286−3.日本の進めべき方向について



先週のテレビ対談で、小沢一郎氏と不破哲三氏が、「外国諸国は
日本が外交音痴であり、知恵がないため、湾岸戦争の時、コソボ紛
争の時、いかなる国際問題に際しても、情報が入るのが遅いまたは
入らない。

日本と相談することに何らメリットを感じていない。
首脳国サミットでは日本の首相が、3S Silent, 
Smiling, Sleepingと思われている。」

その背景には、戦後、日本は好景気、日米安保等もあり、非常事態
に見舞われたことがなく、高度な外交戦略の必要性がなく、経済に
集中でき、護送船団方式で充分やっていけた。過去の首相には、海
外に対してメッセージを発信したという人が極めて少なかった。(
ほとんどゼロ) 

世界の工場として、稼げるだけ稼ぎ、必要なときに金・物だけを提
供する、メッセージを持たない国民で、なにを考えているかさっぱ
りわからない国民になってしまったのでしょう。
私は、つい先ごろまで、スイスに滞在しておりましたが、スイス人
も日本人と同様何を考えているのかさっぱりわからない不可解な国
民と欧州の人たちから思われているようですが、7百万人の人口
(愛知県並)で日本の九州ほどの国土を有し、戦時中、ドイツから
の攻撃に勇敢に立ち向かい700年の歴史の中、医療技術、精密機
器産業、金融業、観光業をメインに、また国連に様々な機関 
ILO,WHO,UPU,ITU,WMO,WIPO,WTO、
国際赤十字を主要都市に有し、非同盟、ニュートラルな国際都市と
して、クリアーな路線を歩んできたわけです。

時代の変化で、歪みのあるところもありましょうが、その国民性は
頑固、融通的でない、保守的、秘密主義、でも一方 友好的、博愛
の精神あり、シンガポール同様に、徴兵制度を徹底して国民の
Identity、自主防衛の精神高揚に努めております。
ビジネスマンで要職についている人も年間 約2〜4週間の兵役を
義務つけている経済の費用対効果の観点からいえばおおきなマイナ
スですが、スイス国民としての自意識高揚という観点からはMust
の行為である筈です。

日・スイス・欧米をビジネスの観点から生活・体験したあるスイス
人の言によりますと「日本人とスイス人に共通点は多い、そのベー
スはSimple Life。農耕民族で、天然資源に乏しい天災
、自然の厳しさに対抗すべく、精神鍛錬、技術の工場、等から 
自己表現は両者とも下手であるが芯は強いものをもっていて、いざ
というときにパワーを終結させられるだけの実力もある」

昨今のスイスと日本の違いは、金銭的、物的支援という武器を除い
て 国家としてどのような貢献が出来るか、あるいは外交政策を掲
げられるか ? 
首相の諸国歴訪も、一見 矛盾点があるようでこのような視点から
考え、「かつて第3国を中心にはじまった非同盟首脳会議のありか
たは今後どうあるべきか」
「アジアの政治・経済・文化・環境問題は今後どうあるべきか」 
「世界の文化遺産をどのようにして21世紀の人々に継承していく
べきか。
4大文明で経済的支援も加えて中東、中国、インドパキスタン、
エジプト 等の諸国と積極的にメッセージを発信していく。4大文
明展も単なるビジネスとして終わらせない政府の努力」

中国との国交、北朝鮮との国交、ロシアとの国交で問題にあげられ
る点は過去何十年と なしえなかったことを、物、金という武器を
使わず、こころの琴線にふれるような包括的な地域の発展はどうあ
るべきかを双方 無心で検討し、その方向性を固めた上で 解決す
べき問題点を並行して検討するというステップが必要ではないかと
感じます。
大国 アメリカになしえない分野のフォーカスをあてて国連の一員
として世界に寄与するために日本国民の英知を終結して、政府主導
で21世紀に向けた新しいメッセージをグローバルの観点から発信し
て、ひとつの価値を生み出すということも日本の取り組むべき課題
であろうと思います。
「ここの分野だけはどの国民にも負けない」と国民一人一人が自負
できる領域を首相、マスメディア含めて取り組むべきでしょう。 
Scrap and Build, Preserve the best , Reinvent the rest 

21世紀に求められるニーズを推察して、明解なメッセージを発信
できる国家つくりを官民一体となって作れるよう期待します。どん
なに時間を要しても、世界が別の観点から日本を日本人を必要とし
ていると各国の教科書に紹介されるような国家つくりが今 必要な
のでしょう。

匿名 S
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(Fのコメント)
 スイス人との比較は面白いですね。日本ができる国際貢献は、
途上国に対する技術援助や自分を目立たせない国際紛争仲介などに
その役割があると考えます。この国際貢献の議論もこのコラムでし
ましょう。

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