶市等についても言えます。重慶
市に至っては日本の1/5以上の面積があり、その8割以上が農村人
口ということです。 
中国の「市」を日本語的「市」に解釈し直すならば人口はその
1/4〜1/5程度と解釈するのが妥当と思われます。 

さらに、単に人口だけでは比較できない問題もあります。つまり、
「所得水準」です。中国や韓国の国内線は日本に較べれば安いです
が、所得水準を考慮すればかえって割高です。人口は多くても日本
のようにほぼ全国民が航空機の利用者になりうる国とは状況が違い
ます。 
だからといって(平均所得)X(人口)等という計算のみでも実状
は掴めないでしょう。日本とは違い、大きな所得格差がありますから。 
ただ、韓国の場合は多少上記の計算式が役に立つと思われます。
韓国民の平均所得額は日本人の1/4ですから、ソウル市1000万人の
人口は日本で言えば250万人に相当する、と考えられます。 

翻って、札幌市の人口173万に周辺人口を加えると250万人程度とな
ります。那覇にしても周辺人口を考慮すれば100万人程度となるわけ
で、さらに、国内線の充実度を考慮すればハブ空港の母体都市たる
に十分と思われます。 

<<米国でも、西海岸の太平洋線のハブは、ロサンジェルス
(1000万人の都市)とサンフランシスコ(シリコン・バレーを
含めると400万人以上)の2ケ所>> 

アメリカ西海岸にはロサンゼルス、サン・フランシスコの他にも
ポートランド(DL)、シアトル(UA)、サン・ホセ(AA)がありま
す。サン・ホセはサン・フランシスコの隣ですが・・・ 

<<日本は、国土が小さいために、航空機での需要地はあまり多く
ない。>> 

確かに米国に較べれば少ないですが、世界最大の輸送量を持つ航空
路線が羽田〜札幌で2位が羽田〜福岡である等、決して少ないとは
言えません。 

また、日本が狭い、というのもある意味では真実ですが、別な見方
も十分可能です。日本というのはちょうど中国沿岸部や、アメリカ
東海岸部のに匹敵します。 
稚内から那覇までの距離はインドで言えばシュリーナガルからコモ
リン岬までの距離に匹敵します。

つまり、北東から南西にかけて日本は「広大な」国でもあるわけで
す。日本の1.3倍の面積を持つイラクでは国土形状・人口・経済力か
らいってバグダードに一極集中するのが合理的なのかも知れません
が、日本では決して得策とは言えないでしょう。 

<<バイパス議論は、何がいいたいのか不明です。>> 

バイパス云々というのは現在成田で扱っている旅客や貨物のうちで
千歳・那覇(旅客・貨物)・福島(貨物)などでも振り替え可能な
ものは積極的に振り替えが出来るようにしていく、そのために必要
な設備を整備する、ということです。 
その結果、玉突き式に貴重な成田の発着枠を節約し、首都圏にもう
一つ空港を造ったのと同等の効果を安価な投資で得よう、という考
えです。 

また、千歳・那覇がハブ空港化すれば外国からのアクセスが容易に
なり、その結果半導体などの高付加価値産業や国際会議の開催など
が増えることが予測されます。 

更に、完成までの時間の問題があります。 
もし、羽田を拡張するとなれば、影響を受ける港湾設備の移転を行
うことになります。当然、それに付随する道路などの整備も必要に
なります。用地確保が非常に難しいことが予想されます・・・が、
安易に不便な場所では話がまとまらないでしょう。 
移転先の決定、さらに用地の確保、道路などの付帯工事などに
「目途」をつけなくてはなりません。 

空港の工事自体はさほど時間を要しないかもしれませんが、「付帯
工事」に長大な時間を要するものと思われます。俗に「道路一本30
年」などと言われるくらいですから。 

<<採算性があれば、行えばいいのですが、現在、行政の審査が甘
く、計画時は需要を膨らませて建設する。>> 

空港の運営方式に問題があると思います。現在、最も採算性が厳密
に考慮されて行われている公共工事の一つは新幹線だと思いますが
(民間企業が採算性を予測しているわけですから)、空港建設もこ
れに倣った方式を考えるべきだと思います。 
つまり、個人的には日本を東部・中央・西部に分け、それぞれのエ
リア内の空港を3つの空港管理会社が運営する、という方式が良い
と思います。 
(北海道と沖縄を更に分けて5分割、という事も考えられる) 
日本は米国と違い、ただ同然の広大な土地があるわけではなく、
それでいて航空需要は比較的大きなものがあるので、手持ちの空港
を効率的に利用する必要があるでしょう。 
しかし、全国一社では空港間競争が起こりません。 

少なくとも、現在のように国が一律的に空港を管理する方式は非効
率的だと思います。 
採算性にしても、国が試算を行えば本来赤字のはずが黒字になるこ
ともあれば、逆に国が考えもしなかったような「企業努力」「革新
的な経営方法」の結果思わぬ黒字が生まれることもあるでしょう。 
国に対して正確なコスト試算を求めるよりも、分割・民営化の方が
ずっと近道だと思います。 

ただ、空港は(特に国際空港)日本にとって国として絶対に必要な
資産ですから、その整備に対しては国家による援助があってしかる
べき拿と思います。 

道路予算や、余り気味の港湾予算を新幹線や国際空港に振り返るべ
きだ、と思います。 
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(Fのコメント)
DSさんも、Fの意見に近寄ってきましたね。今のDSの意見には
賛成する部分が多いですよ。バイパスも、可能であれば、利益が確
保できれば、民間会社はやります。利益がないと思えばやりません。

 米国のハブですが、ポートランドのデルタのハブは、日本からの
便はなくなります。すべて、アトランタ、ニューヨークへの直行便
になるようですよ。私も米国に入るのに、デルタを使うことがあり
ましたが、ポートランドは空いていて、入国が楽でした。
今後、デルタは、ソウル空港をアジアのハブとすることが決まり、
日本からの便は、日本人のみをターゲットにする方向です。

 シアトルはノースウエストのハブですが、ここも、乗り換え便は
ミネアポリスかデトロイトの直行便になっているようです。今まで
ミネアポリスの国際線の設備が小さくアジアからの便を受け入れる
ことができなかったため、シアトルで入国審査していたのですが、
今は国際線の受け入れのための増強が完成しましたので、ハブ的便
はそちらになっています。しかし、シアトル便は今もあります。こ
れは、シアトルへの需要があるためです。シアトルには、ボーイン
グとマイクロソフトの本社があるためです。

 サンノゼは、T君も利用したようですが、アメリカン航空の西部
地域のハブです。これは、サンフランシスコ空港の設備で、アメリ
カ航空のブースが大きくないのと、入国審査スペースがないためで
す。このため、サンノゼになっているのです。個々の会社事情によ
って、ハブを決めているのです。しかし、アジア航空会社から便は
、サンフランシスコとロサンジェルスが多い。それと、シアトルで
しょうね。中国人が多いバンクーバが近くにあるためでしょうか?

 米国では航空会社が自分の建物を空港に建て、自分で入国審査の
経費を出すため、自航空会社の建物に入国審査所を設けます。日本
とは大違いの制度になっているのです。その分、民間航空会社の権
限が大きいのです。

 そして、ノースウエストとユナイティッドは、今後も成田をアジ
アのハブとして利用すると思いますが、アメリカン航空やデルタ、
コンチネンタルは、アジアのハブをソウルや上海にする方向で検討
しています。アメリカンのように、ノースウエストを買収して、
成田の枠を手に入れようとする動きもあります。しかし、アジアの
ハブ化に対する対応策が今、日本にはないのです。提案もできない。
既に、関西空港のハブ化は利益がでないと思われているのですから。
ここに、問題点があるのです。航空交渉もおかしいのです。完全自
由化にした方がいいのです。各航空会社のハブを日本に持ってくる
方が日本にとって、断然いいのですから。

 このためには、東京に将来大きな航空枠ができるから、今関西か
千歳で我慢してもらえれば、将来、羽田国際空港の拡張後、優先的
に、その枠を配分すると言えば、変更することも検討するはずです。

日本の競争相手は、恐らくソウルではなく上海だと思うのです。
ビジネス客の層が上海の方が大きい。これは、外貨準備高の多さや
米国への輸出総額でも、日本と中国は米国との関係が深いためです。
それと、B777は上海に西海岸から直行可能ですから。それと今
、政治の中心は北京ですが、ビジネスの中心は上海になっているた
め、深川の除く中国全土のビジネス客が見込めることによってです。

今年中に中国は、世界第3位のGDPになる可能性があり、経済的
な重要性も増していますし、米国に自国民が多数いて、この人たち
の需要もあります。

 中国全土のビジネスを押さえているのが上海です。このため、
日本企業が中国に商売で行くのは上海か深川か香港が多いのですか
ら。徐々に上海の比重が大きくなっている。このため、国内線ハブ
機能が充実してきているため、千歳より航空需要が大きいように感
じる。関西とは同等程度のような気がするが。

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