286−1.エシュロンについて



 ある友達から、米国のエシュロンについて解説してほしいとの
要望があったので、今回取り扱うことにする。
参考にした資料は、軍事研究10月号と「影のアメリカ」古森義久
です。
 米国国家安全保障局(NSA)の情報収集/分析するシステム名
をエシュロン・システムというのです。このNSA長官は、米三軍
の中将が交代で務める。
NSAの任務は、@外国の通信情報の収集・解読A自国の暗号・通
信の機密保持。この範囲は、軍事情報だけでなく、経済情報も対象
にしている。今後、その比重はどんどん経済情報収集業務になって
いくが、約4割が現在、経済情報の収集になっている。

 日本とロシア監視のため、三沢に通信基地がある。ロシア極東の
通信傍受が6割、日本通信傍受が4割と思われる。
そして、全世界の情報を集め、整理分析し、英国・カナダ・オース
トラリア・ニュージーランドと米国の5ケ国で「シギント」という
組織を運営している。この機関に情報が提供されている。

 エシュロン・システムは、スーパーコンピュータに世界から集め
た通常電話のほかEメール、FAX、携帯電話、インターネットな
どの情報を取り込み、処理している。分野別のキーワードでサーチ
し、該当情報を引っ張り出すようなサービスを提供している。

 このため、NSAは、暗号を武器の1種と見なしている。このた
め、暗号ソフトや暗号機器に対するチェックは厳しい。暗号化の研
究を、日本も行っているが、この暗号論理に対して米国NSAは監視
の目で見ていることを忘れてはいけない。日本のターゲットは東芝、
NTTである。

 しかし、現在、NSAが悩んでいることがある。NSAの傍受が
あるため、民間の経済活動にも、暗号が普及してきている。この解読
は、NSAでも大変だ。それと、光ファイバーの普及で、電磁波を
外に出さないため、盗聴が難しい。それと、通信量の飛躍的拡大で
エシュロン・システムや盗聴システムの能力を超えてきて、選択的
な盗聴にする必要が出てきている。

 しかし、日本でも盗聴法ができて、外国のエージェントと接触す
る機会がある人たちは、盗聴されている可能性があると、考えた方
がいいようだ。日本は「シギント」協力国であるからだ。
この成果が防衛研究所の研究員がロシアのエージェントに情報を提
供していた情報を盗聴で早い段階に入手していたようだ。

コラム目次に戻る
トップページに戻る