272−1.アメリカ帝国主義への報復



 今回は、チャルマーズ・ジョンソン著「アメリカ帝国への報復」
を読んだ感想と、その発展系を考えることにする。

 米国は、現在世界19ケ国61の基地を持っている。冷戦が終結
して10年も経っているのに減らないのである。冷戦時代の構造を
維持する方向でいる。これを帝国主義との認識を持たずに米国は行
っている。なぜ米国が帝国主義か。
その良い例が、韓国との地位協定で、米国軍人が韓国国民を殺害し
たとしても、調査権は米国が持ち、かつ軍人が事件を認めたとして
も除隊して、米国に戻ることが多く韓国の警察に身分を拘束される
ことがほとんど皆無である。

 日本とも同様な地位協定であったが、沖縄での事件後、日本政府
の要求でやっと調査権が日本になることを応じた程度ですから、
日本以下のアジア諸国の米国軍の横暴さは、想像できるのです。

 この中で、米国はなぜ世界に軍隊を派遣する必要があるのかです
が、米国政府が軍隊をコントロールできなくなっているのだと、言
っている。この良い例がユーゴの中国大使館誤爆事件であるが、軍
は、狙ってやったが、米国政府は誤爆と糊塗した。コーエン国防長
官は、共和党であることを考えると肯けることである。この原因は
、徴兵制度を廃止したため、軍人と民間人が分離して、軍人は軍の
利益しか考えなくなっていいるためだそうだ。

 これは、軍事研究の資料だが、この10年で陸軍は28万人削減
して、47万人体制に、海軍、空軍は21万人削減して37万人に
なっている。このため、それに付随する防衛産業もリストラされて
いる。除隊後の職場も確保する必要があるため、コーエン長官は、
米国製兵器の売り込みに真剣で、日本へはTMDを、タイにはミサ
イルを売りに来る。TMDの命中率は相当低いはずであるのに。
 しかし、レーザ兵器は次世代ということで、日本にはまだ供与す
る予定がない。イスラエルはビスボラとの関係があるため、1年以
内で実戦配備する可能性がある。

もう1つの話題がブローバックで、
 ブローバックとは、秘密情報部員が外国で流したデマの本国への
逆流を意味し、今では国際関係を専攻する学生の間にも広まりつつ
ある言葉だそうだ。その意味することは、米国の国民に秘密にされ
ている政策が意図せぬ結果をもたらすことである。
「テロリスト」「麻薬王」「不法な武器商人」などは、米国の帝国
主義政策のブローバックである。いい例が、ウサマ・ビン・ラディ
ンで、ソ連との戦いでは、米国はこのラディンの部隊に軍事訓練を
したが、今回ナイロビ・ダルエルサラーム米国大使館爆破の報復と
して、巡航ミサイルを打ち込んだ。この訓練施設自体が米国の金で
作った軍事訓練施設なのである。

 日本と米国の関係は、日本は米国の衛星国として振る舞い、そし
て、日本製品が米国に輸出され、年々貿易赤字が増大する。米国の
製造業は空洞化する。米国製であるが、中身は日本製や部品の殆ど
が日本製という製品がどんどん多くなっている。米国の平均的国民
の賃金はこの10年で25%ダウンしている。

 日本は、年間6000億円程度の在日米国軍支援金を出している
が、そのバランスシートは米国、日本どちらが得しているのであろ
うか。(軍人の給与部分は、1000億円程度、その他は基地の
土地使用代や日本人従業員の給与、施設整備費など多彩。)
米国軍4・5万人の経費は、ほとんどを日本が持っているようなも
のである。このため、米国軍は日本からは出て行かないことになる。

 一時、沖縄からオーストラリアへ、海兵隊を移動させようとした
が日本の駐留費に比べ、大幅に増額が必要と分かり、取りやめた。

 また、沖縄の海兵隊はリストラされていない。陸軍は28万人も
削減されたのにである。これは、日本にいると経費が掛からないた
めであり、逆に駐留支援を日本が中止すると、米国は軍の削減せざ
るを得なくなる。

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