182.森首相の発言に対して



  森首相は「日本は天皇を中心とした神の国である」と
発言してしまいました。
野党や公明党などはかなりめくじらをたてていますが、私はたいし
て感想がありません。もともと失言の多い人ですから。
 
天皇を中心においても国民主権は揺らがないだろうし、
「神」の国と言った時の「神」はいったいどんな神かは触れていな
いし。
 
だと思ったらこの発言は神道関係者の前で行ったんですね。
だとすると、やはり反憲法的なのかな。
首相は日本人のモラルについて述べているようなのですが、
信教の自由や政教分離に違反するものなのでしょうか。
 
ただ、天皇を中心にしてしまうと部落差別の肯定にも
つながるので、ちょっとまずいかもしれません。
(論理の飛躍か)
 
私のような左翼市民はもっとこの問題で怒らないといけないので
しょうが、
あまり気になりません。
それよりも右寄りで、なおかつ法的な考え方のできる
Fさんの意見をおうかがいしたいです。ぜひ、この件での
コメントをお願いします。

神楽坂紅梅 
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森総理大臣様、あなたは立派!見直しました。

「主権在民」のアメリカ合衆国の元首はクリントン大統領。
「議会主権」のイギリスの元首はもちろんエリザベス女王。これ
国際常識!
お両人共、元首就任式では聖職者の前で「神に祈られ、神に誓」われ
ます。
これをご存じでしたね、やはり。

では「主権在民」の日本の元首は?
まさか森総理大臣、あなたとは思われないでしょうね。だって
あなたを皇居で「任命」したのは他でもない天皇陛下なのですから。

「人民主権」の社会主義国家はどんな末路をたどりましたか?
はたして、現在、中国には元首はいないのでしょうか?ロシアには
元首はいないのでしょうか。賢明なあなたならよくご存じのはずです
よね。

森総理大臣様、貴方より誰がエラく誰が日本国の中心か、貴方はよく
ご存じでしたね。
あなたは率直で国際常識ある立派な日本の指導者です! 水廼舎

久保憲一
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2000/5/17 ◆森発言を聞いて 文芸評論家・佐伯彰一氏
「日本人の宗教心を素直に表現」

 森首相の発言を聞いて、過激とも問題とも思わない。日本人の
神の観念は、唯一神信仰のキリスト教とはだいぶ違うし、仏教の
教えとも全面的には重ならない、世界的に個性豊かな存在だ。
神道や日本人の宗教心の、本来の在り方について素直に表現され
たのではないだろうか。

 戦後、天皇陛下と神道、日本国憲法に関する論議や本来の日本人
の宗教観は、触れることさえタブーである時代が続いた。あえて
無視し、口にすることを恥じる風潮さえあった。ところが、明治期
の小説家・小泉八雲は、日本について「先祖伝来の土地を、死者
たちが支配する国」と看破し、見事な洞察力を示した。多神教を
起源に持つギリシャ人と、キリスト教の英国人を両親に持つ八雲に
とり、正統的キリスト教より日本人の死生観の方に共感を覚えたの
だろう。日本人の方が、自国の宗教観を解説され驚いているのが
現状だ。八雲が説き、靖国神社にも代表されるように、日本は亡く
なった人々を神としてあがめてきた。国家に対する反逆者・平将門
でさえ神田明神にまつられている。その司祭の長(おさ)が、代々の
天皇家だった。

 驚いたことに、そうした宗教観を持ち出そうものなら、一部の
報道・政界関係者は反対に走る。そうした人たちは、自分が
「無神論者」「一神論者」「特定の宗教集団」のいずれに属する
のか、まず明らかにするべきだろう。自己の宗教観をさらすこと
なく、他人を高みから見下ろし、高飛車に非難するのは無責任の極
みだ。「すべてを裁ける」という傲慢(ごうまん)が底流に透けてみ
える。

 一方、憲法との関係だが、発言は「天皇を絶対君主として君臨さ
せる」と、主張してはいない。憲法自体、敗戦後の特殊な時代に、
戦勝国・米国により急造されたことが今になって、根本にある価値観
を問われ出した。啓もう主義的人工国家・米国の思想をそのまま取
り入れたものだから抽象論が先走って、生きた厚みが欠けている。

 憲法という抽象的理念では、歴史や伝統は裁けない。私は抽象的
理念より長い伝統を尊ぶ。従って「神道を人類にとり貴重な文化遺産
と位置づけ、天皇と神道との関係を歴史に照らして憲法に明記する
べきだ」と思っている。過剰反応している人たちは、まず自身の
宗教観の表明を、さらには歴史観、伝統観を明らかにしてもらいたい。
たまたま、できているもの(憲法)に乗っているだけの批判は一面的だ。
(談)

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(Fのコメント)
 森首相の発言場所を考えると、神社本庁の人たちの前で、この人
たちは、「神道を信じる人たち」であり、日本は神の国を信じている
人たちです。この人たちの支持を得るために発言したのです。
それを全国民へのメッセージとした新聞は、反対する材料探しをして
いるとしか思われない。

 私は、日本の古代史を冷静に見たいと思っている。日本の神話は
持統天皇の正当性を証明するために、作ったという梅原猛氏の意見に
賛成している。「日本書紀」「古事記」を創作と思っている。しかし、
その中に事例は、その時点以前のできごとを参考にしているはずで
ある。このため、全面否定でもない。
 また、古田史学の倭と日本は別の国であるという説も、考慮する
必要があると感じている。

 しかし、どちらにしても、日本の天皇家は世界にも例を見ない長期間
王制(天皇制)を維持している国家であり、長い歴史の中で神話等を
ベースにした「天皇を中心とした国」である。
それと、長いこと天皇は神に近い存在として、日本国家の尊敬する
対象としてきた。戦前は天皇を絶対化したのであるが、日本の歴史から
すると異常な状態である。このような異常な状態には今後も戻らない。

 日本が戻るのは江戸時代以前の天皇制のはず。幕府が今の内閣、
天皇陛下は日本の象徴として、神に近い存在であられる。
民主党の考える天皇制はどういう物かを示す必要がある。そうしないと
議論にならない。批判するだけで議論をしない。ずるがしこいのです。

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