259−1.ダイオキシン・PCB公害について



 PCBやダイオキシンという自然界に存在しない有機化合物によって
、海洋生物が汚染されている。これは沿岸においてはダイオキシン
の問題であり、PCBの場合には蒸発して大気循環によって遠洋・沖
合いで海中に降下するものもあって、地球規模の汚染になっている
らしい。

鯨肉を食べなければ問題はないかのように語る水産庁、消費者団体
、マスコミの姿勢は正しいのだろうか。人間が起こした海洋汚染に
よって、海洋生物が苦しむこと自体をどう受け止めればいいのだろ
うか。

海洋汚染がどの程度広がっているのかという実態を把握している人
もいない(調査が行われていない)というのも問題だ。

ダイオキシン: 国内で販売のクジラ・イルカ肉から高濃度 
                                                  2000.08.08

 国内各地の魚市場やスーパーで販売されていたクジラ・イルカ肉
から高濃度のダイオキシンが検出された。原口浩一・第一薬科大助
教授らの調査によるもので、原口助教授は「食品からこんなに高い
ダイオキシンが検出されるのは初めて」と話し、14〜17日、米
カリフォルニア州モントレーで開かれるダイオキシン国際会議で発
表する。

調査は昨年春から秋にかけ、政府の調査捕鯨や日本沿岸で捕獲され
たクジラ・イルカの赤身と脂身で、東京など6都府県で売られてい
た計38点を対象に行われた。その結果、沿岸クジラでは、赤身
(6点)から1グラム当たり平均2・97ピコグラム(1ピコグラ
ムは1兆分の1グラム)のダイオキシンを検出し、ベーコンなどの
脂身(13点)からは27・1〜691ピコグラム、平均で232
ピコグラムを検出した。北太平洋のミンククジラは、赤身(3点)
で平均5・2ピコグラム、脂身(9点)で同57・4ピコグラム、
南氷洋のミンククジラは赤身(2点)で平均1・5ピコグラム、
脂身(5点)で同4・9ピコグラムだった。ダイオキシンの残留が
多いといわれるスズキなど沿岸魚類でも数ピコグラムのため、沿岸
クジラ肉の脂身の汚染度は特に高い。

ダイオキシンについては、食品の残留基準値はなく、これ以下なら
健康への影響がないことを示す1日耐容摂取量(TDI)として、
体重1キロあたり4ピコグラム以下(50キロの大人なら200
ピコグラム以下)が定められている。これに照らし合わせると、
沿岸クジラの脂身は1グラム食べるだけで大人の許容量を超える場
合もあることになる。原口助教授は「クジラ肉を1、2回食べてす
ぐ影響が出るとまでは言えないが、汚染状況を消費者に知らせずに
販売するのは問題」と指摘する。

クジラ肉では、すでに水銀やPCB(ポリ塩化ビフェニール)の高
濃度の残留も分かっており、クジラ漁の盛んな和歌山県太地町では
漁業者が内臓肉の販売を自粛する動きが出ている。

魚類は一般的に海の中のダイオキシンを内臓に蓄積するケースが多
いが、特にクジラ、イルカ類は体内に蓄積されたダイオキシンを
分解して排出する酵素が少ないことから高濃度の残留があるとみら
れている。

水産庁遠洋課は「主食の米に高いダイオキシンが含まれているなら
大問題だが、一般の人がクジラ肉を食べる機会はあまりない。汚染
が高い事実を無視するわけではないが、大々的に問題にするような
ことではない」と話している。 【小島 正美】

得丸
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(Fのコメント)
 この公害の問題は、私が若い時、宇井純さんの「公害原論」から
見ていますが、中々、一般化しません。これは、日本企業が公害に
対して、それなりの対策をしたからですが、どうも、とうとう、次
の段階に来たようなですね。

 ある特定の公害企業の問題から、国民全体の問題にシフトしたよ
うな気がします。もう、本格的な社会構造を変化させないと、対応
できない。プラスチックの分別を徹底する必要とか、再利用を前提
とした物作りなど。ダイオキシンやPCBは、戸外では、プラスチ
ックを燃やさないなど、今までに比べて、国民全体への負荷が増す
施策が必要です。

 これをしないと、公害を解決できないことになる。困難性は今の
比ではない。循環システムは日本では、経験しているのですが。
それは、江戸時代です。この仕組み作りが参考になる。
欧州に比べて、日本はあまり、この循環システムを検討しなかった
が、今後、欧州と同じような循環社会作りが必要でしょう。

 資源が枯渇すると、ローマクラブが「成長の限界」1972年、
米国環境問題諮問委員会が「2000年の地球」1980年に報告
書を出したが、そのようになっていない。このため、まだ、米国は
この議論を重要視していないようだ。対応も遅れている。

 しかし、徐々に世界の環境は悪くなってきている。慢性病のよう
な感じで、痛みが分からないため、人類崩壊に繋がる可能性を秘め
ている。しかし、人類も、PCBの禁止や2酸化炭素の規制をし始
めている。人間の意識変更が間に合うかどうかでしょう。

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