「外国人犯罪過去最高」の記事を意図的に小さく扱った朝日



H12.5.11   【新聞】(世界日報より)

「外国人犯罪過去最高」の記事を意図的に小さく扱った朝日

 来日外国人による犯罪件数が過去最高を記録していることが警察庁
の発表(四月三十日)で明らかになり、各紙はこれを五月一日付で伝
えた。
それによると平成十一年中に全国の警察が摘発した来日外国人による
犯罪は三万四千余件と過去最高を記録し、元年の六倍にも達した。
しかも全摘発者の六割が不法滞在者だった。

 このニュースに接した多くの国民は石原都知事の「不法入国した多く
の外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」との「三国人発言」
を想起したに違いない。警察庁発表はまさに石原発言を裏づけるもの
だった。

 それだけに警察庁発表は大きなニュースだろう。産経は一面トップ
で「外国人犯罪 昨年過去最多 10年で6倍に」と書き、社会面
トップでも「外国人マフィア凶悪、知能犯化」との見出しの関連記事
を展開した。

 産経によれば、安アパートがヤミ購入品の倉庫になっており、警視庁
は今年に入って池袋、上野、錦糸町など七カ所を最重点地区に指定して
警戒態勢を強化しているという。産経記事は不法外国人による犯罪が
日本国民の予想を上回って組織化、凶悪化していると伝えており、
なるほどこれでは石原都知事が懸念するように大災害の際、騒じょう
事件もあり得ると読者は震撼(かん)したことだろう。

 だが、この発表モノを朝日は意図的としか思えないほど小さく扱っ
た。産経とは対照的に第二社会面、それも一番下の段から三段の見出し
一本だけを立てる、きわめて目立たぬ扱いで「外国人犯罪最多に 
警察庁調べ」と約三十行の記事があるだけだ。

 産経が「10年で6倍」という激増ぶりを指摘したのに対して、朝日
は「強盗事件が前年の一・五倍」などと、意図的としか思えないほど
前年度(平成十年)比の数字で記事をつづっている。これでは外国人
犯罪がどう激増しているのか、読者には皆目わかるまい。

 他紙は平成元年以降の「来日外国人の摘発状況」の折れ線グラフを
掲載しており、一目で外国人犯罪の増加が読み取れる。だが、朝日は
このグラフさえも載せなかった。明らかに石原発言に正当性を与える
ことを嫌ったからであろう。

 朝日は、石原発言に際しては二度ならずも社説で激しく石原批判を
展開した。たとえば四月十一日付では「どうしたものか」とのタイトル
で、「独りよがりの狭量な愛国心」と批判し、四月十三日付「はき違え
も甚だしい」では「国際都市・東京のトップとしては不適格ではない
か」とまで書いた。
 このいずれの社説も外国人犯罪を大げさに扱うなとの論調で貫かれて
いた。
そこまで言い切っていたのだから、朝日にとっては警察庁の発表はなか
ったことにしたかったのかもしれない。

 だが、都合の悪いことを伝えないとの態度は、朝日が常々、警察批判
で述べているように、民主社会ではあってはならないことだ。「どうし
たものか」「はき違えも甚だしい」とは朝日が天に唾(つば)する言葉
である。

(増 記代司)

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