230−1.2重国籍について



2重国籍について、いろいろな人から、意見をいただきありがとう
ございます。ここで、まとめたいと思います。
また、記述に間違えがあれば、修正ください。この議論は、続けた
いと考えています。

(日本との二重国籍ーーー自己の意思で取得した場合)
日本国籍法第11条により、外国の国籍を取得したという事実で以っ
て、日本国籍は喪失する。(自動消滅)
消滅した日から3ヶ月以内に、日本領事館に、「喪失届」を提出し
なければならないとあります。

(日本との二重国籍ーーー他国から付与された場合)
日本の国籍法では、自らの意志(申請など)によらず、1985年
以降の場合は国籍の選択が必要です。移行処置以外、2重国籍は
容認されていません。

このような場合は、結婚と同時の国籍付与がいい例ですが、20才に
達する前に発生した場合は22才までに、20才以降に発生した場合は
、2年間の猶予期間の後、期限内に国籍選択届を出さないでいて、
なおかつ、法務大臣から国籍選択の催告を受けて、1ヶ月以内に日本
国籍を選択しなければ、1ヶ月経過時点で日本国籍を失います。
(国籍法14条)
1984年12月31日以前からの多国籍場合は日本へ国籍の選択
の宣誓をしなくてもしたものと「みな」されています。

 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に勤めなければ
ならない。(国籍法15条1項)

※ 国籍選択届を出さないと自動的に日本国籍を喪失するわけでは
ありません。催告を受けて1ヶ月以内に選択しない場合には喪失し
ます。
 選択してそのまま外国籍を離脱しない場合は、特別な場合(外国
の公務員)を除けば、日本国籍を喪失する規定はありません。
また、選択後に外国籍を離脱しない場合の罰則もありません。
ただ、日本国籍の選択宣言により自動的に外国の国籍を失うかどう
かはその国の法律によります。

一方で、最近話題の日本名「波元路伊」氏の場合が、いい例ですが、
「日本に帰化したあとも、イタリア旅券を取得している場合は、
日本の国籍法に違反であるとして、このような外国人の日本国籍は
剥奪されるのが、日本国国籍法第14条の規定である。」との、イタリ
ア政府は、速やかな国籍剥奪と本人のイタリア送還を求めています。
しかし、これは日本の主権を侵害している行為ですが。

日本としては重国籍国に選択宣言をしたことの報告する場合がある。
インドについては、インド人が日本に帰化したときは、日本政府から
通知があると言っています。(但し、正確性に問題はあります。)
しかし、ほとんどは報告していないそうです。し、また、逆の場合も
外国からの報告はほとんどないようです。しかし、これにも例外あり。

ルクセンブルグが、同国と日本との二重国籍の人が、日本政府に対し
て、「日本の国籍を選択」と届けると、この事実を持って、ルクセン
ブルグ国籍が消滅する」との見解です。

各国も自国の国籍の得喪についての権限はありますが、他国の国籍
の得喪についてはなんの権限もありません。
催告を受けての「選択宣言」を自己の意思と見るのか、強制とみる
のか、このような場合の重国籍者の各国の判例があればどなたか教
えてください。

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(米国の場合)
他国籍放棄や日本国籍喪失届けを行わずに「2重国籍のようにみえ
る」人たちも多い。アメリカ市民に帰化する時、「以前の国籍は放
棄する」と誓約しますが、アメリカ政府は母国の大使館の国籍離脱
(喪失)届けを強制しない。

 一方、日本の法律では、外国籍になった時には、自動的に日本国
籍を失います。当然、アメリカで帰化してアメリカ国籍を取った時
点で日本国籍は喪失し、日本政府発行パスポートは使用できません。
そして、帰化してから3ヵ月以内に日本領事館に国籍喪失届けを出
す事になっています。

発覚するとどうも国籍の書類上の手続きが進行するようですが、処
罰されたという話は聞いたことがありません。
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(周辺国の場合)

韓国
 2重国籍を認める法案が、1999年に既に国会で可決されています
が実施はまだです。
今回の新国籍法案は、あくまでも、韓国人(定義は、韓国人の血を
100%持つ人)か、韓国国籍をもつ人の子供に対象を限っています。(
片親でも可。)これは以前に、米国やカナダに流失した、「頭脳」
と「その子女」の呼び戻しに主眼が置かれています。
しかし、周辺2国(二重国籍を認めない)日本・中国の反対で、実施さ
れないままでいます。

台湾(情報源:在米・在加の台湾出身者・日本の行政書士もいって
いました。)二重国籍OK。台湾入国時には「中華民国」の旅券の使
用義務あり。

香港
香港内、マカオ内、中国本土内では中国国籍の扱いです。
但し、香港Chek Lap Kok空港・マカオ国際空港から、中国以外
の国に出国する場合と、中国以外の国から帰国する場合は、外国
旅券の利用はOK.つまり、香港・中国内では、外国の領事保護が受
けられないことを除けば、二重国籍はOKです。

香港・中国で、どうしても外国国籍の扱いを受けたい場合は、中
国国籍の離脱手続きを、香港内の中国移民局でするより他はない
でしょう。中国国籍離脱後も、外国国籍香港居留民の身分になり
ますが、「居留民」と「永住権保有者」との違いについては、現
在調査中ですが、どうも、外国国籍の居留民が永住権保有者のよ
うです。
この場合は、1年間通して、許可証なく香港を離れると、居留民と
しての権利を失います。

中華人民共和国
二重国籍は不可です。カナダに在住している中国人が、旅券申請
をする際に、カナダ市民権省からCitizenship Recordの提出を求
められます。市民権を持っていると、記録ありとなり、市民権が
ないと、記録なしとなります。

但し、中国の場合は、カナダ国籍取得を、領事館に報告しても、
また新規の中華人民共和国旅券を申請しなくなっても、それぞれ
の人に、フォローアップはしません。また、戸籍も抹消されませ
ん。

一度、カナダ人となった中国人が、中国への永久帰国と、中国国
籍復活を希望した場合は、到着地の空港でこの旨、公安部に申し
出て、書類を記入し、カナダ旅券を提出すれば、認められること
もあるそうです。
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日本の国籍法 

第1条(この法律の目的)日本国民たる要件は、この法律の定める
ところによる。

第2条(出生による国籍取得) 子は、次の場合には、日本国民と
する。
 1 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
 2 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
 3 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき
、又は国籍を有しないとき。

第3条(準正による国籍の取得) 父母の婚姻及びその認知によ
り嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であ
った者を除く)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国
民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であると
き、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届
け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国
籍を取得する。

第4条 (帰化)日本国民でない者(以下「外国人」という。)は
、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

第5条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その
帰化を許可することができない。
 1 引き続き5年以上日本に住所を有すること。
 2 20歳以上で本国法によつて能力を有すること。
 3 素行が善良であること。
 4 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技
能によつて生計を営むことができること。
 5 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を
失うべきこと。
 6 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下
に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、
又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、
若しくはこれに加入したことがないこと。
2  法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失う
ことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇に
つき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第5号に掲
げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

第6条 次の各号の1に該当する外国人で現に日本に住所を有す
るものについては、法務大臣は、その者が前条第1項第1号に掲
げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 1 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き3年
以上日本に住所又は居所を有するもの
 2 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは
居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で
生まれたもの
 3 引き続き10年以上日本に居所を有する者 

第7条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に
住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについ
ては、法務大臣は、その者が第5条第1項第1号及び第2号の条
件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民
の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続
き1年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。

第8条 次の各号の1に該当する外国人については、法務大臣は
、その者が第5条第1項第1号、第2号および第四号の条件を備
えないときでも、帰化を許可することができる。
 1 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
 2 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、か
つ、縁組の時本国法により未成年者であつたもの
 3 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失
つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
 4 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でそ
の時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

第11条(国籍の喪失)日本国民は、自己の志望によつて外国の国
籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその
国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。

第12条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生れ
たものは戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより日
本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさか
のぼつて日本の国籍を失う。

第13条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出るこ
とによつて、日本の国籍を離脱することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国
籍を失う。

第14条(国籍の選択)外国の国籍を有する日本国民は、外国及び
日本の国籍を有することとなつた時が20歳に達する以前であると
きは22歳に達するまでに、その時が20歳に達した後であるときは
その時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならな
い。
2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほか
は、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、
外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)
をすることによつてする。

第15条 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第1項
に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面
により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
2 前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知るこ
とができないときその他書面によつてすることができないやむを
得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してする
ことができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の
翌日に到達したものとみなす。
3 前2項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から
1月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した
時に日本の国籍を失う。ただし、その者が天災その他その責めに
帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選
択をすることができない場合において、その選択をすることがで
きるに至つた時から2週間以内にこれをしたときは、この限りで
ない。

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