168.国家という迷信に対する意見



(読者の意見)
Fさん有難う。
私は 以前にも一度貴方宛に E‐Mailを送ったことがある渡辺と 
申します。 米国に 移住して人生の半分以上を海外で 生きてき
た76歳の Semi-RetiredBusinessmanです。 母国日本は今や救い
ようのない危篤状態に入りながら、国民はその自覚が全く無いとい
う哀れな実態を心配しておりましたが、国民国家は幻想に過ぎない
と言う考え方があるのを知り何となく安堵致しました。 
当地では 竹内先生の著書は 簡単には入手出来ないと思いますが
、島田教授の書評で内容は大体把握できました。 
渡辺 
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(Fのコメント)
国民国家は、経済グローバリズムの前に、その役割を制限され始め
ている。世界経済が重要で国家経済は、その部分になってきている。

このため、経済活動をグローバルに考える必要がでてきているので
しょう。これを促進したのがインターネットなのでしょうね。
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(読者の意見)
いつも楽しく読ませてもらっています。司馬ともうします。

一つ質問があるのですが、YSさんが竹内靖雄氏の「国家という迷信」
という本を挙げた上で述べた意見とそれに対するFさんのコメントの
観点がずれている気がするのですが、
どうでしょう?
YSさんが言いたいのは日本の国家観というもの自体を考え直すべき
であり、別に国家観を変える=国際化という訳ではないと思うのですが。

もちろん大統領制導入や国家事業の民営化というような思想自体は欧米
からは入って来たものですが、
それを採用するのと国際化は別問題だと思います。

また日本の国民は国際化を望まないと仰いますが、そうでしょうか?
私の見た感じでは日本は着々と国際化しつつあると思います。ただ一部
の人達が国際化させまいと頑張っている気がします。

私は日本という国が国際化することによって見聞を広め、国家としても
活性されたと思っています
(たとえば遣唐使の派遣、戦国時代の南蛮との交流、明治維新など)
国際社会から背を向け、規制だらけで効率の悪い社会で自画自賛して
いるのが昨今の日本の実状だと思います。
私は海外に長く留学しているので、少しずつですが、日本のおかしい
ところがよく見えてきます。

日本古来の文化を愛し、伝えていくことには私も賛成です。私も日本
の美しい文化が失われていくのを見ていて悲しくなります。でもそれ
だけではいけない。
真に素晴らしい国になるには諸外国と交流し、良いところは素直に学
び、己の短所を改めることが必要でしょう。
このような勇気が無くてはこれからの21世紀では取り残されてしま
うのではないでしょうか。
残念ながら今時の政治屋(彼らに政治家を名乗る資格はない)、官僚
たちにはこのような勇気が欠如していると断言できます。

今の日本はかつてのシステムが機能しなくなり、改革を必要とする時代
であると認識しています。
幕末の時代と似ていると思います。それからうまく明治維新のような
大変革を起こして社会の構造を変えられるかによって日本の将来が決ま
ると思います。(もちろん明治維新後の日本が間違った道を歩んでし
まったからと行って明治維新の重要性を否定する事は出来ないと思いま
す)
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(Fのコメント)
国家という迷信は、国家という構造体が、経済のグローバリズムの進行
で、意味を失うと言っているのだと思います。国際化とは違いますが、
結果は日本人が国家ではなく、世界市場の中にいる意識が必要であり、
この意味する所は、個人の国際化であると考えました。違いますか??

 実際、国際ビジネスをしていると、米国と日本である問題を解決する
と、即、世界の他地域ではどうかと議論になるので、実感している。
そして、特許を日米欧で取る行動し、WEBに英語でビジネス文書を
公開していく。ドキメントを印刷しません。すべて、WEBだけです。
 すると、欧州や中国の企業から問い合わせを受けるのです。
そして、代理店契約を結ぶ。今までに比べ、スピードが俄然早いの
です。また、最初から日米欧の企業とアライアンスを組んでビジネス
をすることが多くなっている。(ここはTの意見ですが)

 ビジネス上、経済上の国際化は進んでいるが、日本の入ってくる
国際化は進んでいないと思います。日本の入国管理は厳しいので有名
です。反政府運動をした人を政治亡命で日本に入国させないなど
ビザの基準が非常に厳しい。留学ビザでも、日本人の紹介が必要。
労働ビザは、企業依頼と日系人以外ではムリです。移民も認めていな
い。このため、偽装結婚で外国の女性を入国させたりするのです。

 これは、外国人を日本人は警戒しているためです。この警戒は正し
いのですが。犯罪は多くなるし、スラムはできるし、大変でしょう。
 この大変さを嫌っているのです。しかし、今後日本の人口が激減
するので、ある基準で移民を認める必要が出てきます。この議論が
ぜんぜんない。今から検討すべきことであると思いますが。

 ソニー・ホンダ・トヨタ以外の日本企業は海外でビジネスができず
に敗退していることが多い。このため、海外戦略がなく、国際感覚も
ついていない。大企業でも外国人従業員を見かけない。政治家は、
国際的視野がなく、国際的問題を判断できない。海外からの日本人
帰国者を企業は、重要視しない。このため、海外帰国者は、一部の
有名人以外、自分で企業を起こすしかない。日本企業に入ったとしても
海外のビジネスセンスと日本でのビジネスセンスが違うため、日本の
ビジネスに溶け込めない。

 これは、日本の企業システムと英米豪カナダ企業システムが違うた
めです。欧州の企業システムも米国と違っていたが、ドイツ企業など
が米国企業システムを導入して、米国化してきている。会計システム
も、欧州を中心として国際化してきた。米国も重要視し始めている。
これは、no.167でYSさんが書いているのでそちらを参照
してください。国際化しない企業の淘汰が始まる予感がありますし、
現に金融業界、自動車業界では進行しています。この現状もYSさん
が今まで、何度も記事にしています。

その原因は、デファクト・スタンダード化できないと、儲からない
ようになったことからでしょう。日本だけを見た商売は、今後ありえ
ない。
この動向が、インターネットにより促進されている。もう経済的には
世界は1つになってきているのです。
英語が出来ないと、このスタンダード化に乗り遅れる。危機的ですよ。
日本の企業は、まだ十分に意識されていない。公共工事だけで儲け
ようとしている。企業が国家を食い物にしている。

 現状で日本の国際化ができているというのは、ムりがあると感じ
ます。出ていく国際化はできたが、入る国際化はまだまだです。
 この部分の日本の改革が進まないために、江戸時代の幕末的な
いらいら感を国民は感じているのだと思います。

 現状を把握し、どうすれば、国際化ができるか、国際化をしないか、
どのレベルまで国際化するかの議論が必要ではないでしょうか?
その法整備も含めてどうするかを議論する必要があると感じます。
しかし、これに比べて、個人の国際化は、今読者の皆様が直ぐにで
きるのです。

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