159.自国民の感情と外国の感情をバランスさせること



柳太郎です。私の論旨が曲げられているので、反論しておきます。

> (Fのコメント)
>  諸外国の例を出しているように、各国は自国の植民地政策を正当と
> いっているのです。これは、当たり前です。自分から進んで悪いと
> いう必要はないと思います。正当な評価が日韓で相互に会話できる
> 状態になるまで、待てばいいのです。そうしないと、感情問題を起
> こしてしまいます。柳太郎さんの言い方では、日本だけが謝りなさいと
> 聞こえてしまい、日本人の感情として、受け入れられないものがある。

私が例に出したのは一部で聞かれるものです。これが支配的な理論
になるはずが無いでしょう?

もう一つインドの例で植民地の歴史を語ります。

インドはイギリスに武力を背景に侵略される事になった。その際
イギリスがおこなったのはカースト制度をもとにした人民支配であっ
た。つまり、カーストの上の階級に属する者を親イギリス派として作
り上げた。賢いといえば賢い方法ではある。しかしこれはイギリスに
とってである。そのためにイギリスはカーストのトップの者達だけを
イギリスに招き入れ、イギリス流の教育を施し、帰国させ人民を支配
させた。もちろんその階級の頂点に立つのは常にイギリス人であった。
確かにイギリスは鉄道などのインフラを整備した。が、これは主に
鉱山資源などを運び出す為のもであった。インドには綿栽培と織物技術
があった。が、これはイギリス本国の産業と競合するものであった。
なので、イギリスはほとんどの綿織物産業をインドからなくしてしま
った。インドは綿栽培地域となった。これにより、インドは一次資源
を輸出し、製品をイギリスから輸入するという産業形態を植え付けられた。

カーストが廃止されても、根強い身分制度が残った。ここに、いまだ
インドが産業的に発展できない原因がある。

Fさんのように、歴史を一方からしか捉えられない人にはこんな説明
が出てこないでしょう。これも正しい歴史ですし、イギリスでは真剣
に議論されているのです。

私が言っているのは歴史を一方側から捉えては、両国にとって何らい
い結果をもたらさないという事です。これは日本にも当てはまります
し、諸外国にも当てはまります。日本人は自虐史観を持っているとい
いますが、日本人は近代の歴史をほとんど学んでいないのでしょう?
年輩の人たちは知りませんが、学校で習う室町・鎌倉・江戸などの各
時代についてはよく知ってても、肝心の近・現代の歴史が無い人が多
いのではないか?そして、民族主義的な議論に「安易」に共感する連中
が現れる。

> 国際外交ができる前提は、自国民の感情を考慮する必要があるはず
> です。その範囲で外交や国際戦略を考えないと、国民感情を害し、
> いい関係が国際社会と築けませんよ。そこのところを考えてほしい
> ですね。国際理論の問題ではないですよ。国民感情の問題です。

まったく一方的な見方なわけです。たとえば、アメリカが「本当に」
良い外交を築けるようになってきたのは、他国の国民感情に配慮する
ようになってからという事が無視されている訳です。

> しかし、このごろの韓国を見ていると、反日的な雰囲気が無くなっ
>てきたので、日韓の経済関係を復活することも視野に入れる必要が
>出てきたように感じます。

そして、最後のこの傲慢な発言。まるで日本が上に立つような発言は
なぜでしょう?「韓国には、反日的な感情が無くなってきた。だから
経済協力してやろう」とでも言わんばかりです。日本に朝鮮人差別が
無いとでも言うのでしょうか?まったく、どこまでも一方的な訳です。

この傲慢さが、身を滅ぼします。外国に関して議論するなら、本音で
語り合える外国人の友人を築く努力が必要です。島の中に閉じこもっ
ていても何も始まりません。お上に頼りきりなのはやめてほしいもの
です。アメリカ人、ヨーロッパ人の強みは、かれらが政府から離れて
自分たちでいろいろ移動してさまざまな国の文化に触れるというよう
に、その機動力にあるように見えます。
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(Fからの反論と同調)
 日本が戦後、江戸時代以前から伝統文化や社会規範等をGHQとその
支持をする知識人に、封建主義と批判されて、破棄してしまったのです。

本当に、不必要であればそれでよかったのですが、現在の日本の実情を
見ると、江戸時代のいろいろな考え方・文化を再度見直す必要がある
ように、感じます。近現代史も、戦後あまりに共産主義のイデオロギー
性が強くなり、その歴史見直しを行う必要なあるはずです。正常な姿に
歴史を見直すことは重要でしょう。逆に民族主義が強くなると、これは
これで周辺国と摩擦が起きますから、これも気をつける必要があるでし
ょう。
 しかし、やっと冷戦構造・敗戦構造から日本も抜け出すチャンスが
きたのではないですか?

 私が会話する欧米、中国人のほとんどは自国の弁護はするが、自国
を悪くいう人がいません。自国が悪いと本人も思う時は、会話をずら
すようです。日本人はほとんど歴史を知らないため、相手の言うこと
を無条件で認めることが多いようです。このため、後々問題を起こす
のです。ここは柳太郎さんと同じ問題意識を持っています。

 自国民の感情を考慮に入れずに、諸外国の感情を見て外交をしろ
というのですか?これはこれで一方的ではないですか?
自国民の感情と外国の感情をバランスさせないと、自国民の反動が
いい結果を生まないと思うが?村山首相以後の日本政府は、あまり
に中国と韓国、北朝鮮に配慮し過ぎていたが、この配慮が国民の
反発を生み、日本の国民が不満を持つことになったと感じます。

 中国は、相当にきたない言葉「日本を火の海にする」等で脅しを
日本に向けて、行うことがあるが、この声明に対し、抗議を日本政府
はしていないのです。一度、北京にいるとき、声明が出て、さて
どうなるのだろうと思ったこともあります。しかし、この声明は、
柳太郎さんによると、中国の外交としては当たり前だというのです
よね。日本の知事が言うのはいけないが、中国の唐外相がいうのは
いいのでしょう。中国にも、相当多くの日本人がいるのですよ。
 その日本人はどう思うか想像してください。このような状況は
日中の関係にいいわけがないですよ。実感として。

 1960年代・70年代に、日本は韓国に投資したが、韓国は
反日的で、少し韓国の人を注意すると労働争議を起こされ苦労し
たのです。これは私だけではなく、NECの元小林名誉会長も
同様な経験をしている。そして、日本の経営者の多くが韓国投資
を80年代に撤退しているのです。この経験から、反日的な雰囲気
がある韓国に再度投資するはずはありません。柳太郎さんは傲慢と
いうが、どこが傲慢かわかりません。

 このため、部品等の補給を80年代以降、韓国におこなって
いたのですが、この部品を韓国は80年代作りたいと言い始め、
日本の新聞は日本の傲慢で韓国に技術を提供しないと書いた。
しかし、反日に懲りている部品製作会社は、韓国に行きませんで
した。反日的な雰囲気では、出て行けない。

しかし、韓国は、その後、技術と金を米国の技術と短期資金に頼っ
たが、その資金を引き上げられたため、大きなダメージを受ける
ことになるのです。IMFの資金導入するが、この資金は、緊縮
経済にすることと引き換えであり、韓国は更に大きくダメージを
受けたのです。

 これを救ったのが、日本からの資金援助40億ドルです。
その後、金大中大統領は日本の文化解放、日本との自由経済圏を
提唱し、国内で反日的な言動をしていないのです。このため、日本人
旅行者が100万人も韓国に行くようになってきて、正常な2国関係
を築けるようになったのです。

 このような状況を見ると再度韓国への投資を再開できるのでは
ないかと書いたのですが、どこが傲慢なのでしょうか?
我々は、ビジネスをしているので、儲からない所には投資ができ
ません。中国のビジネスも手がけましたが、これも失敗です。儲
からない。日本企業だけではなく、これは米国企業も同様のよう
です。

 中国は、法律解釈は人によって大きく変わるので、地方政府の
役人が変わると、増税されたり、大変です。これも、裏に反日性
反米性を感じるので、もし、中国ビジネスをしたいなら、中国人
にビジネスを任すしかないようです。ほとんどが損になるが。

 ビジネスの面から見ると、両国が損をするのは、両国国民感情
を悪くすることです。一方だけの感情を大切にするのでは、国際
ビジネスは成り立ちません。よって、日本の国際外交に期待する
のは、両国国民の継続的な友好関係を構築することです。
 このようなことを感じていたら、岡崎先生も同様な論文を出し
ていることを知りました。最後にURLを記述します。

 柳太郎さんは、日本に厳しすぎるように感じます。一昔前の
知識人と同様で、日本の政府・国民は我慢しろと言い過ぎではな
いですか?
この反動で、国民の世論が激高し、国内の国粋主義者を元気づか
せているように感じます。この反動が起きないレベルで、外国の
感情と国内の感情をバランスさせた対応が必要ではないでしょう
か??

そうしないと、柳太郎さんの理想からどんどん日本の国民世論は
離れていくように思う。し、
 そして、日本の国際化は、私たちの期待とは裏腹の方向に行って
しまうように感じます。

 今の現状を見ると、日本の国際化は相当時間がかかると思う
ので、個人の国際化を提唱しています。日本政府から離れて、自由
にいろいろな国を見て、ビジネスに政治に取り組んでほしいと思い
ます。ここも欧米の現状と同じですし、柳太郎さんも同じ意見のよ
うですね。
参考として、岡崎先生の論文

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