267−1.文明と文化について



(NO.264−2の続き)MLからの採録
YSさん、得丸さん

干し柿仙人です
前回わたしが引用したライシャワー元駐日大使の言葉は
「新・ニッポンの警察(1991年、サイマル出版)」という本
からでした。
この本はYSさんの指摘された

>1 地上の人口過剰。多すぎる社会的な接触のために私たちは誰
>  もが根本的に「非人間的な」方法で自らを守らざるをえない
>  。加えて多くの個人が(広義の意味で)せまい空間にすしづ
>  めにされていることが、直接に攻撃性を触発するように作用
>  している。

という原則に反する例として、カリフォルニア州ほどの面積に全米
の半数にあたる人口がすむ日本のほうが殺人発生率で5〜6分の1
、強盗にいたっては、100分の1であることに注目され、日本の
警察が研究されています。

中味は警察の研究というよりは非常に優秀な比較社会学のフィール
ドワークになっていると感じました。
有名な本なのですでにお読みかもしれませんが、もしまだでしたら
、お読みになることを(さしでがましいですが)お勧めします。時
間の無駄にはならないとわたしは思います。
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YS様

ヒトがヒトを殺すとき−進化論からのアプローチ−
http://www.athome.co.jp/academy/zoology/zoo08.html
読みました。たしかに着目すべき見方でしょうね。

私のホームページを見ていたいただければ、私も人間の生物学的
側面にも着目しながら考察を進めていることはお分かりいただける
かと思いますが、わたしはできるだけ様々な観点から捉えたいと
考えていますので、このような見方も参考にとどめたいと考えます。

「文明化した人間の八つの大罪(思索社 1973)」の評価につ
いて、私はまだ読んでいないのでぜひ読みたいとおもいますが、
古い本ですから、その後の反響など当然あったかと思います。
そのあたりどうなのでしょうか?

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得丸 様

民族と国家、文化と文明というキーワードで私が思い付くのはシン
ガポールです。
中国系、マレー系、インド系など多民族国家であり、地理的にアジ
アにありながら、英語が公用語である都市国家。若者には英語しか
話せない者が増える中、アジア文化の中に留まり続けている。

政治はシンガポール人としてのアイデンティティを持たせるために
民族毎のコロニーを解散させ、高層住宅にモザイクに住まわせる政
策をとっているが、そのことが原因であるかのように、高層階から
の物の投げ捨てが問題となっている国。

私はまだシンガポールについて記述した良い本に出合っていません
が、シンガポールについて調べることは何らかの示唆を与えてくれ
るのではないかと考えています。

インターネット上では
週間シンガポール http://www.npo.co.jp/ss/
を参考にしています。

干し柿仙人 
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シンガポールは、たしかに極めて人工的な国です。
おそらく海峡の利権を牛耳るために、英国が華僑を使って独立国家
をつくらせたのではないかと私は疑っています。

二年前に建築ワークショップでクアラルンプルとシンガポールに3
日ずつ訪問し、街としての空間的展開はともに英領植民地として似
ているのに、シンガポールには、どこか自由な空気がないところを
感じました。

これから空港に合宿参加者を迎えに行きますので、またゆっくり
議論させていただきたいと思います。

得丸

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