249−2.海外在留邦人の保護への反応



Fさんのコメントは、大変参考になります。(NO.244−2)

今日、日本人として、国家は本当に日本人としてのアイデンティテ
ィーをどのようにもっていきたいのかが打ち出せない状態で、どち
らかというとReactiveな行動をとり、誤った判断を下した組織なり、
個人を変えることで、火事場現象を切り抜けてきたといえるかと思
います。

私もFさん同様、最近まで10数年 海外勤務を経験したものの
一人として、90年8月2日のイラクのクウェート侵攻から始まる
湾岸戦争を現地での実体験からコメントさせていただきたいと思い
ます。

CNN放送すら受ける体制になかった当時の領事館からの情報量は
かなり希薄で、企業別の出入国者数を届け出て、それをファックス
で回覧する、在留日本人に対する危機管理の具体策はほとんどなし。
開戦がほぼ秒読み段階にあった12月に日本人学校の職員の職務
復帰 (生徒がほとんど、避難して授業が出来ない状況であるにも
かかわらず)。

テロ問題が懸念されていた危険な1月初旬。恒例新年会では、「テ
ロに気をつけてください。開戦時は空港が閉鎖されるだろうがいざ
となれば日本国民は90億ドルも提供したのでアメリカの救援機で
脱出できるでしょうから皆さん 安心してください。」 

当時、子供・女性・教師を最優先して国が救援機で本国まで緊急避
難をとった欧米。インド・フィリピンでさえ、国家で特別機を出し
て自国民を救出していたことと比べても、日本政府が在留日本人に
とった行動は、定期的な集まりのみで、行動という点ではほとんど
ゼロに近かったように思います。金はだすが口は出さないの日本。

金はださないが異議ありと訴える途上国と対象的でありました。
在留邦人に対しては、金も出さなければ知恵もださない。一過性の
台風でも到来した時の危険情報程度。

終戦後、当時のブッシュ大統領がクウェート入りしたときの歓迎ぶ
り、大金を国民の税金から供出したはずの日本。
行動力でもって、ともにイラク連合と立ち向かった多国籍群 およ
び周辺国。

私は日本の本社から送られる、毎日50数ページの湾岸危機情勢
ファックスを日本人学校に転送して情報のシェアを継続しましたが
、何故 文部省は教職員の職務復帰を、開戦のメドが立つであろう
翌年の1月中旬以降を待たずに決定したのか?文部省から湾岸戦争
情報は一切 送られていなかったという現実。

湾岸戦争からほぼ10年間、海外で日本を、また他国籍の人と交流
するなかで、

日本人は日本のパスポートを保持する以外、メンタルなもので他国
に誇れるものは何なのだろうか、またそれは政府を当てにせず
、個人がしっかり身につけ、21世紀のどこかでは各国のパスポー
トの国旗と並行して国際人としてのIdentityとして「国連」マーク
を記載することもありうるのではと感じている次第です。
(国連職員という限られた人たちだけでなく、もっと一般開放され
るという方向に世の中が急速に進化、退化?しているのではなかろ
うか)

IT革命・世界環境問題・通貨の統合・経済統合・情報の共有化・
Eビジネス・邦人企業のアメリカ本社移転はグローバルに活動するた
めのツール・最低条件と考えるならば、国連人(仮称)としての
特典のほうが日本人のそれよりも、バーチャルとはいえより鮮明で
国連人として果たすべき義務・責任、発行元である国連国家(仮称)
として保証しえる最低限のことを保持するパスポートに明記するだ
けでなく、主要国に大使館に相当する機関を設置し、中立的な見地
から具体的に支援する。

このようなパスポートを保持している人優先に特典が得られ、従来
の各国別に設置された大使館を選ぶか、国連大使館(仮称)かは 
本人の任意とさせる。大使館もある意味では淘汰される時代にある
ように思います。特に海外在留の方は、そこに対して納税し、
運営資金の一部とする。国連国家を全世界でとりまとめるのは、
当面 国連本部とする。

国連の役割も、当然 見直されるという前提条件はつきますが。
海外を経験され、海外に永住・帰化される人の心境を察するに、
技術大国・製造技術大国・勤勉な国民という良い意味での日本人像
が21世紀も日本を象徴するか ?
「変わった日本人」 「個性が強すぎる日本人」 組の海外在留
日本人と日本在留日本人の間でも、かなり認識のGAPがあらわれてい
るのではと感じます。

話題が、湾岸戦争から、国連大使館まで、飛躍いたしましたが、
最後に湾岸戦争関連で読んだ書物の一部を紹介して、私のコメント
を終わります。

「シュワルツコフ正伝」       ダイヤモンド社鈴木主税 訳
「コリン・パウエル」        サンドケー出版社 松村博訳
「1991年 日本の敗北」     新潮文庫    手嶋龍一著

匿名希望: S
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海外在留邦人の保護について(NO.244−2)

海外旅行をする人は、現地で一旦緊急の事があるときは
決して日本大使館、領事館その他日本政府の組織を頼りにしてはい
けません。之は、海外にいる日本人の常識です。

彼らの職務は在外日本人の保護ではありません。
もっと、ずーっと”高尚な”外交交渉に在ります。
彼らにとって在留邦人は仕事の邪魔では在っても其れ以外の何者で
もありません。

フランスに在勤の外交官にとって大切な事は凱旋門の見える高級
レストランで如何に上手く流暢なフランス語で料理のオーダが出来
るかであり、二次会に有名かつ怪しげな場所を提供できるかに在り
ます。
彼らの頭の中に”在留邦人の保護”などと言う観念など全くありま
せん。
イライラ戦争の時も現地の日本人は沢山いましたが、自らの判断で
徒歩で何日も歩いて脱出しました。
大使館に「脱出したい」等と言っても全く無意味です。
「外交上まずい、暫く様子を見るように」と言うのがオチ。
勿論、彼らはその日のうちに脱出します。

もう一度言います。日本政府、外務省は在外邦人の保護など未だか
って考えた事はありません。
今から海外に行かれる方はくれぐれも再認識を御願いします。
自分の身は自分で守れ。死んでから政府を恨んでも遅い。

では之をどうすればよいのかというと、色んな事に共通するのです
が、我々の税金は何に如何に使われているのか、其れは本当に効率
的に使われているのかと国民が追求する事です。

アメリカがベトナムで盛んに空爆をやっていた時、空爆の是非を論
ずるアメリカのメディアの中に、「第二次大戦の空爆の効率は
一トン当たり何人、ベトナムでは一トンあたり余りに少ない」と
言って政府を攻撃しているのがありました。

日本でこんな事言ったら悪魔かヒットラと言われるのがオチでしょ
うが、この位の感覚は在っても良いのでは。

まず、成田や関空で海外旅行にでる人に「一旦、危険が迫ったとき
も決して在外公館を当てにしてはいけません。」と言うパンフレッ
トを配布する。
これは、外務省も認めているようですから外務省の予算でやっても
らう。
「そんな馬鹿な」と海外渡航者が思うようになれば、法律を改正し
て外務省に在外邦人の保護義務を持たせるようにする。
民主主義は大変なのです、手間がかかる。

でも、1番簡単なのは「事件」を起こす事です。
在留邦人が多量にトンでもない目に会って、もう少し直接的に言え
ば多量に死んで、現地大使館が「大使館に責任なし、職務外である
。」とでもコメントしてくれる事でしょう。
世論が沸騰してたちまち改善されます。

民主主義の歴史は人民の血で発展してきた側面があります。
日本の民主主義は第二次大戦の幾百万の犠牲の上で勝ち取られたと
もいえますが、犠牲となった幾百万はその為に戦ったわけではない。
まだまだ、人民による人民のための政治には「血」が足らないので
しょうか。悲しい事です。

きよしだ
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(Fのコメント)
Sさん、きよしださんありがとうございます。日本国家は、石油な
どを海外から調達し、その代わりに日本からの製品を売って、要す
るに貿易で生きているのですから、それに従事する海外の日本人を
大事にするべきですし、海外日本人の保護活用を考えるべきです。

 日本の外貨を使うため、海外旅行を政府は奨励しているのに、何
か事故や事件があっても、大使館は職務外というのですから、もう
少し国民は、怒った方がいいと思うのですが?
海外で大量に日本人の死なないとダメですか?日本の国民もわから
ないし、政府も行動しない。ダメな国家ですね。


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