145.地域圏の考え方



3月29日MMについて私見
                            日向

このマガジンにて、
色々と勉強させて頂いてます。
今後も期待しております。

さっそくですが、ロシア大統領選挙に関する記事で、日本・ロシア
・モンゴルとASEAN諸国が提携した地域圏の構想について言及され
ておられました。この件につきましては記事の中にて述べられている
内容しか存じませんが、この場をお借りして、私見を書かせていただ
けないでしょうか。

1、自立した経済圏の必要性

人・物・情報の移動の自由化・高速化・簡易化にともない、21世紀は
今以上の速度で、より以上に広範囲に国際化が進行していくことと思
われる。それに対応して多国籍企業やNPOのように国という形にとらわ
れないグローバルな組織がさらに台頭してくる。また相互依存関係の
深化にともなって、国家間のナショナルインタレストの問題にも大き
な変化が生じる。このようなことから、国家の役割について、懐疑的
な意見が説得力をもつこととなる。

しかし、組織の構成員に対して最終的に責任を持つべき組織は国家し
かない。国家はこのような国際化された組織に対して、自国内の産業
と国民の利益を保護することにより、その存在感を誇示せざるを得な
い状況が生じて来ることとなろう。国際化社会の中で一国だけでアウ
タルキーを満足させることの出来る国家は非常に限られている。ほと
んどの国はその手段として、国家間で経済提携することによって自立
した経済圏を形成し、圏内の国家同志の産業と国民の利益を保護しよ
うとするしかない。この顕著な例がヨーロッパ連合である。

アメリカについても同じことが言える。この国は伝統的に新大陸を旧
大陸に対し独立した新世界として、自国の勢力範囲として南北アメリ
カ大陸への干渉の排除を宣言している。メキシコを含めた北アメリカ
大陸において経済圏を形成している。

このような国家間の経済圏は大きな問題に対面した場合、容易に閉鎖的
なブロック経済化してしまう危険性を内包している。当然このような
危険性を排除しようとする努力がなされることとなる。故に、21世紀
は19世紀20世紀とは違った意味においての新たなブロック経済化に
対するグローバリズムの挑戦の世紀となろう。

このような世界の動きの中で日本も独自の経済圏を早急に構築する必要
がある。たしかに日本は、『国際化を推進し、経済的な相互依存体制
を構築することによりブロック経済化に対抗する』と言う役割を担う
べきである。
しかし、それは日本の行動指針として、求めるべき理想であり、その
理想を達成する為にはブロック経済化に対抗できるだけの、経済的な
基礎体力の構築が不可欠である。それこそが日本独自の経済圏を確立
する真の理由となる。

2、共栄圏のかたち

前提としてアメリカとの軍事同盟は維持することとして話を進めます。

3月29日号の範囲でしか存じ上げませんので詳しいことはわかりません
が、書かれているとおり日本は近隣諸国中国韓国とは感情的な確執があ
り、これは利益を共同するには基本的な意味において大きなマイナス
要因です。
また現実的には、同じ特性をもったものどうしは利益が競合するため、
韓国と経済圏を組むのは日本にとっては何の利益もない。

中国との提携はアメリカの反発が予想されるので中国大陸に関しては
十分な注意が必要である。
彼らが意識しているかどうかは不明だが、アメリカの特性として西方向
への進行という特性があり中国大陸はその究極的な目標である。ペリー
来航も、太平洋戦争の遠因も中国大陸が目的であったことを思い起こ
すべきであろう。
このため、まさしく述べられているとおり中国韓国とは経済圏を形成す
ることはできない。

しかし、地政学的には日本は海洋国であり大陸国であるモンゴル・
ロシアとの提携は長期的な展望としてはいかがなものであろうか。
地政学的に日本はランドパワーが海洋へ侵攻する際それに対抗すべきシ
ーパワーの代弁者、リムランドの一員である。
(古色蒼然とした概念だが、自分は国家を有機的な存在として考察する
のは有効な手段であり、地政学とその諸概念は、たとえて言えば臨床学
的実効性を持つ現実的な学問の一分野である。という立場に立つ)

モンゴルとシベリアには埋蔵資源や開発されるべき資源が豊富ではある
が、ほとんどがこれからの開発を待たなければならないものである。
そのうえモンゴル・シベリアが開発されれば、中国の動きも考慮しなけ
ればならず、また、開発地域が発展するほどロシアにとっては重要な
防衛拠点となり軍備の増強等、多様な問題を引き起こす可能性もある。
シベリア開発が進めば北方領土はその重要性を増し、よりいっそう返還
は難しくなるのではないだろうか。

このため、自分としては海洋国家同志の連携による経済圏の形成が適切
ではないかと考える。

アジアを中国を中心とした大陸アジアと、東南アジアを中心とした海洋
アジアとに複眼的に観察する理論を目にしたことがある。ある意味では
ランドパワーとシーパワーの国家区分と共通するのではないだろうか。
日本の場合ここでいうところの海洋アジア(ASEAN諸国を核とした国々)
を中心とし、日本・インド・オーストラリアを頂点とする大三角形が包
み込むシーパワーの国々と連携した共栄圏を構成すべきである。

特に日本・インド・オーストリアは互いに・技術・資源・生産・消費と
言った経済の循環を行うことが出来る能力を補完している。また、海洋
アジアの国々は発展段階こそばらばらであるが、各国とも今の日本に
ない、バイタリティーを持っている。これらの国々と提携して経済圏
を構成するメリットは非常に大きいと思われる。

距離的な問題は、この圏内はほとんどが海運の使用でまかなうことが
できる、と言うことで解決できる。時間的には陸運の方が有利だが、
コスト的には海運が数段優位性をもつからである。
一時話題となったシーレーンの防衛問題もインド・オーストラリアと
三角形内のシーパワー諸国と提携することによって解決することが
出来る。

以上
チョット舌足らずですが時が到りましたので。
失礼いたします。
有り難うございました。
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(Fのコメント)
ありがとうございます。なかなかいい意見です。その通りの部分が
多いと思います。しかし、アジア海洋国家群は、中国圏の国もあり、
その動向はまとまらない可能性があります。

 オーストラリアは、欧米諸国との連合になり、黄色人種の国との
連合は、できない可能性が高いと思います。今、アジア人の入国制限
をオーストラリアは考えているくらいですから。

 自由な人の行き来、出入りができないと、経済共栄圏とはなりえな
いし、経済体制が同じ必要があるのです。すると、アジアでも、
ベトナム・タイ・カンボジア・ラオス・インドネシアなどしかない。
マレーシア・シンガポールは中国寄り。台湾・フィリピンやインド
は、米国と直接経済ですから、日本と経済圏を組む必要がない。

 というように、アジアもバラバラです。もう1つの問題が
ボーキサイト、石油以外の天然資源があまりないことです。しかし、
シベリアは地下資源の宝庫ですから、この面からも日本を補完して
いるのです。北方領土返還後日露経済協定とすれば、問題ないはず
です。ロシアはNATOの東方拡大に対応する必要があるため、
現時点では、NATO対応でしょうから、極東地域の軍備拡張の方向
ではないはずです。

 北方領土も共同管理等の方法があるのではないでしょうか?どうせ
、返還されても、元住民が再度現地に戻る人はほとんどないようです
ので。共同管理化できるはずです。
 ロシアの領土であるが、日本人も自由にこの地域に、住むことが
できる。日本の行政機関とロシアの行政機関の2重管理にすれば、
いいのです。主はロシアとしてあればいいのです。道路整備等は
日本の行政機関が行うとすれば、ロシアもOKではないでしょうか。

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