171.日本の国際化について



 このコラムで、毎回のように日本の国際化を議論しているが、
あまり、国際化とは何かを論じていない。今回は、国際化は何か、
どうなのか、とどのようにすればいいのかを論じたいと思う。

 国際化とは何か?の定義が必要でしょう。
国際化とは、米国や欧州の制度を基準とした国際的な経済体制や
政治制度を導入し、世界・欧米的環境とスムーズに一体化できる
制度を構築し、国際経済・社会の重要な位置を占めることを目指
した外交・国内政治等の改革を含む日本の取組みと定義する。

 その国際化を、もう少し細分化すると、企業システム等の経済体制
と国の秩序を体系化する法制面、その上での人・物・金の流動性の
確保があるのでしょう。この面から議論しようと思います。

金の面では、国際金融市場に日本資金を世界の短期資金として補給する
存在になっている。世界の資金が日本へ投資する方向も必要であろう。
 これは、保険・銀行等の弱小企業が外資に買い取られていくので
今後増えるでしょう。IT分野、インターネット分野への進出も多く
なっている。日本が遅れた分野だ。しかし、日本資金の還流は起こら
ないでしょう。日本では有望な長期投資先を国内に見つけられていな
い。一時、インターネット関連株に火がついたが、今はダメになって
いる。底が浅い。日本に資金が入ってくる魅力がない。あくまで現時点
では。

そして、日本の金利0%は世界の短期資金補給となっているため、この
是正は必要でしょう。ほとんどが日本国内への投資資金となっていない
し、日本国民の犠牲の上で米国経済を活性化させている。

 人の面では、日本は単一民族化している。この環境は、全員が中産
階級化している日本国民にとって、住みやすい環境です。和の伝統も
あり、治安もいい。この環境に外国人を入れて、住みにくくする必要
はないという議論も一理ある。

 しかし、日本の人口が急激に高齢化して、日本の衰退がこのまま
では確定的であるので、再考が必要に成ってきている。
no.168で論じたように、日本の入国管理制度は欧米諸国に比べ、
あまりにも厳しい。これは、再考の余地がある。
少なくても、移民の基準を作り、その基準に適合する人の移民は、
認めるべきでしょう。基準は日本語能力と日本文化知識であると
思う。

 世界で活躍している日本人に日本国の参政権を与えることも一部
実施とのことであるが必要でしょう。日本人のアイデンティティを
保持させる学校制度も必要でしょう。日本人以外の人の日本語・文化
教育も必要です。検定制度も。ここは、論議を深める必要がある。
逆に、日本では英語を第2公用語として、日常生活に英語があるこ
とで自然に英語ができる環境を整備する必要があると思う?

 日本人の文化・伝統を復活する必要もある。国際派という人
で、日本文化を否定する人がいますが、米国等の諸外国でビジネス
をしたことがないのではと思う。自国に誇りがない人は、ビジネス
上でも、信用できない。少なくとも自分に誇りがない人を信用でき
ない。
 この誇りを日本人は、戦後失っている。この誇りを取り戻すのは
日本文化の復活しかない。戦前の日本文化ではなく、江戸時代の
文化であるような気がする。明治以後の日本は欧米植民地にされま
いとムリをした時代で日本としては異常な時代だと思うため。

 日本は、欧米にはない文化的特徴があり、現在の世界で必要にな
っている資質だ。特に、お互いの違いを認めるスキルは、他の民族・
文化には大きく欠けている。違いを明らかにした上でどうするかを考
える。この必要性がどんどん増している。それと、人種差別が他の
民族に比べ、少ない。これは、単一民族で他の民族との戦争をあまり
していないことにより、生成されているのではないでしょうか?

 また、朝日新聞を始めとした日本の世論は差別に敏感で、差別用語
を無理矢理作ってまで、過敏に反応する。このため、日本人は差別
観を持つと社会制裁されるため、差別をしまいという習慣がついた。
いつも、自分に対して、差別していないかどうかを考える。
この習慣のため、差別観を持てなくなる社会教育がされたのでしょう。
その民族の風土習慣を知らずに、相手に不愉快な印象を与えている
ことはあるかもしれないが、差別感からではないはずです。
グアテマラの事件も、差別感が日本人観光客にはなかったはずです。

 会社制度も変革が必要でしょう。米国流の企業経営、社外重役等
を入れ、会計制度も欧米流にすることでしょう。
ここからは、体験的ではあるが、米国社会はシステムの構想や基本的な
理念作りは非常に、上手だし、その宣伝も素晴らしい。しかし、その
実現性や、使い勝手となると、世界でも日本しか地道に努力しようと
しない。これが、日本が今でも、電子部品類で世界制覇している理由
なのです。
この面の強さが今後、再度求められるのです。
 インターネットの基礎分野の開発は終わり、今後は地道な使い勝手
や応用でしょう。この応用は、どれだけ小うるさいユーザーを持つ
かなのです。この面では日本のユーザは諸外国に比べ、優良です。
 もう1つ、会社で一生働くと感じ、技術を会社員相互に教えあう
ことで技術蓄積ができていることです。この仕組みは残す必要がある
でしょう。このため、単純な米国企業化はしてはいけません。
この部分を無視した有名評論家の論調が気になります。

そして、社会制度の米国化も、いい面は取り入れ、悪い面は入れない
努力が必要です。たとえば、制限の無い自由は、ロシアのような
無秩序になるため、自由は制限を付けて取り入れることが必要。

 特に、米国の司法体系は、訴訟社会で、裁判費用がある富者に
有利な体系になっている。この制度は、日本に取り入れてはいけ
ない。ここも、国際派という評論家たちは違うと思う。

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