106.オーストリア、英語の第2公用語について



(読者からの質問)
「国際戦略コラム」いつも楽しみに読ませてもらっています。
 
2つ質問があります。
 
@オーストリアで誕生した新政権はEUから非難されていますが、
 大多数の国民は支持しています。それは、EUから孤立すること
 を覚悟しているのでしょうか?
 また、ヘーダー党首はナチスの集会にも参加しているのに、記者
 会見では、ナチスのことを批判していました。どちらが本心なの
 でしょうか?
 この問題はno.99で取り上げたので重複するところがありますが、
 機会があったらまた取り上げてください。
 
A昨日のニュースで報道していましたが、日本からキルギスへの
 資金援助が相当の額になっていて、キルギス側はこれからも
 援助を望んでいるとのことでした。日本は資金援助の見返りに
 キルギスからは何をもらっているのでしょうか?確かキルギス
 には資源があると聞きました。キルギスよりも貧しい国がいっぱい
 あるのに資源が豊富な国ばかりに援助しているような気もする
 のですが・・・。
 
以上、よろしくお願いします。
 
原さん
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(読者の質問2)
はじめまして。
高校生です。
英語が日本の公用語になることについて質問があります。

私の高校の世界史の先生は、このことについて
とても反対しておられます。先生は、
かつて日本は朝鮮を植民地化した際に、皇民化政策を断行した。
まっさきに取り組んだのがのが、言語による侵略。
朝鮮語の使用禁止。日本語の強制。さらに日本名をつける創氏改名。
言語侵略はその国の文化を破壊する最も強烈な侵略。
英語が国際共通語であるはずはないし、英語文化圏は世界全体で
それほど多くはない。アメリカ民主主義の一つのプロパガンダ。
これがグローバルスタンダードとよばれるものの中味。
これが世界標準だとはどうしても思えない。
英語に対して卑屈になる日本について、そこまで植民地根性を
持つ必要はないのではないかと思うとおっしゃいます。

戦後のアメリカによる日本への政策は
実際どのようなものだったのでしょうか?
私には知識がないのでどうにもいえないのですが
この先生の主張は間違ってると思っています。
英語が国際公用語であることが
なぜそんなにおかしいことなのでしょう?
では、何語を公用語にすればいいのでしょう?
まさか日本語、フランス語、ドイツ語、中国語。。。。
すべてを話せるように、なんてことには
ならないでしょう。
英語がどのように力をつけてきたのであれ、
英語を公用語にするのが一番合理的だと思っています。

今、地球の環境が破壊されて、国境をこえて
みんなが協力しなければならない時に
あまり小さなことに力を費やすのは
ナンセンスだと思います。
どうして、目先の利益やどうでもいいような
小さな事に拘るのでしょう。
もっと大きな目で世界をみていかなければ
いけないと思います。

うさぎさん
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(Fの回答)
まず、原さんへの回答。
 オーストリアの国民は、EUの非難を予想していなかったのでは、
ないかと思います。ナチスの経済政策を評価したからといって、EU
諸国から、これほどのダメージを受けることはないと思っているはず
です。自由党は支持率25%以下ですから、オーストリア国民の少数
しか、支持していないのです。それと、ナチスの経済政策は、歴史上
では、うまくやったと認められていることだと思います。しかし、
EUの批判が出てから、このナチス評価の発言をヘーダー党首は撤回
しています。

 欧米報道機関でのここ数日のヘーダー党首発言を見ていても、
ネオナチではなく、移民反対する保守党のような感じだと思います。
しかし、ヘーダー党首の本音は分かりませんが。

 どちらにしても、この自由党の移民反対はEUの理想と違うために、
批判しているのでしょう。日本は、オーストリアの人口800万人に
移民120万人のような事態になったら、どうなるのでしょうか?

 移民容認は慎重に行うべきです。理想主義は、必ず人間の感性と
違うので、大きなジレンマを生み、国民の大きな対立を形成します。

 一時、移民は、世界で当たり前であるから、日本もやるべきとの
意見があったため、イランやフィリピンなどの出稼ぎを入れて混乱
したことがありました。この数百倍の率でオーストリアはあるのです
から、国民の苦痛は大変なものでしょう。

 キルギスは、石油等の資源があるため、世界の各勢力がこの地域に
援助をおこなっているのです。日本も勿論、援助しているのです。
 この地域は、近い中ロや、英米とその代理人のトルコ、日本、イス
ラム原理主義(ワハーフイズム)の後ろ盾サウジとその代理人
タリバン等が勢力争いをしている地域なのです。

 日本のODAは、円借款が大部分です。無償援助は食料援助などの
人道的なものですので、少ない。このため、返せる目処がないと援助
できないのです。よって、どうしても日本企業が進出する国か資源が
ある国に貸すことが多くなるのです。
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うさぎさんへの回答。
 日本語を禁止して、英語だけにすると文化的維持は難しくなるでし
ょうね。文化はその言葉でしか、表現できないことが多いためです。

 しかし、今提案されている案は、第2公用語としての英語ですから、
日本語はなくなりません。英語は世界とのコニュミケーションの手段だ
と思えばいいのです。

 残念ですが、米国が世界覇権を握っている現状では米英語が国際共通
語になるのです。また、英語圏は大きいですよ。豪州、ニュージーランド
、インド(ヒンズー語と英語)、南アフリカ共和国(オランダ語と英語)
、カナダ(英語とフランス語)、英国、米国です。

 この英語圏より大きいのは、中国語圏(中国、台湾、シンガポール)
スペンイン語圏(スペイン、ブラジルを除く中南米諸国)でしょう。
アラビア語圏(イスラム圏)も大きいが、英語圏ほどではないと思う。

 しかし、ビジネス世界となると、どこへ行っても、ほとんど英語で済む
のです。この事実を世界史の先生は知らないのでしょう。特に、ビジネス
では製品を英語でHPに紹介しておくことは常識です。また、英語のメール
で世界の人たちと意思疎通できます。先生は、現状のビジネス世界が理解
できていないのでしょう。このメールを先生に見せてやってほしいですね。

 英語を利用すると、世界の人と世界の問題を会話できるのですから
日本の世界貢献を促進することになるのです。このためにも、英語能力を
持った専門家を日本は育成する必要があるのです。

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